5、街を歩く
三ヶ月近くいなくなってごめんなさい。
Fランクのクエストボードはここですか。えーっとスライム討伐、薬草採集、落とし物探し、勉強の手伝い、まぁこんなもんですよね。小さくてもいいから魔石欲しいので、スライム討伐行きますか。ベリっとな
「クエスト受付はここですか?これ受けたいのですが」
小柄な女性ですが意志の強い瞳をしていますね。さっきから見てましたがすごくテキパキと手を動かしていて、びっくりしました。
「はい、スライム討伐及び素材採取ですね。期限は10日、納品はスライムの酸と魔石、どちらも10個ずつとなります。」
「わかりました」
「ご武運を」
さて、もう行ってもいいんですけど、先に生産ギルドで登録して、図書館で生態などを確認してから行きましょうか。
ギルドをでて街を歩きます。屋台が賑わってますね。ここ第四サーバなんですけど、結構プレイヤー多いですね。第一の方はもっと多いのかな?
あ、そうだ魔力視発動させながら歩いたらなんか見えないですかね?魔法で隠された店とか。夜空を魔力視で見たらどうなるんだろ…後で夜になったら試してみましょ
「あれ?何あれ」
なんでしょう、あれ。人形…?
足を止めて見つめた先。そこは、西大通りへ向かう道すがらの、入り組んだ路地裏に面した古びたショーケースでした。
埃を被ったガラスの向こう。一見すれば、それはただの「壊れた少女の人形」です。 片腕が不自然な方向に曲がり、着ているドレスもボロボロ。しかし、【魔力視】を起動させたままの私の瞳には、それが全く別のものに見えていました。
「……っ、何これ。内部の魔力回路が、心臓部から指先まで……まるで血管みたいに完璧に編み込まれてる」
先ほどチュートリアルで自分が紡いだ「魔法糸」が、まるで初心者のお遊戯に見えるほどの密度。青銀色の光の筋が、まるで意思を持っているかのように、人形の体内で脈動しています。
「これは、魔道具師として……それと同じ人形族として、放っておけないですね」
コスモは引き寄せられるように、その店の扉を叩きました。カランカラン、と乾いた鐘の音が響きます。
店内は、壁一面に歯車やネジ、そして怪しげなパーツが並ぶ異様な空間。カウンターの奥から、度の強い眼鏡をかけた、ひょろりとした男性が顔を出した。
「……おや、マリオネットの異界人か。珍しいね、私の店に客が来るなんて」
「店主さん、表のショーケースにあるあの子……。誰が作ったんですか?」
「……。あれか。あれは私の『最高傑作』だったものだよ。魔力回路が精密すぎて、並の魔石では起動すらできない。心臓部となる【特級魔石】さえあれば、彼女を起動させられたのに」
店主は自嘲気味に笑い、彼女を見つめました。
ピーン
《特殊クエスト:【静止した乙女に鼓動を】が発生しました!》
※現在、あなたの実力では受注不可能です。
「……ふふ、ワクワクしますね。いつか絶対、あの子を動かしてあげましょう。店主さん、あの子誰にも売らないであげてください。」
「…?まぁ売るつもりはないが、わかった」
「ありがとうございます」
店主さんとの会話を終え、私は店を出ます。さて、より道は終わりです。図書館と生産ギルドに向かいましょう。
西大通りの赤レンガの建物の隣、どっしりと構えた図書館に足を踏み入れると、ひんやりとした静寂と古書の香りが私を迎えてくれました。司書さんらしき方がこちらを一瞥し、手招きをしました。
「初めまして、当館のご利用はまだされたことがございませんよね?」
この人、来館したすべての人を覚えてるんですかね?出なければこんなふうに断言できない気がします。司書さんだから記憶力がいいんですかね。
「あの」
「あ、すみません。あまりにこの場所の空気が素敵だったので。……あ、はい。初めての利用です」
「……そうですか。ならばこちらを。当館の【魔導端末】です。これは、館内の蔵書の検索が可能です。閲覧は無料ですが、貸出には一律銅貨四枚とさせていただきます。返却期限は貸し出しから一ヶ月以内となります」
受け取ったのは、水晶が埋め込まれた薄い石板。魔力視を発動させて見ると、そこには微細な魔力回路が。
あ、ちなみに銅貨は日本円で100円ですね。銀貨は一万円、金貨は百万円です。
端末を操作し、まずは目的のものを検索します。
【検索ワード:スライム 生態】【検索ワード:初級魔法 習得法】
ピッ、と音がして、端末に情報が表示されました。
「えーっとあそこの本棚ですね」
私は「クバンの街の生態」という本を手に取り、スライムのページを開きます。
【スライム】 ランク:G
特徴:体内の核(魔石)を破壊しない限り、物理攻撃のほとんどを無効化する。体表が酸で覆われている。酸を吐き出し攻撃する。
弱点:魔法、あるいは中心核への一点突破攻撃。
ドロップ品:スライムの酸、スライムゼリー、スライムの核(極小魔石)
「これ核に攻撃したら、核ドロップしないとかありそう…」
魔法覚えてから行ったほうがいいですね。じゃあ「初級魔導書」ってやつも読んでみますか。えーっと
魔法を扱うためにはまず、自分の中にある魔力を感じ取る必要がある。魔力を感知するためには魔力壺を意識し、目を閉じて、その魔力壺に貯蔵されている魔力を意識して、体内を循環する微弱な魔力の流れを探る必要がある。魔力壺とは、体内で生成した魔力を貯蔵・循環させ、魔法の発動に必要な力を制御するための器官である。
これが出来たら次は魔力の放出だ。体内を巡る魔力を掌に集め、噴き出すようなイメージをする。魔法とは本来不可能なことを可能にする術である。だからこそイメージが重要である。そして、その噴き出した魔力にイメージを植え付ける。炎のように燃え盛り、風のように吹き荒れ、水のように優しく、岩のように頑強に、イメージする。
これが魔法だ。
〈知識「魔法理論」を習得しました〉
要約するとこんなものですね。なんか某フリーレンに似通ってますね。
よし、生産ギルド行きましょう、登録して、スライム倒して、納品して、でまた色々読みにきて、日が暮れたら、精霊の揺り籠行きましょう。見れるかわかんないですけど。
「司書さんこれお返ししますね」
「はい」
図書館をでて、隣の生産ギルドに入ります。
ギルドに入ると、冒険者ギルドの喧騒とは違う、焦げた金属の匂いや薬品の香りが鼻をくすぐる。受付には、レンズを幾重にも重ねたゴーグルをかけたドワーフの女性がいた。
「あら、見慣れないマリオネットの子ね。生産ギルドに登録?」
「はい、魔道具師の登録をお願いします。コスモといいます」
「…随分大層な名前だね。あたしはマギ。魔道具師は茨の道だけど、頑張って。ここに名前と種族と生産の方の職業書いて。はい、これがギルド証だよ」
渡されたのは、鈍い銅色の歯車を模したバッジだった。これもまた、魔力を流すと持ち主の情報が浮かび上がる魔道具だ。
「魔道具師の基本は『分解』と『結合』、そして『付与』。素材が欲しければギルドの地下にある売店を見ていきな。登録したてなら、少しは安くしてやるよ」
「ありがとうございます、マギさん。……あ、スライムの核って、ここの売店で買えますか?」
「買えるけど、Fランクなら自分で狩ってきたほうが早いし安いよ。クバンの北門を出てすぐの北部草原に腐るほどいるからね」
「ありがとうございます。じゃあ、スライム用のボトルだけ買っていきます」
「気をつけるんだよ」
「はい」
売店に寄ってスライム用のボトルを買います。
よしじゃあいきましょう!




