きらきら輝く未来色
きらきら光る世界。
それはいったい誰が望んだのものだっただろうか。
いったい誰が、この色鮮やかな世界を望んだのだろうか?
出会いと別れ
希望と絶望
幸せと、不幸
どれも経験しなければわからなかっただろうに。
どれも経験してしまえば、世界を憎むだろうに。
きらきらしているのは全部既製品で、
本当は全部ドロドロした恐ろしいものばかりで。
見てしまったことを後悔するしかないのに。
今更世界を知った私がここにいる。
自分はどうしようもなく弱いし、情けない。
しかも世界はいつも残酷なまでに冷たい。
でも時々見えるんだ、
きらきらしているもの。
まるで星のように 絶え間なく光るもの。
まるで太陽のように 絶え間なく暖かいもの。
私の世界は今もまだ狭いよ。
この両手で抱えられちゃうほど。
みんなが小さいっていう私の両腕で支えられるほど。
そこからたくさんの声が聞こえてくる。
「那都琉、那都琉」
「今日はね。このお高い紅茶を淹れたの」
「こら、那都琉」
「嫌いだからってピーマンはじくな!」
「あ、那都琉!これ、見てくださいよ」
「私の勿忘草ですよ。かわいく飾ってあるでしょう?」
「那都琉ちゃん。このゲーム面白いねー」
「那都琉ちゃんのゲーム下手さが露呈するね!」
「あ、お姉ちゃん。どうしたの?」
「おなかいたいの?だいじょうぶ?」
みんなの声が私を留めようとする。
ほかのことなんて見る必要はない、と。
世界の外側からも同じように聞こえる。
「おっ、那都琉ちゃんいらっしゃい」
「今日もクール!でもそんなとこもかわいいー」
「あ、あのさ。朝野」
「私も名前で呼んでもいい?」
「久しぶり、那都琉」
「相変わらず小さいね?誰に似たんだろうねー」
その外からは最近であった人ばかり。
私を引きずり出そうとする。
『なんで外に出なくちゃいけない?
こんなにも幸せなのに。
どうして?』
宙ぶらりんの私に 平行世界の私が問いかけてくる。
当たり前な答えすら知らないの?
なんて胸を張って 私は言う。
「どうせなら、みんな幸せがいいから」
どうせハッピーエンドになるのなら、みんなで。
それが私の願った世界だから。
きらきらした世界なんてどこにもない。
どこかドロドロしていて、恐ろしい。
だったら、私が新しく塗り替える。
どこもかしこもきらきらで、
ドロドロなんてしなくて、
いつもみんな笑顔で──
そんな世界を、私はずっと願い続ける。
いつか実現する日を願って。
それぞれの いろ があふれている、
そんな世界を。
ずっと、願い続ける。
いつかそうなる日が来るまで、ずっと。




