月に一度、席替えがある。
席替え。そう、席替えである。
ゴタゴタしていて忘れていたが、昨日で四月が終わった。
それに気づいたのは、今日になってからだ。
席替えは月の真ん中。十五日だ。
四月は入学したてということもあってやらなかったが、今月はある。
ということは、だ。この席、つまりは春山の正面の席も、残り二週間程度で終わりということだ。
別に席が離れたからなにというわけではないが、会話は減るだろう。
そう思うと、少し寂しくもある。
まあ、大丈夫だろう。今から気にしても仕方ないし、それに、何をすることもできないのだから。
「おはよう。遠山くん」
「ああ、おはよう、春山。今日はけっこう遅めだな」
時計は時刻が朝礼の五分前であることを示していた。
「ああ、うん。寝坊しかけちゃって」
僕の問いかけに、春山はてへへと笑いながら答える。
可愛い。
「寝坊とかするんだな」
こんな時間に来たのは、今日が初めてだ。
昨日は特に早かったが、いつもはもう十分ほど前には来ている。
「気をつけないとね……。ちょっと気が抜けてたかも」
荷物を下ろしつつ、春山は言う。
「まあ、間に合ってればいいだろ」
「それもそうだね」
そう言いつつ、春山は席につく。
席につくと、教科書類を鞄から取り出す。
「え~と、一限は、……」
「英語だな。予習やって来た?」
「え、予習……?」
「昨日言ってたろ。まあ、まだ間に合うだろ。貸してやるから、朝礼終わったら、パパっと写しちゃいなよ。得意だろ?」
「あはは、誉めてるの? あ~、でも、貸してもらうのは遠慮しとくよ。悪いし」
「そうか……。終わるか?」
「大丈夫! 英語は得意だし。教科書訳せばいいんだよね?」
「ああ。昨日やった次のとこ」
「わかった。ありがと!」
すぐに先生がやって来て、朝礼をして、五分ほどで出ていった。
早速予習に取りかかるようだ。邪魔をしても悪いし、僕は辞書でも読んでよう。
今日は英和辞典だ英和辞典だ!
それにしても、なんだか少し距離があったような気がするな。
いつもは、もう少し近かったような気もする。
まあ気のせいか。
距離感なんて、覚えてないし。
昨日色々あったし。
それよりも今は辞書に集中しよう。
席替えの話ではない……!
サブタイトル詐欺。
席替えは、もう少し先ですね……。




