ゲーテルの第二不完全性定理
概要
ある論理体系が無矛盾であるとき、その論理体系は自己の無矛盾性を証明することが出来ず、必ず決定不可能な命題を含んでいる。その事実について数学者のクルト・ゲーデルが述べた定理。
「例えばある日、私が暦君にこう言ったとします。『私は嘘つきです』って」
「それで?」
「この主張、果たして本当でしょうか、それとも嘘でしょうか?」
「うーん?まぁ、自分から言ってんだから本当なんじゃねぇのか?」
「うん。じゃあ、まず私の言ってる事が本当だとして……つまり主張は真だと仮定するね?つまり、〈私は自ら主張する通り『嘘つき』って事になる〉わけ」
「ああ、そうなるだろうな?」
「でもね、暦君。ここで矛盾が生じるのよ。『私は嘘つき』。なのに、最初に『私は嘘つきです』と正直に告白してるの。つまり、……〈嘘つきなのに、嘘を着いていない〉」
「あ、成る程……」
「じゃあ、今度は逆に〈私の言ったことは嘘で、主張は偽〉だと仮定してみるよ?」
「『私は嘘つきです』って主張が偽だから、『正直者』って事に成るのか。…ん、待てよ?でもそうすると、やっぱり『私は嘘つきです』って主張と食い違う……のか?」
「うん、そういう事。『私は正直者』。なのに、『私は嘘つきです』なんていうつかなくてもいい嘘をついている。つまり、〈正直者なのに、嘘をついている〉。よって、これも矛盾となります」
「また矛盾か」
「こんな風に、……私の主張は真だとしても偽だとしても両方矛盾が生じて、本当なのか嘘なのか確かめることが出来ません。これと同じで、数学にも真か偽か確かめられない、決定不可な問題がある……ということを述べたのが、ゲーデルの〈第二不完全性定理〉よ」
「こんな感じのとんち話だか落語だかがあった気がする……」
いかがでしたか?第一回の登場キャラクターは、第二の主人公こと神林暦君とその恋人、美影優さんでした。
参考文献
「鷲見ヶ原うぐいすの論証」 電撃文庫