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超能力制御部  作者: 杉里
3/3

2、俺らの部活動初日

 一昨日の部活に入る騒動の後、その次の日──つまり昨日に、早速入部届けの用紙を貰いに行き、そして今日だ。入部届けは昨日家で書き、今朝に、入部届けを出した。そして、今───初めて部室に入るのである。

 俺も翔も超能力制御部の扉前で足を止める。

「…………来斗」

「あ、ああ。……なんだ?」

「僕ら、大丈夫かな……?」

 ちなみに、俺もついでに入部することになってしまっている。翔に頼まれたのもあるけど、心配だったってものある。もちろん口には出さないけど。

「…………大丈夫だろ。多分」

 正直大丈夫じゃない気がするが、口に出してしまえば負けだ。

「多分、か……」

「ま、まぁ、入ろう! 入部したからには、入るしかない!」

 すぅーー、はぁ~~と深呼吸をし、俺がドアノブを握る。

「……行くぞ」

「…………うん」

「───し、失礼します」

「えっと、失礼しま~す」

 とりあえず、入ってみたけど……

 あ、え~と……。き、気まずい……。

 ふとこっちに背を向けていた人が振り返る。

「──ん? あ、もしかして、らいたんとしょーたんかな??」

「ら、ら、らいたん!? ってもしかして、俺のこと、ですか……?」

 らいたん!? なんじゃそりゃっ! 来ちゃんの方がましだって!

「あ、どうも」

 ってなんで翔は普通に挨拶してんの!?

 ────って、あれ? 挨拶するのが、普通……なのか??

「ほうほう、新人くん! いらっしゃーいっ! ようこそ!──」

「──超能力制御部へっ」

 ぴゅらーんと花が沢山咲く。

 え? え? どうなってんの!?

「おお。言えたねー、玲茶(れいさ)ちゃん! 偉い!」

「それくらい出来るよ〜?」

「──え、えーっと、よろしくお願いします」

 と、とりあえず、挨拶しといた方がいいよな。うん。挨拶大事。

「はーいっ。よろしくね〜〜! らいたんっ」

 誰かわかんないけど、テンション高ぇ!

「あ、荷物はその辺置いといていいよー。んーで、えと、私が、部長の花村結(はなむらゆい)。結ちゃんでも、結でも、なんでもいいから適当に呼んでね〜。三年B組だよっ。超能力は『開花(かいか)』! んーとね、こんな感じだよっ」

 というと、手を線を描くように振る。

 お、おお……!! 花が満開だ……! さっきのはこれか。

 つまり、手を振ったラインに沿って、花が咲くと。

「──あれ? 先輩は自己制御出来るんですね」

「まぁね。私はもう小学生の頃から出来るよ」

 えっへん、とかされても。

「──え? じゃあ、なぜこの部を?」

 確かこの部は花村って人がつくったと聞いている。

「あー、もともと玲茶が制御出来ないから、私が作った部なんだよね〜。玲茶とは、幼馴染みで、昔から超能力の暴走ばっかりに困ってて。あ、後、私のこと、先輩は禁止ね?」

 なんめっちゃかいい人じゃん……。

「えっと、じゃあ、なんて呼べば」

「結とか、結ちゃん♡とか。いっぱいあるでしょっ」

 なんでハートが付くの!?

「ゆ、結さんでいいです!」

「じゃあ、僕は、結ちゃんにするねっ」

 うおっ! さすが翔って感じだな!

「うんうん。なんでもいいよっ」

 とか言いながら結さんって言ったとき、ピクッと眉が動いたような……? き、気のせい、だよな??

「私は高杉玲茶(たかすぎれいさ)だよ〜。結が言ってたけどね〜、結とは幼馴染みで、いつも助けて貰ってるんだ〜。そして今年は運良く結と同じクラスになったからね〜、三年B組だよ〜。え〜と、いまだに自己制御は出来ないけどね〜、超能力は『水質体(すいしつたい)』でね〜、見せられないけど、要するにね〜、んーっと……私の体がね、人型の水になるような感じだよ〜。あ、液体でね〜」

 き、綺麗な人だなぁ……。

「あ、よ、よろしくお願いします。えーっと、玲茶先輩」

「玲茶ちゃんもよろしく!」

「おい。先輩だろ」

 なんでそんなフレンドリーなの?

「いえいえ〜。別に先輩だなんてね〜。そんな堅苦しくなくて大丈夫だよ〜」

「そ、そんな気を使わらなくても」

 なんていい人なんだ玲茶先輩!

「そうそう、そうだよっ! 超能力制御部のいい所は、みんな仲良しな所なんだから、気ぃなんて使わなくても全然大丈夫っ☆だからね、タメ語でいいんだよ?」

 大丈夫とか言われても。初対面ですよ? そんな俺強くないです。

「あ、えぇと……。じゃあ、よろしく?」

「なんで疑問形なのかなっ、らいたん?」

 そんなこと言われましても、結さん?

「えぇ〜と……。玲茶さんよろしくっ!」

 もう敬語の方が可笑しく思えてくるよ、この部っ!

「うんうんっ。みんなで仲良く毎日楽しも〜うっ!」

 確かに結さん超楽しそうだな!

 毎日充実しまくってるって顔をしてる。

「うふふ。うん。来斗くん、翔くん、仲良くしてね〜」

 綺麗な人だなー。玲茶さん。

「次っ、すーたん! 自己紹介っ」

「あ、はい。本の世界に入り込んでしまってたです。忘れてたです」

 おお、なんか、部屋の壁にもたれ掛かって座っているこが、本から目を離してこちらを見る。

 つか、やっぱりたん付けなのかよ。

「どうも。栗無須戸菜(くりむすとな)です。二年A組です。二年になってすぐに入部したです。自己制御の前に、自分がどんな超能力を持つのかすらもわからないです。後は略称です」

 おとなしそうに見えて、実は超能力の性質すらわからないと。

 まぁ、仕方ないことなんだけどな。

 こういう人もいるんだなー、とか思っただけで。

「えっと、須戸菜先輩もよろしくお願いします」

「すーちゃんもよろしくねー」

 いやいや。こういう人は敬語にしないと。

 つか、いきなりあだ名つける!?

「ん。よろしくです」

 え? いいの? 全く気にしてない様子だけど? え、俺が可笑しいの??

「はい次っ! きーたんっ!」

 あ、もう次ですか。

「は、はいっ。え、えぇ〜と、わ、私は、咲都桐木(さくときりき)です〜っ。ちょ、超能力は『冷却』でしてっ、対象物を冷却、最終的には凍らすことまで出ぎるんでずけどっ、わ、私には操れないです〜っ! れ、冷却してしまったときは、申し訳ございまぜん〜〜っ。あ、後、二年D組で〜すっ」

 ────おおお……。可愛い……。

「よろしくね〜。桐木ちゃん」

 ────あああ〜〜。可愛いぃ〜〜。

「────えーっと…………らいたん??」

 ふと、ジーッと俺の方を見る結さんの視線が。

 なんだよ。俺はきーたんの素晴らしさに慕ってるとこなんだけど。

「──────へ? あ、あぁ。す、すいません。えーっと、きーたん、よ、よろしくお願いしますっ」

 ──────って俺は何を言ってるんだ!?

「き、きーたんっ?? も、もうっ。結ちゃんが変なあだ名付けるからだよぉ〜〜」

 す、すみませんっっ。

「うっわ〜〜。来斗くんがフリーズしてた……。こういうこが好きなのかなぁ……」

 なんか玲茶さんから小さい呟きが聞こえ────いや、聞こえないっ! 俺は何も聞こえてないぞっ!

「────す、すいませんっ! 焦ってしまっててっ。えーっと、桐木ざんっ。よ、よろしくっ!」

「……噛んだよね?」

「噛んだね〜」

 か、噛んでなんかないでずっ。

「来斗と翔、よ、よろしくお願いしますっ」

「───で。らいたん、しょーたん。ほらほら自己紹介っ」

 あれ? もともと四人しかいなかったのか、この部。

「あ、じゃあ俺から。────えーと、俺は、本名冬野来斗(ふるのらいと)です───だ。一年E組で、翔とは桜高で知り合って、シェアハウスで一緒に住んでるんだけどなー。……一昨日も家の本棚を超能力の暴走で壊されたから、この部に入ることにした。俺の超能力は『加速』だ。簡単にまとめると────あ、見てもらった方が早いか?」

「そうだねっ。この辺でやってみて〜」

 ちょうど机とかもない短めの通りがほつり。

「ら、来斗は、超能力操れるんだぁ〜。自己制御出来る人は、二人目ですぅ〜っ! この部もやっと成果が出できたね〜〜」

 すごく嬉しそうに言ってくれるのはありがたいんだけども。二人とも元々じゃん。それは成果とは言わんでしょうよ。

 大丈夫かな、この部。なんか特に意味ないんじゃ…………

 ま、まぁいいや。とりあえず披露しよう。

 スーッと足の力を抜く。

「────じゃ、じゃあ、行きます」

 ごくん、と唾を飲み込む。

 なんか超能力使うのに緊張しちゃってるよ。

 よしっ。

 俺はその短めの通りを瞬時に走って見せる。

 うん。いつも通り。

「…………」

「────えーっと……?」

 いつも通りにしたはずなんですけども?

「…………普通だね?」

「普通だね〜」

「そうだろうな! 何求めてるんだよ、俺の超能力に!」

 やって見せたのに、普通ってなんだよ!

「あはは。ごめんごめんっ」

 確かに結さんのは凄かったけどね!

「……風吹かせないでくださいです。埃が舞うです」

 酷い!須戸菜先輩は本にしか目がないの!?

「す、すごいでずぅ……」

 …………。

 完全に気ぃ使ってくれてありがとうっ!

 …………あ〜〜、何この反応。俺やる意味あった?

「来斗はやっぱり普通なんだよ」

 翔!? 翔も裏切るのかっ!?

「おいっ。やっぱりってなんだよ。普通って結構良いことだと思うんだけど」

 まず、この部が普通じゃないんだよ!

 成果出てないし! どの辺で学校は公認したの??

「まあまあ。別になんでもいいって!」

 良くねぇよ結さん。

「じゃあ、次は僕の自己紹介だね」

 流石。切り替えの早い翔だこと。

「そうだね〜」

「うーんと、僕は早川翔(はやかわしょう)。別に何て呼んでくれても大丈夫だよ。僕は来斗と一緒の一年E組。超能力は『木破壊(ぼくはかい)』っていって、木製の物をぼろぼろにしちゃうんだ……。うーんと、それで、超能力制御部に入ることにしたんだよ。噂では、ヤバイ部とは聞いていたけど、結構楽しそうな部で安心したよ。これからよろしくね〜〜」

「しょーたん、よろしくっ! そっか〜気に入ってくれたのかいっ! 私もこの部のこと大好きだよ〜〜」

「良いこが来たね〜。改めてよろしくね〜、翔くん」

「…………」

「よろしくです〜っ」

 なんか高評価なんだけど翔! 俺大丈夫かな?

 須戸菜先輩は特に用無しみたいだけどさ。

 俺この部について行ける気がしないんだけど……。

「んじゃー、歓迎会っ!! 始めたいけど、何もないから、今日準備して、明日しよーうっ!」

 歓迎会!? この部にはそういうのもあるのか。

「おーっ! 歓迎会! いいね〜〜。僕歓迎されるんだ〜」

「俺も楽しみにだな! 何してくれるんですか?」

「ふふ〜んっ。内緒だよ〜〜。ね、玲茶?」

「もちろんだよ〜。超能力制御部の恒例だもんね〜」

「恒例? てことは、俺ら以外はみんな内容を知ってるわけか?」

「はいっ! 私のときも歓迎会ありました〜っ! すっごい楽しかったです〜っ!! 明日は絶対来てください〜〜」

「ふふっ。私と玲茶の超能力制御部初日のときが始まりで、次はすーたん、その次はきーたんって、毎回どんどんバージョンアップしてるからね〜〜っ! きーたん、らいたんとしょーたんで、またバージョンアップさせるぞっ!」

「いいですね〜〜っ! 私、頑張っちゃいますぅ〜」

「さあっ。準備するよ〜! まず作戦会議だからっ! らいたんとしょーたんは、今日の部活動はここまでっ! 明日は少し遅れて部室に来てね〜〜っ」

「了解だよー」

「わかった」

 おおお。これは結構楽しみだ。

 床に置いていた鞄を持つ。

「えーっと、改めて、これからよろしく」

「僕もこれからよろしくね〜〜」

「もちろんっ! らいたんもしょーたんも可愛がってあげるよーっ」

「こちらこそよろしくね〜」

「よろしくです」

「いい人たちで良かったです〜っ」

 なんか結構いい部じゃん。

「そんじゃあ、また」

「またね〜」

「はーいっ」

 翔と俺は部室を出る。

 なんか、いい感じの部じゃん。騒ぎはおきそうだけど。

いきなり人増やしすぎたかな、とか思いつつの第二話です。

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