はじめに
府立K高校はわたしが通っていた学校だ。
わたしはその当時五期生。
新設されてから五年目の学校は校庭に植えられた木々も若いし、校舎も体育館も、机や学校の機材も、どこもかしこもぴかぴかで綺麗だった。
当然学校の七不思議という話はなく、怖いといえば文化祭準備とかで下校が遅くなった際、最寄駅近くにあるS寺に面した墓地前を通ることだった。
それでも、何かが出た、という話は聞かなかったが。
わたしが今なぜK高校のことを話すのかというと、わたしの娘が今年の春からK高校に通っている。
その娘が学校にまつわる、「不思議な話」をした。
「帰り道」の怪談としてS寺の墓地前の話も加わっていた。
およそ三十年もたてば、それなりのものが出来ているのだなと感心してしまった。
娘が言うに、K高校の七不思議といわれているそうだ。
七不思議、すごく馴染みなフレーム。
学校の怪談は七つという決まりでもあるのだろうか。
しかし娘は全部の内容は知らないが、怖いといわれる所なら九つほどあると言っていた。
(他の生徒から話を聞く機会があるなら、もっと複数の「不思議な話」がありそうだ)
実際に言われている七不思議がどこなのか、判然としないという。
そのあたりがいかにもいい加減、後付けでできあがった「不思議な話」だと感じる。
いや、あえてはっきりと正体が掴めないからこそ、七不思議の奇妙さが浮き立つのであろうか。
娘が実際に内容を知る学校にまつわる怖い話は六つある。
K高校を懐かしみつつ、そこにわたしなりの推測を加えて「現実的な話」として考えてみる。