1/5
プロローグ
紅桜が書きました。
天使ものです!
「あっ、キルク!こっちこっち」
「焦らなくても花園は逃げないよ。ほらあんまり急ぐと転ぶよ?」
「分かったよ、じゃあ、手繋いで?」
「ん、ほら」
「やったぁ、あ、花園見えて来たよ!」
やわらかく風が吹き、花びらが舞う広く、美しい天上の花園に2人の天使が立っている。
「ここ、いつ来ても綺麗だよね、キルク。ほんとに……」
目を細めそういう少女にキルクと呼ばれた青年は微笑んだ。
「あぁ、そうだね。」
キルクはそっと少女の顎に指をかけ、軽く上を向かせた
「目……閉じて?」
少女はそっと目を閉じる。
その瞬間やわらかく、優しかった風が、不意に、冷たく吹いた気がした。
「……っ!?」
少女を激しい痛みが襲った。
目を開けた少女の見たもの、それは白く輝いていたはずのキルクの羽が黒く鈍い光を放ち、悪魔のそれへと姿を変えていく光景、そして、歪んだ笑みをうかべたキルクの顔だった。
「ーー……」
キルクが呟いた言葉は意識を失っていく少女に届くことはなく、風に溶けていった。




