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3、眠らない姫

「ナツキチ昨日の夜はカレーだな?」

「‥‥‥なんでわかったんだよ」

「マジか。アタシの家もそうだったから。もしや、と」

「怖いからぴったり当ててくんの止めろ」


学校への登校数がギリギリな訳ではないが、意味もなく休む必要もないので来るしかない。

つまり湊は家でのお留守番を強要させるしかない。

特に今日は大変だ。

「ナツキチ今日はバイト?」

「ああ」

今日はバイトの日。なんなら明日もある。

その間彼女は一人だ。

音が流れたとしてもそれはテレビの音とかで、決してじぶんと話ができる声ではない。


終わり次第さっさと帰るか。



「くっそ、なんで今日に限って!」

夜10時、バイト先から自転車を漕いでいる。

今日は忙しく、最後の片付けまで時間がかかってしまった。


「ただいま‥‥‥」

寝ていたら悪いので、小声でそう言いつつ上がる。


「おかえりなさい」

「なんで起きてるんだよ」

「普段でもこうでしたよ?」

湊は冷蔵庫からサラダを、昨日のカレーをうどんに掛け即席のカレーうどんにしてテーブルに並べた。


「本日の夕飯です。サラダもあったものですし、カレーは昨日のですけど」

「‥‥‥ありがとうな」

この時間になったら面倒で料理なんて作らなかっただろう。

こういう風に料理が出てくるのは嬉しいものがある。


彼女は食べるわけでもないのに俺の向かいに座る。

「悪い、バイトの連絡するの忘れてた」

「仕方ないです。連絡先を知りませんもの」

「そういえば、そうか」

連絡する術がないから連絡できなかった。

当たり前の話だ。

「と、言うわけでこちら私の連絡先です」

破ったノートに彼女の電話番号、メール、無料電話アプリのIDまで書いてあった。

「どのアプリを使っているのかわかりませんでしたので私の使っているのを」

「大丈夫、これでいいよ」

これ、よくよく考えたらかなり重要な情報だよな。

総理の一人娘の連絡先。

闇の者なら高値で売り捌く代物だろ。



「辛かったらいつでも連絡しろよ」

「はい、行ってらっしゃい」

今日はバイトだと言うことを伝えてある。

何かあったり一人が辛くなったら連絡はすぐ寄越すように言ってある。

もっとも遠慮されるのは目に見えているが。



学校でも気が気でない。

とは言っても授業中はしっかり受けているが。

あ、レオナは寝てたわ。


休み時間に、一応確認をする。

すると写真つきで『べんきょうここまですすみました』と送られてきた。

そうか、こういう使い方も出来たか。

『よく頑張りました』のスタンプを送っておいた。


次の休み時間には洗濯に関すること。

お昼には『おひるごはん』と写真が送られてきたりした。

そして毎回本人が写っていた。

ただの情報なのか、はたまた甘えているのか。



「本当に起きてなくて良いのに」

「このくらいはいつもの事だったと言ったはずですよ」

今日も湊は起きていて、俺の分の夕食を出してくれた。

食料品普段の倍消費をしているのでもう少しで尽きてしまうだろう。

「明日は、買い出しかな」

湊は何かを言おうとしているのか、悶えている。

「どうした?」

自分からは言い出しにくくとも人から問われたら少し位は言いやすくなるんじゃないかな。

「えっと‥‥‥明日の買い出しは私も着いていって、良いですか?」


明日は総理の娘と出掛けるようです。

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