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第5章 謎

第5章 謎


第1話 あの者達・ドランク(1)


 その方に伝えられた所に行った。

あの者達は、3人のようだ。


皆に酷い酔いが襲う。

これは、ドランクの能力だった。

半数以上が、泥酔状態になった。

酔っていないのは、幸だけだ。

「皆、どうしたの」

未久・マリヤ・アリスも軽く酔ったようだ。


 幸の判断で、ケントをムーに戻した。

ケントには、酔いが理解できない。

危険だと判断する事が出来なかった。


 幸は、咄嗟に判断した。

「ここに、精神対消滅波が来たら壊滅だ」


 皆の中には、その事自体を覚えていない者もいた。

事象は、はっきりしている。

「酔いだ」

レオは、『引用の棚』を開いた。

そして、『軽率の桶』を取り出した。

この桶は、精神エネルギー波を一時的に溜める事ができる。

これで、一時的な防御はできるだろう。

問題は、捕縛だ。


 捕縛は、アリスの能力『鎮魂の鏡』を試す事になった。

この能力は、かつて、ト-ヤの必殺技だった。

命の欠片を元の持ち主に還した。


 ユーラが言う。

「『鎮魂の鏡』はよいでしょう。

ですが、『軽率の桶』は、使ってはいけません。

貴方達の力で解決しなさい」

「どういう事だ?

しかし、そうするしかないのか」



第2話 あの者達・ドランク(2)


レオは、考えた。

『引用の棚』を用いて考えた。

『引用の棚』は、様々な疑似体験を与えてくれた。

レオの持つ『精』の発動にも繋がる。


酔いの原因は、様々ある。

その原因に共通するものがある。

それは、中間毒だ。

身体の免疫機能は、中間異物を許す。

毒ではないと判断する。

確かに、毒にも薬にもなるものがある。


 レオが閃いた。

「あの攻撃は、精神に直接疑似酔いを与えるのだ。

ならば、精神代謝を上げればよい。

つまり、周波数を上げれば対処できる。

リーとロバートの指数関数を試そう」


 再び、ドランクの所に戻った。

そして、リーが「強制の転送」を発動させた。

ロバートは、「連動の射撃」を発動させた。

しかし、ドランクには通用しない。

極限まで、能力を上げた。

この時、皆が同期し始めた。

皆が『精』を持った影響なのだろうか。

皆の周波数と速度が、極限まで上がった。

リーとロバートが倒れた。

だが、ドランクが揺らめいている。


 アリスが『鎮魂の鏡』を発動させた。

ドランクは、元の持ち主に還った。



第3話 あの者達・オネイロス(1)


 オネイロスの能力は、「夢彷徨」だった。

覚醒者達も眠る。

生命活動をしている限り、眠りは必要だ。

眠りはバランスをとる。

自律神経系と脳のバランスをとる。

このバランスが狂うと、体調も狂う。

細胞リサイクル遺伝子は、これとは無関係だ。

自律神経系は、本能とも関係している。

眠りが充分でないと、染色体中のコドン・セットのプロット位置が狂い始める。

極端にプロット位置が狂うと本能が断続的になり、正常な生命活動ができなくなる。

 脳は、眠りの質に影響を受ける。

眠りは、時間も必要だが、質の方が重要だ。

脳は、眼が覚めている時に起こした「狂った自己情報」を、眠りによって元に戻す。

プロット位置情報は、滅多な事では、狂わない。

だが、一旦、狂い始めると元に戻せるのは、脳だけだ。

 本能は理性と協力して、脳に入って来た情報の取捨選択もする。


 つまり、眠りは、本能を基盤とした全ての生命活動に、重要だ。


 オネイロスは、この眠りに侵入する。

様々な夢を視させる。

本能は、正常な眠りを得られない。

夢の中を彷徨する。


 幸は、気付いていた。

「何かがおかしい。

私の本能が告げる」


 皆、体調が狂い始めている。

細胞リサイクル遺伝子が働いているはずなのに、体調がおかしい。


 幸は『夢想の房』を発動させた。



第4話 あの者達・オネイロス(2)


 オネイロスの輪郭が見えた。

体調不良の原因が解った。


 アインが言う。

「何故、幸が所有しているのだ。

その精は、負の世界にあるはずだ」

レオが言う。

「これも夢か」

幸が言う。

「どうして、私が持っているのか、わかんない。

でも、これは、夢じゃないよ」


『夢想の房』は、皆の本能を強化させた。

防衛本能も強化された。

オネイロスが、皆にはっきりと視えた。

姿が視える。


 アリスが『鎮魂の鏡』を発動させた。

オネイロスは、元の持ち主に還った。


 『夢想の房』は、本能を強化させる精なのか?



第5話 あの者達・ヒュプノス(1)


 皆が眠りから覚めない。

ケントは、眠らない。

彼は、生命体ではない。

彼は、危険を感じた。

そして、ムーに戻った。


 皆が、目覚めた。

ユーラが言う。

「マリヤ。

『平衡の糊』を使ってみなさい」


 『平衡の糊』は、一定の時間、全ての生命活動・精神を安定させるらしい。

緊張ではなく、平衡によって眠りを不要にできる。


 皆は、ヒュプノスの所に戻った。

ヒュプノスが視えた。


 アリスが『鎮魂の鏡』を発動させた。

いや、発動できなかった。

平衡状態では、能力も精も発動できない。


 『平衡の糊』は、強制治癒、強制安定の能力を持つ精だ。

精神エネルギーの振幅が極限に平らになる。


 レオは言った。

「これじゃ、無防備じゃないか」


だが、ヒュプノスは他の攻撃をしてこない。

ヒュプノスは、思っていた。

「おかしい。

攻撃が届かない」



第6話 あの者達・ヒュプノス(2)


 皆の防衛本能が上がっていた。

『夢想の房』の影響は一時的なものでは、なかった。


 そして、幸は「無意識の意識」に目覚めていた。

彼女だけは、『平衡の糊』による強制安定を超える事ができた。


 幸は、『夢想の房』をアリスに向けて発動した。

アリスは『鎮魂の鏡』を発動させた。

ヒュプノスは、元の持ち主に還った。


 『夢想の房』は、対象者を選び、強制安定を超えさせる事ができた。

「無意識の意識」は、最強の防衛本能だった。


 ユーラが言った。

ここは、命鎮ではない。

しかし、ユーラが言った。

「よく成し遂げましたね。

あの者達は、レンサなのです。

いえ、だったのです。

彼女は、レンコの妹として存在していました。

違うのです。

 レンサは、レンコが数十億年掛けて練った、精神だったのです。

真実を貴方達に話しましょう」


 それは、衝撃の真実だった。



第7話 真実(1)


 物語は、四十億年を超えた過去に遡るだろう。


 ユーラもその頃は、若かった。

六億歳に満たなかった。


 その者が来訪した。

「お前のためなのだ。

いつに、なるのかはわしにも分からん。

だが、待つのだ。

望みを持って待つのだ。

願いと共に待つのだ。

種を植えていこう。

その者達は、13だろう。

その中の2は特別だ。

待つがよい」

そう言ってその者は、去った。


 ユーラは、望みと願いを持った。

しかし、地球に現れる者は皆、不安定だった。

危険だった。

 幾度も生命体が繁栄し、滅びた。

いくつかの文明も繁栄し、滅びた。


 異なる放浪の欠片の介入もあった。


 いつだったか覚えていない。

友が出来た。

レンコという友が出来た。

彼女と彼は、異なる放浪の欠片と幾度も闘った。

最後の闘いに敗れた。

そして、地球は混迷の時代を迎えようとしていた。


 彼女らに、微かな光が視えた。

希望という名の光が視えた。

望み、そして願った。


 ユーラは、その光を導くために散っていた自分の欠片を目覚めさせた。



第8話 真実(2)


 目覚めた者達は、先駆者となった。

光を導くために闘った。

そして、人類を導いた。


 拠点を設けた。

技術も開発した。

全てが、微かな光のためだ。


 13の光が輝いた。

ミチヤは、それを見届け、そして継いだ。

望みと願いを継いだ。


 だが、未だ13の光は幼い。

ユーラの願いは、彼らの成長だった。


 ユーラとレンコは、数十億年かけて、精神を練っていた。

闘いのために、それを使う事はできない。

それは、望みと願いのために、使うのだ。

そう決めていた。


 ユーラの精神は、13の光に与える事にした。

 レンコの精神は、13の成長に使う事にした。


 異世界を現出させたのは、レンコの精神だった。

あの者達も、その者達もレンコの精神だった。


 異世界もあの者も、虚構ではない。

レンコの精神が、現出させたものだ。



第9話 真実(3)


 「騙したのではありません。

あのまま、貴方達を旅立たせるのは危険だったのです。

私の力の影響は、この地球から15光年くらいだけです。

貴方達は、未だ本当の銀河を知りません。

ですが、貴方達に起こった出来事は全て事実です。

そして、私達の予測してない事も起こりました。

想定外の事も起こりました。

貴方達の成長が目覚ましいのも、想定外です。

15光年内の命は、全て私の元に還ります。

固定した欠片は、その権利を持っているのです。

命の泉は、私の泉です。

この地球から15光年離れて、貴方達の命が失われる時が、怖かったのです。

それが起これば、貴方達は放浪の欠片となるでしょう。

レンコは、放浪の欠片です。

放浪の欠片の寂しさは、彼がよく知っています。

貴方達の成長が必要だったのです」


 一人一人に声が、掛けられた。

「アイン。成長の目覚ましいのは、貴方が1番でしょう。真実を見極めてください」

「レオ。貴方はアインと違う力を持っています。局面を打開してください」

「幸。貴女は、守りの要です。皆を護ってください」

「新和。貴方は、守護者でもあり、捕縛者でもあります。命を大切にしてください」

「イワン。皆はパワーを備えていません。貴方の力が必要な時がくるでしょう」

「サム。貴方は、機動力と空間認識力です。皆の先駆けとなってください」

「ポセイ。ケントはレンコの元に還りました。貴方は、船長であり、操縦者です」

「マリヤ。貴女は、安らぎです。皆を、そして宇宙を癒してください」

「アリス。貴女の感覚能力は、私の想定外の成長を見せました」

「リー。貴方は、皆が触れる事の出来ないものを、触れる事が出来ます。気付いてください」

「ロバート。貴方は、機動部隊を指揮してください。それが、本当の力です」

「未久。貴女は特別な一人です。皆の行き先を示してください」

「鎮也。貴方も特別な一人です。皆を導いてください」


「子猫ちゃん。貴女は、私達の想定外です。贈り物かしら」


 皆、茫然としていた。

「何が起こったのだ。

今までは何だったのだ。

これから、どうすればよいのだ」



第10話 真実(4)


 命鎮の「呪」は、解かれた。

「13個のクォ‐ク」も「呪」だった。

それらは、レンコがかけた「呪」だった。

友となったケントは、レンコの元に還ったという。


 鎮也が、言った。

「確かめてみよう。

負の世界に行って、確かめてみよう」


 13の輝き達は、負の世界に向かった。

界王がいた。

「その時が来たのか」


 精を解き放った。

この世界の座標軸は、正に戻った。

界王は、喜んだ。

この世界の者全てが喜んだ。


 実在したのだ。

幻では、なかったのだ。


 ユーラとレンコが話していた。

「パワーもあげた方がよかったかしら」

「いや、13の輝き達は、未だ幼い」

「そうね。必要なら自分で、得るでしょう」

「もはや、私達にできる事はない」

「望みと願いを持って、待ちましょう」



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