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2.消せない罪を背負う時
真耶→翠琉
「真耶……っ……」
ああ、翠琉が泣いてる。
そんな事をぼんやり思った。
―― 翠琉の全てが欲しい。
そう願ったのは間違いなく俺。
代償は命。
翠琉はきっと、これから俺の命を奪った罪を背負って行くのだろう。
―― それでも……
それでも、彼女の“総て”が手に入るなら……
なあ翠琉……
俺を浅ましいと嘲り嗤うだろうか?
どんな手段を使ってでも、自分のモノにしたいと願う俺を……
俺を貫く刀を、しっかりと握り締める翠琉。
伝う朱色は、俺と翠琉を繋ぐ強固な絆。
「ごめんな……翠琉……」
翠琉の温もりを最期まで感じていたくて、強く強く抱き締める。
俺が背負わせた罪
翠琉を繋ぎ留める罪
――本当は、ずっと傍に居たかったけど……
「……守れなくて……ごめん……」
―― 俺の我が儘に付き合わせて……
「ごめん……な……」
その瞬間、真耶の意識は途絶えた。
一人の少女の慟哭が、紅葉の舞う夜空を支配した。
●消せない罪を背負う時
/(c)螺旋の都
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