2、チュートリアル
百日咳の耐性菌のニュース見ました?私も最近咳が止まらんのですよ。
皆さんもお気をつけください。まぁ読んでる人いるかわからないですけど、
返事をした瞬間、空間が歪み気づいたら草原に立っていました。VR酔いとかしそうなのに全然平気ですね。
いやーそれにしてもどのゲームでも思いますけど、このフィールドに降り立つ瞬間の吹き抜ける風、気持ちいいですねぇ。このゲームグラだけじゃなくて、こういう感覚も素晴らしいんですねぇ。
『ここはチュートリアル専用フィールドです。インスタンスエリアとなっておりますので、他プレイヤー及び管理AIが訪れることはございません』
「へぇ」
コスモは、自身の姿を見た。球体関節、シワ一つない滑らかな肌質感のマリオネットの姿、手足には操り糸が巻き付いている。
『コスモ様、チュートリアルは視界端に表示されるログウィンドウの指示に従い行動してください。』
「えっいちごさんもうお別れですか!?」
『はい』
「えーいちごさんにチュートリアルしてもらうことはできないんですかぁ?」
コスモは不貞腐れたような、悲しそうな顔でそう言った。
『可能では、ありますね...』
「じゃあ!お願いできないですか?」
いちごは数秒悩んだような仕草を見せ、こう言った。
『まぁ良いでしょう』
「やったぁ〜ありがとうございます〜」
顔をほころばせにこにこと喜ぶ。
『..ではまず、基本的な操作と、この世界の概要についてご説明します。まずはシステムメニューを開いてみましょう。「システムメニュー」、と心の中で呟いてください』
コスモが言われた通りに呟くと、視界の隅に半透明のメニューパネルが出現した。
【システムメニュー】
・フレンド
・お知らせ
・メール
・ガチャ
・ゲーム設定
・アバター情報
・ログアウト
『メニューの各項目を順に説明させていただきます、まず【ゲーム設定】の確認を。コスモ様は痛覚設定、グロ設定を調整されますか?』
「痛みがないと戦闘楽しく無いんでぇ〜100%でお願いします。グロも同じで」
『承知いたしました。最大値に設定完了いたしました。次に他メニューの説明をさせていただきます。
【フレンド】はフレンド登録やフレンドとのメールができます、
【お知らせ】は運営からのイベント、メンテナンス告知などを見ることができます、
【メール】はフレンド登録をしていないプレイヤー及びNPCとメールをすることが出来ます、
【ガチャ】3種類のガチャ【アバターガチャ】【装備・武具】【スキル】を引くことが可能、
【ゲーム設定】は先程の各種設定に加え、ヘルプやサーバ変更などが可能です、
【アバター情報】は自分のアバターを弄ることが出来ます。例えば髪型を変えたりできます、
【ログアウト】はそのままですね、ログアウトができます。』
『また、ゲーム内時間は現実の三倍、ログイン制限があり現実時間で12時間経つと強制ログアウトさせられますのでお気をつけください』
このあたりは普通のゲームとさほど差は無いんですね。今の話を聞く感じだとメール機能結構便利そうですね。野良パとかでフレンド交換しなくてもいいのが楽そうです。
『続いて、基本情報についてです。こちらは公式のHPに乗っている情報です、なのでヘルプに追加させて頂きコスモ様が確認したい時にご自身で御確認ください』
「はい」
【システムメッセージ】
以下の情報がヘルプに追加されました。知りたいものをタップするとネタバレにならない範囲で詳しく知ることが出来ます。
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LevelUP・経験値/敵を倒して経験値を獲得。LevelUPで5ステータスポイントと10スキルポイントを獲得。 Levelが高くなるほど、LevelUPに必要な経験値が増加する(Levelが上がりにくくなる)。
ステータス確認/「ステータス」と入力(またはコマンド実行)で確認可能。
ステータス欄/【能力値】【スキル・称号】【装備】【スキル選択】【所持品】【神々の称号】の6項目がある。
ポイント使用/- ステータスポイント:能力値の強化に使用。 - スキルポイント:スキルの習得に使用。強いスキルほど多くのスキルポイントが必要。
メインジョブチェンジ/ジョブチェンジ可能なLevel:20, 50, 80, 100, 150, 180, 200。高難易度クエストや特殊条件達成により、レアジョブへのジョブチェンジが可能になる。
種族進化/種族レベルを上げ、特定のイベントや、条件を達成することで、さまざまな種族に進化することができる。
パートナー/NPCとパートナーになることが可能。パートナーは戦闘に参加し、特殊クエストを持ってくることがある。
神々/主神と8柱の神々が存在する。
神導十二官/最高位NPC。弟子入りすることが可能。現在シルエットのみ公開。
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『それではメインジョブのチュートリアルに移ります。こちらは訓練用の案山子です。アイテムボックスから槍を装備して攻撃してみてください』
「はい」
コスモがアイテムボックスから【初心者用槍】を取り出すと、訓練エリアへ足を踏み入れた。
「まずは突きから」
右足で深く踏み込み体重をかける、そして右手で突き出す
ドズッ!
「ん、ギリギリ貫通ですか。まだまだですね」
『す、すごいですね、コスモ様。チュートリアルの時点でこんなに武器の扱いがうまい方、そうそういませんよ』
「そうなんですか?まぁ動かない相手なので」
『動かすことも出来ますよ』
「そうなんですか?!お願いします!」
『了解致しました』
いちごが空中で指を滑らすとゴブリンが現れた。
「いい感じの相手ですね。人型で、動いて、殺気を持って向かって来る。じゃあ次は...斬撃や振り下ろしにしてみましょうか」
まずはゴブリンをよく観察する。布一枚のみで、特に固くもなさそう。武器は棍棒、リーチはこちらのほうが長い。弱点も人間と大して変わらなさそう。ほかゲームと同じ様に攻略できるかな。
「フッ」
ゴブリンに向かって走り出す。こっちに気づいたゴブリンが棍棒を振り下ろすが、それより先に槍をゴブリンの足元で横に薙ぐ、そうすればバランスを崩せる。
そのまま脳天に槍を振り下ろし――かち割る。
「綺麗に真っ二つになりましたね。やっぱり人型は殺りやすいなぁ」
ピーン
《Level UP!》
おめでとうございます!種族及びメインジョブのLevelが1上昇しました!5ステータスポイントと10スキルポイントを獲得しました!
次のLevel UPまで残り70経験値。
『おめでとうございます。Levelが上がりましたね。』
「ありがとうございます。早速ステータスを振りたいんですけど、どうすればいいですか?」
『心の中で「ステータス」と呟いてください。』
コスモがその通りに呟くと、彼女の視界に再び半透明のパネルが出現した。
STR 11 +1
VIT 3
INT 12 +1
MID 3
DEX 11 +1
AGI 17 +2
LUK 5
「よし、こんなものでいいでしょう。生産のためにも器用も伸ばさないとですねぇ、スキルポイントの10は、また後でゆっくり考えますね。次はなんでしょうかいちごさん?」
『次は、サブジョブである魔道具師の基本的な作業を試していただきます。』
いちごが空中で指を滑らせると、訓練エリアの端に作業台といくつかの素材(魔石の原石と普通の糸)が出現した。
『コスモ様は【魔石鑑定】と【魔法糸】のスキルを取得されていますね。まずは【魔石鑑定】を試してみましょう。目の前の原石に触れながら、心の中でスキル名を呟いてください。』
コスモは言われた通りに原石に触れ、スキルを発動した。
ピコーン
【鑑定結果】魔石の原石(極小):微弱な魔力を帯びた結晶。魔法道具の素材、または魔力回復薬の原料となる。
推定ランク:H(最低)
「へぇ、ランク表示もされるんですね。便利です」
『次は魔法糸を試してみましょう。魔法糸は、魔石から魔力を抽出したり、自身の魔力を使い糸を作り出しそれを操ります。まずは魔力を感知していただきます。魔力壺を意識してk..』
「魔力壺ってなんですか?」
『あぁ申し訳ございません。説明させていただきますと魔力壺とは、体内で生成した魔力を貯蔵・循環させ、魔法の発動に必要な力を制御するための器官です。コスモ様のマリオネットの肉体の場合、中枢魔石、あるいは眼の魔力回路にその機能が集中しています。ちなみにコスモ様は心臓部の魔石を交換いたしますと魔力の生成速度及び貯蔵量が上がります』
『では、目を閉じて、その中枢魔石に貯蔵されている魔力を意識して、体内を循環する微弱な魔力の流れを探ってみてください』
コスモは目を閉じ、言われた通りに意識を集中させた。体の中心、あるいは胸部にあるだろう「中枢魔石」と呼ばれる部分を探る。すると、微かながらも温かく流動的なエネルギーが、体内の回路を通って手足の先まで巡っているのを感じた。途端に、眼の魔力回路が熱を帯びるような感覚がした。
「うわ、なんかじんじんしますね。目が熱い...この青い光の粒子みたいなものが魔力ですか?」
『その通りです。そのまま魔力を眼に巡らせたまま眼を開けてみてください。』
コスモが言われた通りに眼に魔力を巡らせたまま、ゆっくりと目を開いた。
「わっ……!」
視界がわずかに変わっていた。訓練エリアの草や木々、空気に混じる微細な粒子が、うっすらと青い光の帯となって見えている。そして、作業台の上の素材や、先ほど鑑定した魔石の原石は、内部からより鮮明な光を放っていた。
『それが、コスモ様の魔力視です。マリオネット特有の、魔力回路を視覚と連動させる機能ですね』
「すごい、まるで世界が透けて見えるみたい。これは便利ですね!」
この機能があれば、魔道具の製作も、戦闘での敵の魔力やスキルの動きを読むのも格段に楽になるだろう。
ピーン
《種族スキル【魔力視】を習得しました!》
『ではそのまま指先に魔力を集め放出してみてください。』
その魔力視の状態を維持したまま、作業台の上の素材と、自身の指先に意識を向けました。
「指先に...青い光を、集めて…」
目を閉じなくても、指先を流れる微細な魔力の流れがはっきりと見えます。その流れを止め、指先の空間に凝集させるイメージをしました。
チリチリとした感触と共に、彼女の細い指先から、微かな青銀の光の粒子が霧のように噴き出し始めました。
『その状態のまま、魔力の粒子を放出しながら、糸を紡ぐイメージをしてください。これが【魔法糸】の基本動作です』
「放出…紡ぐ、紡ぐ…」
放出された魔力は、どんどん細く、糸の繊維一本一本紡ぐ様に青く染め上げていきます。魔力が、まるで青い光沢を放つ金属のワイヤーのようになりました。
「おぉ、すごい。!」
ピーン
《【魔法糸】のLevelが上がりました!》
[サブジョブのLevelが上がりました]
『魔力が通った糸は、耐久度と魔法耐性が向上し、魔法道具の作成に必須となる、魔道具師にとって基本的な素材となります。魔力視と魔法糸。これらを組み合わせることで、コスモ様は様々な素材の鑑定と、その素材を魔法の力で強化・加工することが可能になります。』
「ふふ、これで服とか作ったら最強ですね。裁縫師じゃないけど」
『チュートリアルではここまでですが、熟練度が上がれば、糸を自在に操って攻撃に応用することも可能です。』
「なるほど、それは楽しみですね!魔道具師、奥が深そうだなぁ」
『魔法に関しましては、始まりの街にて習得出来ます。最後に、この世界の根幹に関わるお話に入ります』
いちごの声が、先ほどまでの親しげなトーンから、わずかに事務的なものに変わった。
『コスモ様。この世界には8柱の神々と、その上に立つ主神様、そして主神様に仕える神導十二官が存在します。』
「十二宮..シルエットだけ公開されているって言ってた、最強のNPCですよね?」
『はい。彼らは非常に強く、様々なスキルや知識を持っています。彼らには、弟子入りすることが可能です。弟子入りをすると10レベルごとに、彼らの能力の一部を借り受けることができます。これは、コスモ様の今後の冒険において、大きな助けとなるでしょう。』
『神々は我々を見守っていられます。八柱の神々に気に入られれば祝福を授けてくださることもあるでしょう。そして忠告です、絶対に十二宮の皆様、神々の御前で主神様を貶すような発言はお控えください。主神様は..いえ、今はまだ...』
いちご、No.1528は少し微笑んだあとコスモの顔をまっすぐに見つめた。
『これにてチュートリアルは終了です。このまま本編開始となります。...私はここから動くことが出来ませんのでこの先のコスモ様の冒険をサポートすることは出来ません。ですが応援はしています。コスモ様の冒険に幸多からんことを祈っております。』
長い、長い。
どこで切ればいいのやら




