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3、始まりの街

「さようなら、いちごさん」



 別れを告げ、スタートボタンを押す。すると視界が暗転し次の瞬間には西洋風の街の中にいました。

人々の喧騒、熱気。踏みしめたレンガの感覚、射すような日差し。まるで現実のようなそんな感覚。

今までプレイしてきたどんなゲームよりも、現実味が強いです。



「すごいですね、このゲーム。さっきの草原より感覚が研ぎ澄まされているような気がします。それにVR酔いも少ない」



 少し周りを見回してみると、人、獣人、エルフ、ドワーフに巨人さまざまな種族のプレイヤー?が行き交っていました。どぎついピンク色の髪をした人やすごく綺麗な人、あの人は女性に見えるけど骨格が男性っぽいので男性でしょうか?さまざまな人がいますね。

 周りの家々もよく見れば汚れていたり、傷がついてたり新品みたいに綺麗なんじゃなくてちゃんと人が住んでいるんだって感じがします。



「とりあえずどうしましょうか…」



冒険者ギルド行くか生産ギルドに行くかはたまた…



『ねぇ君、今暇?』



 そういえばいちごさんが魔法を習えると言ってましたね、どこかにマップないですかね?あ、あった。

えっと、なになに?行ったことのある場所をオートマッピングすると、私広場から動いてないので広場しか開放されてませんね…



『つーか君めっちゃ可愛いね』



 なんかヘルプに通知が、へぇ冒険者ギルドか生産ギルドに登録しないと国を渡れないんですか…身分証ってことですよね。よくある設定ですけど、ならやっぱギルド行って魔法習っての方がいいのかな。



『えちょ無視?それはねーだろ』


「はぁ、わざと無視してるんですよ、わからないんですか?」


『何その言い方、こっちが下手に出てるってのに、初心者っぽいから優しくしてやってたのに』



なんかイライラし始めたよくわからない人が、なんかぶつぶつ言ってますね。優しくして何て頼んでないんですけど。このままだと暴力沙汰になりそうな感じ、めんどくさいですねぇ。うーんGMしますか?こんなことで呼ぶのは迷惑な気がしますけど、これがお仕事ですもんね。呼びましょう。ポチッと



『こんにちわ〜GMの相浦で〜す。どうされました?』



 金髪碧眼の陽気なお姉さんがきました…圧倒的陽の気がする人ですね…



「ナンパ?っぽいことされましたね、暴力沙汰になりそうだったので呼びました。お忙しい中すみません」


『いえいえ〜それが仕事なので〜とりあえずログ見たところ確かに迷惑行為ですねぇ〜でもさほどひどいものではないので、30分間の軟禁とカルマ値10減少とさせていただきますね』


「お願いします」


『おい!何が迷惑行為だよ!ただ声かけだけじゃねぇか!』


『はーい黙って軟禁部屋へlet's go♪』


『うわああぁぁぁ…』



 パッという効果音がつきそうな感じで穴が空いて吸い込まれていきましたね。



『私はこれで、ゲームを楽しんでくださいね!では!』


「はい、ありがとうございました」



 さてとじゃ、ギルド行きますか。

と、言ってもどこかはわからないんですよね。住人に聞けばわかりますかね?えーと、あの優しそうな顔のお爺さんに聞いてみましょう。穴場的な場所とかも聞けたらいいなぁ。



「そこの素敵なお髭のおじさま?少しいいでしょうか?」


『わしかの?』


「ええ、そうです。素敵なお髭ですね」


『有難う、毎日しっかり手入れしておるわしの自慢じゃ。それで?何が聞きたい?』


「冒険者ギルドに行きたいのですが、どこにあるかわからなくて」


『お前さん、異界人か。ギルドじゃったな?そこの東大通りをまっすぐ歩いて行くと、剣と盾の描かれた看板がブラ下がっている大きな建物がある。それがギルドじゃ』


「なるほど…あ、おじさまこの街に図書館などはありますか?」


『うむ、西大通りをまっすぐ行き、真っ赤な家を左に曲がるとあるの』


ピーン

マップにクバンの街冒険者ギルド及び図書館が開放されました。

ぜひこの広大な世界を冒険してください。知識を追い求めてください。


「わ、有難うございます。最後にいいですか?何かおすすめの穴場的なところってないですかね?あと差し支えなければおじさまのお名前を教えていただけると嬉しいのですが。あ、私の名前はコスモです」


『良いぞ、わしの名はハッブル。平民じゃから姓はない。穴場か…精霊の揺り籠かの?北門の近くに小さな噴水のある綺麗な花畑がある、そこは精霊に好かれやすいようでな、夜に運がよければ精霊の光で照らされた花畑を見ることができる…わしもこの人生で7回ほどみたことがある、とても神秘的でなたまに話しかけてきてくれる精霊もおる。』


「…へぇ、それはぜひとも見てみたいですね…有難うございますハッブルさん」


『それと、お前さん見たところ人外、それも人形族じゃろ?この国じゃそんなにないが、人外族を魔物の仲間だと思って差別する国もある。気をつけろよ』


『それは…ご忠告有難うございます』


『うむ、ではわしはこれくらいでの。この世界を楽しんでくれよ、じゃあの』



 ハッブルさんいい人でしたね。あ、マップに花畑が追加されてますね。夜になったら行ってみますか。とりあえず、冒険者ギルド行きましょう

_______________________


 ここが冒険者ギルドですか…存在感と熱気がすごいですね。プレイヤーで溢れかえってます。ほとんどの人は初期装備ですけど、中には武器だけ新調してる人とか全身装備の人もいますね。どこで買えるんでしょうか?あの防具。そもそも開始から一時間も経ってないのにどうやってあんなに…課金ですかね?いやなんか稼げるもの見つけたんでしょう。ま、登録行きますか。

 めっちゃ人並んでますね…空いてるとこありませんか?あ、あのキセルが似合いそうな強面のおじさまのとこ誰もいませんね…あそこ行きますか。



「すみません、冒険者登録をしたいんですけど」


『…嬢ちゃん物好きだな、受付のバンだ。とりあえずこの紙に必要事項を書いてくれ』



 なんかさっきからおじさまとしか話していませんね…そういう趣味はないんですが…あぁ書かないと

えーと、氏名、メインジョブ、種族ですか。コスモ、槍使い、マリオネットと。これだけでいいんですね。



「できました」


『あぁ嬢ちゃん人外か、ちょっと待ってくれ…このカードに魔力を流して…流し方はわかるか?』


「はい、大丈夫です」



 カードを受け取って魔力を流していきます…わぁ、透明だったカードが銀のカードになりました。どういう原理なんでしょう?あら、なんか文字が、さっき紙に書いた情報とlvとF…ランクでしょうか?が浮かび上がってきました。ホログラムみたいになってますね、魔道具作り頑張れば、こういうのも作れるようになるんですかね?



『それで登録は完了だ、そのカードが嬢ちゃんの冒険者としての身分証だ。無くすなよ。国内の移動はもちろん、他国へ渡るための「通行証」としての役割も果たす。ギルドに登録していない異界人は、この国から一歩も出られねぇ』



 さっきヘルプで見ましたね…あ、ヘルプが少し詳しくなってますね。



『次に、ギルドの仕組みについて説明する。よく聞いとけ』



 バンさんは厚い本を取り出すと、それをパラパラとめくり、あるページで本をめくる手を止めました。そしてそのページをこちらに向け、太い指でページを軽く叩いた。



『ギルドはFからSまでのランク制だ。嬢ちゃんの最初のランクは、当然最低のFランク。Fランクは、薬草採取や小型魔物の討伐、街の雑用が主な仕事だ。危険度は低いが、報酬も低い。』


『この広間にデカい掲示板があるだろ?あれが「クエストボード」だ。嬢ちゃんはFランクのクエストしか受注できねぇ。高ランクのクエストに手を出してもいいが、正式受注にはならず買取はするが報酬は出ねぇからな。』



 バンさんは、一度咳払いを挟み、低い声で続けた。



『クエストを達成したら、討伐の証拠品や依頼品を持って、ここのカウンターに来い。報酬と金を渡す。そして実績としてカードに登録する。実績を積めばランクアップ試験を受けることができる。ぜひSランク目指して頑張ってくれ』


『だがクエストを受けるなかで注意点もある。クエストを失敗した場合、もしくは期限を過ぎた場合、カルマ値の減少や、最悪ランク降格のペナルティがある。ギルドの信用を失うってのは、この世界で生きていく上で致命傷だ。嬢ちゃんは人外だろ、ギルドからの信頼はあった方がいいぜ』


『あとは生産ギルドのことも頭に入れておけ。そっちはそっちでランクがある。生産ギルドに登録すれば、街の素材屋よりも良い素材を安く買える。…まぁ、嬢ちゃんはメインが槍使いだから、そっちに本腰を入れるのは当分先だろうがな。』



 バンさんは、コスモをチラリと見た。



「ふふ、いえ、どうでしょうね。私、生産職の魔道具師も結構楽しみなんですよ。さっき魔石鑑定のスキルも覚えましたし」


『...魔道具師か。物好きにも程がある。魔道具は素材も技術も金もかかる、茨の道だ。だが、腕を上げればそれだけ儲かる。この街だと、西大通りの赤レンガの建物の二階に生産ギルドがある。登録はそっちでやれ』


「図書館の隣ですか?」


『あぁ、よし、説明は以上だ。早速クエストでも見て来い。…くれぐれも、身の丈に合わない真似はするなよ、嬢ちゃん』


「はい、気をつけます。有難うございました」



コスモは銀のカードをアイテムボックスにしまい、熱気に満ちた広間へと足を踏み出した。



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