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いろせかい  作者: 雲雀 蓮
虹の麓でこんにちは
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踏まれても強く生きる蒲公英色

こそっ。


自分の通っている学校なのに、私の足取りは重い。

それはそうだ。中学のときは後半から、高校は最初から登校が途絶え気味なのだから。

聖奈みなに大見得は切ったけれど、特に深く考えたわけでもない。



ただ、聖奈を悲しませた奴の顔を拝みにきただけだ。うん。かっこいい。



「2-6、2-6・・・」

「どうでもいいけれど、ココは一年生の階層よ。二年生はもう一階上の階層よ」



聖奈の冷静なツッコミに、心の外堀が埋まった。(訳:泣きたい)

生まれたての小鹿のような足で、階段を一段飛ばしで駆け上がる。

あー、生きるって大変!もう悲しみで生きる気力なくしそう。


聖奈は意外にもピッタリ私についていてくれる。

不安なのは私だけじゃないんだ。仲間(どちらも瀕死)がいる!


といったお花畑は、台風に荒らされるのが落ちですね、はい。分かってました。


          ざわ                     

                     ざわ


私には縁のなかった友達グループが、今日も楽しそうに談笑している。

私も混ぜて☆なんて薄ら寒いこと、私にはできなかった。今も無理。


段々荒む心をしまい、教室を見回す。

野次馬根性の人が何人か私を見て、胡乱げな目をしていたが気にしない。


「ねぇ、聖奈」

「窓際の前から3列目」


おとなしくその方向を見ると。いました。

見事にごってごての化粧の女子が。なにあれこわい。

元の顔ってどんなのだろう。という探究心が顔を出す。


「聖奈ってお化粧する?」

「ナチュラルは偶にするわ」

「じゃあさ、化粧落とすやつもってる?」

「あるけど。まさか」



「人間は見た目が全てじゃない、ってことの証明でもしようかなーって」



私は今から聖奈からもらった魔法のティッシュと共に、死地に赴きます。

きっと大丈夫。遺体で帰ってくるよ。涅槃で待つー。



「あのーすみません」

「あ゛?」



ひゃー、怖いこの人やばい人だー。

『なにこのチビ。うざ』心の声も同じトーンはやめてください。


「少し、失ー礼ー」


ごしっ

ごしっっ


ゴメンネ、数時間の貴女の苦労を無意味にしています。

あとでなんかおごる。だから今は許してください。

半魚人みたく、落差の出た顔を薄めで見た。右半分だけ落としました。

てれれーん。私の女子力が1上がった。SAN値(正気度)が2減った。発狂寸前。

好奇心は猫を殺します。危ない、危ない。


「えっと。き、綺麗にできましたーなんて」


苦笑いで、私は逃げた。私はウサギ、私はウサギ。

脱兎のごとく、私はその場から逃げた。



しかし、まわりこまれてしまった。(ぜつぼう)



「あんた、なに」


疑問文にはクエスチョンマークが必要です。この文章はきっと間違っています。

脳内で誰かが面白い話をしている。そっちに私を逃がしてよ!


「なにってただの通行人ですよーあははいやだなー」

「覚悟はできてるんだろうね」


振り上げられた右手拳を見て、殴られると思い、目を瞑った。

痛いのは嫌いなのに・・・!優しく、優しくお願いします。土下座とかならいくらでもするから。


ガンッ!


音は私からじゃなかった。

恐る恐る目を開けると、そこには。


「・・・・・つくえ」



机が私を守った。なんで?

恐怖で尻餅ついて、声も無く驚く。



「机じゃなくて、お兄ちゃんですよー」



そう言って机は立ち上がった。『おーい』机の分際で私よりも大きい。『もしもしー?』

そもそもこいつ足ついてないし。『那都琉なつるさん?』なんのための四足だっ。

くっそー机に負けるとか、今まで考えたことも無かった。『聞こえてますー?』なんてこった。


「うるさい、ばーか」

「久しぶりの兄妹の会話それだけかー」


彼は夏樹なつき。私の双子の兄。

私の為と言って同じ高校に入学したお人好し。

私と同じ黒髪をワックスで、ふわっふわにしているチャラ男もどき。

一部の女子には人気らしい。見る目のない女子だったのだろう。

身長は私と20cmも違う。夏樹が私の分を取って行っちゃったんだ。


「この身長ドロボーが」

「あのさ、会話しようよ。な?」


おとなしそーな草食系男子。それが私の兄です。紹介終了。


「で、何でココにいるの?」

「ここ、俺のクラスなんだけど」

「知らないよ、そんなの」

「お前も同じクラスじゃなかったか?」

「知らないよ、そんなの!」

「いや、知っときなさいよ」


三人でコントのような遣り取り。先ほどの人はクラスメートだったのか。

知らなかった。いやほんとに。


その彼女は今、一人で泣いている。


よっぽどあの顔が嫌いなのだろう。醜いと言われる部類なのはわかる。

でも、女の子は可愛いものでしょう?繕うということをし過ぎなければ。

どんなことにも限度というモノがある。見極めが大事なのだ。


周りには先程まで側にいた友人はいない。

こんなものだろう、と私みたいに皮肉屋になって欲しくないなと、心の端で思う。

でも、彼女だけではない。同じような人はもっと沢山いるはずだ。


そこにいる、ネイルをしている子とか、携帯電話で彼女のすっぴんを写メっている奴とか。

一人の犠牲じゃ足りない。何も変わらない。

ごめんなさい、私は鬼。少ない友人の為に、多少のキズは無視する!



「もう聖奈をいじめないでくれる?」



今日知ったクラスメート全員に言う。

その中には勿論、怯えたような顔をした人がいた。

きっと中学が一緒だった人だろう。また荒れてるって考えているみたいだ。

『化物』って声が聞こえた気がした。



「次は、誰が同じような目に遭うと思う?」



嫌われるのは慣れた。

受動的に誰かの本心に触れてしまえる人間だから、能動的に多くの敵を作る。

それが今までの人生だった。これからも変わることはない、運命なのだ。

私はこれからもずっと一人で戦い続けるのだ。

でも、だからこそ頑張って居られる。



「私は君たちの秘密にしていること、ぜーんぶ知ってる」



例え今日、帰り道で後ろから刺されても、

嘘ばっかりついているから、舌抜かれてもいい。

私の行いで笑ってくれる人が側にいるなら、それでいいや。



「今後は自分の行動に責任を持って生活してね。じゃないとどうなるかわかんないよ?」



にっこり笑って、クラス中を舐めまわすように見た。

皆一様に怯えている。さっきまで落ち着き払っていた人すら、脂汗が滲んでいる。

それを見て、私は悠々と学校をあとにした。なるべく威厳があるように見せるためだ。


学校の敷地を出て、漸く力を抜く。

深呼吸ついでに空を仰ぐ。




無限に広がる青い空は、今日も綺麗な青でした。

明日もきっと、晴れるでしょう。





またきました。れんです。


今回も危ういレベルのシリアスがあります。えと一瞬だったので勘弁ください。基本的にゆるゆるしたのを書いていくので不定期更新でございます。

まぁ、見ている方はいつ現れるのかわかりませんが。

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