表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お題に挑戦!  作者: 梨藍
▼片想い▼(5題)
9/35

1.本音は心の中に秘めたまま

将→紗貴

――まただ……


(しょう)は、紗貴(さき)に判らない様にそっと溜息を付いた。

ずっと想いを寄せていた少女が帰って来た。

今年の春からは、同じ中学校に通う事になる。


―― 言おう……


きっと、出会った時から惹かれていた。

だから、気持ちを伝えようと心に決めていた。


だけど、春休み……

毎日の様に道場に通い詰める中、判ってしまった。


「さっちゃん隙アリ!」


言いながら、手に持つ竹刀で軽く紗貴の額を突く。


「え?あ……将くん……」

慌てて額を両手で隠しながら、紗貴が将を見た。


――俺ヲ見テ


「ぼおっとして……どこ見てたの?」


将の問い掛けに「うっ」と言葉を詰まらせる。


――俺ノ気持チニ気付イテ


「判り易いよ、さっちゃん」


何時の間にか、逆転した身長差。

余裕の笑みで紗貴の頭を軽く撫でれば、顔を真っ赤にして見上げて来る。


「そんなに……判り易いかな?」

「まあ、少なくとも俺には。だって……」


――ずっと君を見てるから


そんな本音はそっと隠して。


「幼馴染み……だからね」


紗貴の視線が向けられた場所には、一人の少年が立っていた。

すぐに、気付いてしまった。


紗貴の気持ちに。


――どうせ叶わない想いなら


せめて、傍に居させて……


「ま、何かあったら俺に言いなよ?力になるから」


傷む心を見て見ぬ振りをして、微笑めば。


「ありがとう」


嬉しそうに

何処か気恥ずかしそうに

何の疑心もなく、素直に紗貴も微笑んだ。


――好きだよ……


今にも飛び出しそうな本音は、心の奥にしまい込んで。


“男”として傍にいることが叶わないのなら


せめて


“友人”として、君に一番近いところに居たい



●本音は心の中に秘めたまま

お読みいただきありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ