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破壊系ヒロイン

「大変です、わたしどうしましょう」


随分と慌てた様子のヒロインがやってきた


「どうしました?、まずは落ち着いてください」


秀は冷静になるよう促した


「そうですよ、深呼吸しましょう深呼吸、はいっ!吸って〜〜吐いて〜、吸って〜〜吐いて〜」


「スーーハー、スーーハー」


結衣の言葉に従い、ゆっくりと呼吸を整える


「どうですか、少しは落ち着きました?」


「はぁ~~、はいもう大丈夫です」


「あなたは一度モブキャラ用の相談所に来ていますね」


秀は、目の前の女性が以前来たことがある人物だと認識した


「そうです、仁木にんき 拝花はいかです」


「そんなに慌ててどうしたんですか?」


結衣が拝花が慌てていた理由を尋ねた


「そっそうでした、わたしが、人気投票で一位を取ってしまったんです」


拝花の口から出た言葉は、予想外のもので、結衣は思わず目を丸くした


「えっ凄いじゃないですか?良かったですね」


結衣は、純粋な感嘆の声を上げた


「何もよくありませんよ、わたしはただのモブとして出ただけなんです、なんでヒロインたちや主人公よりも目立ってるんですか」


拝花は、喜びとはかけ離れた表情で訴えた


「つまりモブから人気投票破壊系ヒロインに昇格したってことだな」


「よくわかりませんが多分それです」


拝花は秀の言ったことが理解していないようだが、響きがすごそうなのでなんとなく同意した


「人気投票破壊系ヒロインってなんですか先輩?」


聞いたことない言葉に結衣が質問をする


「人気投票で圧倒して、文字通り人気投票を破壊するヒロインのことだ、ちなみに俺が勝手にそう呼んでるだけな」


「でもわざわざ先輩が名前をつけるということは拝花さんの他にも人気投票を破壊した人がいるってことですよね」


「過去には投票率が全体の50%超えのヒロインや、ヒロイン全員が魅力的すぎるため得票数がカンストして同率一位だった場合もあった」


秀の言葉に、結衣は驚きを隠せない


「そんなこともあるんですね!でも一位になるのは良いことですよね」


結衣は、まだ事態の深刻さを理解しきれていないようだった


「問題なのは拝花さんがただのモブで、しかもすでに結婚もしているのでヒロインレースに入れることができず出番を本編で増やせないことだ」


秀は、拝花が抱える問題点を明確に指摘した


「そうなんです、コメントでもっとわたしのこと登場させてほしいってたくさん来てるんですが、そんな頻繁に出られる訳ありませんよ」


「そうなんですか?う〜んどうしましょう先輩」


結衣も、拝花の問題に気づき、秀に助けを求めた


「でも、モブだったのにいきなりヒロインだなんて」


拝花は、未だに自分の状況が信じられないといった様子で呟いた


「人気のあるモブキャラは、もはやモブではありませんよ」


秀は、拝花の言葉をあっさりと否定した。その声には、揺るぎない確信が込められていた


「俺は本編で出せないと言っただけで出番を作れないと言ったわけじゃないぞ」


秀は、ニヤリと口角を上げた


「なるほど…⋯つまりどういうことですか?」


「本編に出なくても、おまけページとかカバー下に出ればいい」


「さすが先輩!年季が違いますね」


「でも何をしたら良いかわかりません?」


拝花は、具体的な行動に移すためのヒントを求めた


「モブキャラだったのに1位になるほどの魅力を持っているのなら何も心配ありません、普段通り生活してれば大丈夫ですよ」

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