奇襲にて、鬼となる
今回は、シリアス展開です。
いつもの朝、いつもと同じ人、いつもと同じ行動・・・
皆にとっていつもと同じ日・・・
唯一つ違うのは
ウゥ~~ウゥ~~ウゥ~~
カン!カン!カン!
甲高いサイレンと警告音が鳴り響く
皆が一斉に戦闘態勢に入り陣形が組まれる
そのとき、一人の騎士がつぶやく
「きた」
このサイレンと警告音の意味は誰もが知っている。
ただ一人を除いて
「きたって何がだ?」
「人間の王国に攻めてくるのは魔人族くらいだろうが!」
魔人族・・・ああ、女神が言ってた奴ね。
そうだ、俺、魔人族と人間の戦争を止めに来たんだ。
「全員!王妃と姫様を守れ!」
「「「はっ!!」」」
「団長は、王の所へ」
「わ、わかった!」
そういえば、王様は病気だったな・・・などと考えながら走っていると
王様の部屋についた、中ではすでに戦闘になっているのか剣と剣がぶつかる金属音が響いていた。
ガチャッ ギーー 扉を開けると・・・
「おっさん?・・・」
そこには、背中から剣をはやした王と見知らぬ連中がいた
「貴様らがやったのか・・・」
いつかの女神のときと同じく黒いオーラを出す。
しかし、そのときとは、比にならないほど深く、そして、おぞましい見た目だった。
王はかなり強い勇者の半分はあろうかという戦闘力を持っていた。
そんな王を倒した連中ですら後ずさり、そして、恐怖の色を瞳に宿らせる。
「後ろに下がるな!進め、進め~!」
その言葉を合図に連中が一斉に襲い掛かる
ブシャッ
そんな音と共に先頭の一人が真っ二つになる
ブシャ ゴリッ グチュ
一人、また一人と先頭の奴らが、斬られ、貫かれ、潰されていく。
「なんなんだ!」
「クソッ!クソッ!」
理不尽な 死 を前にして皆が口々に文句を言い出す。
その死をもたらすのは、エイジである。
エイジは、操影術で自分の影を具現化しさまざまな武器で敵を死に至らしめる。
その姿はまさに 鬼神 であった。
そうして死を運ぶうちに最後の一人になっていた。
その一人は逃げようともせずに、ただ一言つぶやいた。
「鬼め」
ブシャ!
最後の一人まで例外なく血の海に沈み
鬼神 がその中を歩く
ぴちゃ ぴちゃ ぴちゃ
「おっさん・・・」
「おっさんとは・・・まあ、よい」
「いま、助けてやるからな」
「よい、私はどうせ助からん。」
「いや、助ける」
「よい!私はよいから、姫を・・・姫を助けろ」
「だがっ!」
「王の命令だぞ!」
「・・・はっ!」
エイジは敬礼をして走り出す。
「お主も涙は流れるのじゃな・・・」
次は姫さんを助けに行くよ。