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いろせかい  作者: 雲雀 蓮
化学反応→生成物+?
9/43

クロム酸カリウム色

一応新章突入!的な感じです。

ぐるぐる、とまわっている。



それは時計の針。

はたまた私の頭。


どちらにせよ止まることはできない。なぜかって?それは、


「帰りたい」


切実にそう感じたからだ。あ、とつい本音が。

シーンと静まり返った部屋で大きく伸びをする。

先程までずっと張り付いていた聖奈はもう寝た。私も寝るべき時間だ。


この世界のシャロをシャロ1号とすると、やはり連れてきた方のシャロ2号とは少し違う。

少しだけ、心が人間らしい。


あのあと何時間にも及んだ私の質問に、全て笑顔な上に心中で悪態をつくでもない。

相当人格ができているのだろう。私には到底無理だ。顔に出るから。


「ねむい・・・けど、まとめなきゃ」


重い手を動かして、メモとシャーペンを握った。ぐにゅという感触で目が覚める。

おいおい、私はクル○ガ派なんですけど!ほかのはないの?!

眠かった目を皿にして見回すが、代わりのペンはない。

私は渋々そのペンで書き出した。


・どうやら私は死んでいるらしい。

・聖奈はそれを受け入れていないらしい

・シャロ2号は不定期にこの世界に来るらしい。

・夏樹が友人で、聖奈は姉。


そこまで書いて一度、手を止める。

あんなにまとわりついてきて、ウザったいと感じていた兄すらも今はいない。

夏樹はどうなのだろう。私が死んで、悲しんでくれただろうか?

それとも、聖奈と同じく信じられずにいるのだろうか。

考えかけて、眠りそうな自分に気づく。寝ないように手を動かす。


・聖奈と夏樹は付き合っている。

・私とシャロは今回のことをきっかけに知り合った筈である。

・自宅であるこの部屋は聖奈の隣の部屋らしい。


なんだか、変な話だ。

この間の化粧魔人さんとの事件が記憶から抜け出で行きそうな位。


つい最近出会ったばかりの聖奈と姉妹なんて。しかも元・兄とお付き合いなんて!

どういう運命の巡り合わせなのだろう。

いろんな意味で元の世界の聖奈と合わせる顔がないよ。


今日だけでわかったことを書ききれたので、一度ペンを置く。


大きく息を吸って、吐いて。泣いた。

久しぶりに、独りだ。いつも味方だった兄はどこにもいない。

私はブラコンだったのだ。向こうはシスコンとロリコンをこじらせていたけれど。

無償の愛が嬉しくて、もっと欲しくて。態とツンケンして気を引いて。


高校入学の時も、学力向上の実験的な時も、聖奈の時も。

いつも助けてくれたのは兄だった。


「おにーちゃん」


そう呼ぶのをやめたのはいつだっただろうか。

自分だけで立ち上がれるようにならないと。いつまでも一緒に居られるわけじゃないと思ったのは。

どんなことがあっても一緒に居たいなんて、不覚にも思ったのはいつ?


「ちがう、違う。お兄ちゃんは結婚なんてしない。しない。これは違う人」


結婚するのは『夏樹』。お兄ちゃんじゃない。それが正しいのだ。


二つの世界の記憶が混ざる。私は他の人と違い、得る情報量が違うから。

私は睡眠時間を減らすと、精神衰弱に陥りやすくなるのだ。何もかも怖くてたまらない。

いつもしていたことができなくなる。寝付けなくなるのもその一つだ。


「ねなきゃ、」


寝てしまえば、直る。ほら、早くベッドに行かなきゃ。

暖かいお布団だから、早く寝れる筈。ねぇホラ。はやく!


『那都琉』


幻聴が私を誘う。過去の記憶の箱の中へ。


いい夢を見た気がした。ありきたりだけれども。

都合のいい夢を、見たんだよ。


次の日朝。『翌朝っていえば文字少ないのにね』何の話?


やはり睡眠不足である。

朝から幻聴聞こえるじゃないですかやだー。

『コピペ乙』、という声が聞こえる。だから誰だって。


もう少しだけ、眠ろう。

二度寝の始まりだ。今日は何度までいけるのだろう。

ふふふ、こう見えて私の最高連続睡眠は10度寝で二日だ!


というのは嘘。そんなに寝てたらご飯とかどうするのさ。

二度寝のつもりが半日なんてザラにあるだけだよ。

10度寝って眠り浅っ。私にとってはノンレム睡眠の方に価値があるのに。


まぁ、気づいていたよ。無理だって。


「おはよう、那都琉」


今日も狂ったように聖奈は来た。

いや、既に狂っているのか。


「朝ごはん、作ってあるから。顔洗ってらっしゃい」

「んーーーーーーーー?」

「ほら、起きて」


繰り返される非日常。

それを初めて恐怖した。


「ねぇ、聖奈」

「なぁに?」


聖奈が準備してくれた朝食をいただきながら、訊いた。


「夏樹ってどこにいるの?」

「え(照)」

「え゛?」


ぽっと火が付いたコンロ。今の聖奈の顔を表現するとそんな感じ。

正直に言おう、夏樹バカ。はげ。

羨ましいことこの上ない。なにこの可愛い子。嫁に来てください。


あ、そうか。元の世界に戻ったらその話をしよう。

海外だと同性結婚とか事実婚とかありなところあるし。


「えー、とね。わ、からんあかあいおう」

「とりま、落ち着いてくれると嬉しいなー」

「わからないわ、仕事場は」

「そっかー。連絡先は?」

「那都琉の携帯に入ってない?」

「んー、あ。あった。ありがとうお姉ちゃん」


苗字は変わっていないようだ。『朝野 夏樹』と何の女子力もない電話帳を見る。

もっと『なっきゅん』とかアホ丸出しの登録だったら笑ったのに。

携帯の番号と、メアド。どちらでも怒られないだろう。

ご飯が終わったら昨日のように、遊びに行ってしまえばいい。


まぁ、その手順は割愛。ここの聖奈騙され易すぎる。

詐欺とか大丈夫だろうか。他人事だけれど心配だ。


チキチキ、第一回夏樹に連絡を取ろうの会!


まずは電話。

ぷるるるるるうるるるるるるるる


なにこれコールなっが。しかも洒落っ気ないな、おい。

「この電話は現在電波の届かない」ぶち。留守電か。仕方ない。


次、メール。

「えっとー、ちょっと話したいことあるのでー電話でもメールでもいいのでー」

ここまでで胃液吐きそうだった。バカを装うのって辛い。『精神攻撃は基本』

だから誰だって。

とりあえず、送ってみた。あとで謝罪しておこう。機会があれば。


もうすることがない。ざんねん、ぼくのぼうけんはここでおわってしまった!

諦めの色が濃くなったその時。


~多めにみろよーばかやろー♪


着メロ。私も知っている、あの名曲。「三年目の不倫」。

おもわず失笑。え、なに破局しろって意味?

画面見る限り、『朝野 夏樹』って出てるんだけれど。

ほうっておくと意味がないので2コールくらいで出た。


「はい、もしもし朝野ですけれど」

「・・・・・・」


イタズラ電話かと思うくらいの沈黙だった。

あ、癖で朝野って言ってしまった。それで疑って?


「こっちも朝野ですけど」

「あ、すんまそん」


そうですね、家族だもん。じゃなくて、これはあかん。

勘違いフラグだ。折らないと今後の情報収集に支障が出る。


「間違えました、朝野さんですか?えーと碧井です」


またもや沈黙。

この人電話は苦手って人だったっけ?私との電話めっちゃテンション高かったじゃん。

ギャップというより違和感に泣きそうになった時。夏樹は漸く話した。


「那都琉?」

「いえす、と言いたいところですが。ちょっと違うんです」

「今、どこに?」

「近くの公園です」

「あぁ、あそこか。今から行くからそこにいろよ」


ぶち。


有無も言わせぬ強引さん。嫌いじゃないけど、嫌い。『どっちだよ』

だって私は引きずり回したい人だから。

人の手の平ってボロボロにしたいよね、え。そんなの思わない?なんで?


ガラケーの『那都琉』ケータイ。

装飾すらまともになくて、キーホルダーもほとんどない。

手イタズラすらすることがないので、ブランコの全力漕ぎをして夏樹を待った。

ハァハァ息を乱す私を、彼はどう思っただろう。


「はぁ、ずっと・・・はぁ。待って・・・たんです、はぁ」

「わかった、一回落ち着け」

「はぁ、めーれーする、はぁ・・・な。ばーー・・・はぁ・・ーか」

「そんなに俺を罵倒したいのか?!」


元から私は体力は無かった。病弱なのだ。あまり運動をしないからつい忘れがちだ。

そう。つまり、夏樹が来るのが遅かった訳ではない。寧ろ逆だ。

ものの十分で彼は来たのだ。どこからともなく。


「で、那都琉」

「へぃへぃ」

「なんで生き返ったんだ?」

「違いますー」


異世界から来た「那都琉」であること、シャロを探していること。

聖奈が世話を焼いてくれること。全てを話した。

彼は驚いた風でも、落ち着いた風でもあった。

トチ狂うことなく話に傾聴してくれた。


「そういうことか。じゃぁいつか戻るのか」

「えぇ、聖奈には申し訳ないけれど。ここは私のいるべき世界じゃないですから」

「・・・そうでもないかもしれないな」

「え」


当たり前のように帰るという話をした。

帰るのが、私の希望だったから。他の人もそうだろうと。

でも夏樹の考えは違った。ただ、それだけだった。


「だって、那都琉がココにいれば聖奈は普通で居られる」

「・・・・」

「君がココにいれば、シャロはこれ以上被害を拡大させない」

「・・・・」

「君が」

「いい加減にして!」


怒っても仕方ないのに。夏樹の言葉は完全に間違っている訳ではないのに。

自分でもわかっていた。このことを言ったのが夏樹であるから許せなかっただけだ。



「私は何があっても元の世界に戻る!自分の為に、誰を犠牲にしてでも帰るの!」



人の役にたちたい。そう言ったのが嘘のようだ。

また、夏樹に反発することしかできない。これをツンデレと呼ぶのなら、なんて可愛くないのだろうか。



この世界ならば、私の存在価値が跳ね上がるというのに。

それを選択できない私に、何ができるのだろうか。





作中の「三年目のー」はご存知アノ曲です。

はっきり名前を出すとやばいかなーっと思いまして。


『』の中の声は天の声と考えてください。

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