そこにあったのはいつもの日常だった。
ここにきてから何年が立つだろう
もはや実験や一人遊びの選択肢もなく
ただ時間の経つのを待つばかり
「あー暇だ」
2034年人類は宇宙での生活を始めようとしていた。
しかし、火星での生活には少々人類には問題があるようだ。
2031年に開発された人類用実験型火星ドーム施設
ここは酸素の生成から食品までと
人類が生活できる最低限のものを生産できる施設となっている。
しかし慎重な人類は本当に火星で暮らせるのか
生け贄とも言える実験体を用意することにした。
その実験体に課せられたミッションは
⦅火星で20年間生き抜くこと⦆
人類の叡智とはすごいものだ
月では人口が1000人を越えようとしている。
火星まで5ヶ月で行けるロケットの開発から
ドームの建設まで1年
初めは火星の開発でたくさんの人が
訪れていたが、安全性の問題に保証がないため
完成とともに地球へ帰還
そして火星には僕1人
ここに来て5年が過ぎた
小さい頃テレビのロボットものが好きで
宇宙コロニーでの生活に憧れていた俺は
特に成績が良いわけではなく一般企業に就職
勤続3年目で目立つことも無かったが、普通の生活をしていた。
そんな俺の家に一通の手紙が
「NA...NASA?」
その手紙には全人類からランダムであなたが選ばれた的なことが書いてあった?
それ以外は英語で読めなかった
興味本位で書いてある住所に行ってみた
それが人生の分かれ目
なぜかそこには親も来ていて
俺が選ばれたとかなんとか言っていた
俺はまだ何もわかっていなかったが
それ以上に親も混乱しているように見えた。
アメリカ人らしきおじさんが近づいて来たと思ったら
小切手?を渡されて
そこには
your 20yearlife 1,000,000$
あなたの20年?人生?100万ドル?
なんのこっちゃ?
途端に宇宙服を着せられて
小さい箱に詰められた。
「これは宇宙船か?」
中には日本語の説明書らしきものが入っていた
(楽しい宇宙生活)
なんだこれ?
読む間も無くカウントダウンが始まった。
「えっ何これ」
ワン、ゼロ
爆音と共に物凄い圧力を感じる
「えっ待て待て」
苦しくて意識が飛びそうになる
やっと思考が追いついた。
俺は宇宙に行くのか?
宇宙開発をしているのはニュースや
ネットで知っていた。
月に人が暮らしているのも
火星にドームができたのも
だからと言って庶民が宇宙旅行なんて出来るはずもなく
月に住んでいるのも一流の科学者や
月でのビジネスを企む、企業のお偉いさんだ
なぜ俺が、、、
しばらくすると圧力は弱まり
詰められていた箱が開いた。
そこは明らかに宇宙船だった
「地球は青かった」
ベタだけど窓を見て言った
なぜか涙が出た。
改めて(楽しい宇宙生活)を読むことにした。
そこには、火星での生活のために実験体が必要なこと
俺が抽選の結果選ばれた事
火星までの生活の仕方
火星での生活の仕方など、たくさんの情報が書かれていた。
「あれっ夢叶ったんじゃないか?」
「宇宙での生活?会社に通うだけの人生からおさらばだ!」
その高まりは1ヶ月で消えた。
火星まで5ヶ月
宇宙船の中はあまりに狭い
自動運転で火星のドームまで連れて行ってくれるみたいだが
運転を勉強して地球に戻ろうとさえ思った。
幸い欲しいものは地球から送ってくれるみたいだ
人間の負担を考えない場合
1ヶ月でものは運べるそうだ。
連絡も宇宙メールという未来みたいなシステムで
出来るらしい。
そして5ヶ月が経ち
火星に着いたのであった。
「マスター!」
宇宙船のドアを開けた瞬間に聞こえる声
「女の子?」
「初めまして、マスターのお世話を仰せつかっております。
家政婦ロボのマリアと申します。」
いきなり現れた美少女に戸惑う
「どう見ても人間なんだけど」
「いいえロボです。
マスターが知ってるとこでいうと
ペッパー君と同じです。」
「なんで宇宙にきたらいきなり未来なんだよ!」
「私はAIロボの最新型です。
地球での実用化は費用的に厳しいようです。
火星でマスターに死なれると困るのでと
米軍が提供してくれました。」
人類の進歩とはすごい
また米軍がこんな技術を隠していた。
「そんなに信用されてないのか俺は」
「はい、あなたは最も人類として普通だったため選ばれたので
特筆する特技もないはずです。」
「えっそんな理由かよ
騙された」
「それではマスター施設をご案内いたします。」
こうして俺の火星生活は始まった。