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番外編 とある騎士の嘆き

こんにちは(/ω・\)チラッ

ブックマーク、評価ありがとうございます(。-人-。)

感謝の気持ちを込めましてSSを書きました!

楽しんで頂ければ嬉しいです(*´ェ`*)

 急ではあったがあの方が結婚されるという話を聞いて嬉しくないわけがない。

 入団当初は『年下』で『異性』で『高貴な身分』の方というのに不満があったものだが男のプライドを思うと当然のことであろう。それに、いざ行動を共にしてみるとそんな考えはすぐに改まった。

 思い返せば王女の性格はそんじょそこらの男より逞しく頼もしかったのだから当然のことではあったのだ。いつの間にか騎士団の皆が総長の背中に憧れを抱き、信頼を寄せるようになったのは言うまでもない当然の結果だった。


 ある日、敬愛を抱く総長に同僚が興味本位で好みのタイプを聞いた。その場に同席していなかったとはいえこの話を耳にした時は、なんてことを質問してくれやがるんだと頭が痛くなったものだ。だが、そんなものは後に続く王女の返答に比べると些細なものであった。


 『私より強い男性』


 この一言を聞いた時の衝撃がどんなものだったか想像できるだろうか。いや、できないだろう。

 しばらくまともに言葉を発することができない状態でありながらも頭の片隅では『そんな男が存在するか!?』『否!』の自問自答を何回リピートしたことか――――。訂正してほしいと切に願ったものだ。

 別に個人的な意見を言えば結婚が全てというわけではないのでしないという選択もありだと思う。王とて仮に王女が結婚を望まなかったとしても何もおっしゃらないはずだ。王女という駒として他国に嫁いだ場合、自国の損失があまりにも大きすぎるのだから。私もしないという選択を『ぜひ』『ぜひ』お勧めしたい。


 ここまで強く勧めるのは別に国の損得問題を考えてではない。一個人の健康を思えばこそという国と比べれば極小規模での理由だ。しかし、本人にとっては人生を左右する大問題である。

 絶対、絶対そのうち国内で王女の夫を探し出してこいという無茶な王命が総長の世話役的務めを担っている総長補佐の私に下る予感がする。

 あの一言で全く結婚を考えていない訳ではないということがわかってしまったのだから余計に嫌な自信しかない。達成させないといけないのにできない王命など精神的に病む任務ではないか。ただでさえ、この役目に就いて胃薬が常備薬になってしまったのに――――。

 しかしながら、そんな私の予感はありがたくも外れた。王女は自ら伴侶を選び相手に逃げる隙を一切与えず結婚された。恐ろ……いや、見事な手腕であった。




 幸せな結婚式を挙げた王女は最近、手料理にはまったらしい。

 料理人に簡単な品を教えてもらい夫に出したところ凄く喜ばれたという話だった。高貴な身分の女性としてはありえないことではあるが、百歩譲って新婚さんなら許容の範囲内としよう。愛しい旦那のために栄養満点の料理を作って帰りを待っていたい。――――うん、健気でいい奥さんじゃないか。


 だからこそ『少しでも美味しいものを食べて欲しいから自分で食材を買ってくる』なんていって数人の護衛を引き連れ城を出た際も王女を温かい目で見送った。

 城下で騒ぎにならないように騎士服で行くのかぁ。どこからかしいれた知識で新鮮な野菜とか選んでくるのか凄いなぁなんて――――あの時の私は脳内花畑だった。時を戻せるなら言ってやりたい!平民の新婚さん想像してどうする!?王女の性格を思い出せ!!


 戻ってきた王女は新鮮な食材が手に入ったと笑顔だった。

 そりゃそうだろ。持って帰ってきたのは狩ったばかりのアースドラゴン。

 『変換間違えた――――!』と叫んでしまった私の気持ちを理解してくれる者はきっと大勢いるはずだ。


 仕入れから初めてした手料理が旦那に褒められて嬉しいのはわかる。

 だが、毎食ドラゴン狩ってくる嫁ってどういうことだ!?旦那に少しでも美味しいものをと考えた結果食材を狩ってきて食卓に並べる妻。……そんなほいほい狩れるもんじゃないだろ!?どんなに市場に流れず買えないから狩るって……騎士団の心も刈ってるからな!

 毎回ついて行く騎士たちボロボロで帰ってくるからな!!


 そしてその苦情は俺のとこに来るからな!!!

 結婚されても俺の常備薬が減ることはないらしい。

お読み頂き、ありがとうございました(。-人-。)

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