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お題に挑戦!  作者: 梨藍
▼事実は小説より奇なり▼(連作お題)
46/52

よ よく見てほしい

沙羅夢幻想本編 第十章 読了後 推奨!!


第十章までお読みいただいてからだと、

よりお楽しみいただけるかと思います。


今回は、瑞智家で開催された「流しそうめん大会」

夏休みのとある平凡(?)な風景をお届けします!


「あいうえお作文」お題にちなんで、

 全て繋がっているお話です。


そのつながりも一緒に、お楽しみください♪


※ 単話でもお楽しみ頂けるよう心がけております♪

 気になるお話しだけでも、チラッと読んでみてくださいね☆


紆余曲折あって、早いものでもう夕方。


随分涼しくなって来た頃合に、流しそうめん器は完成を迎えた。


なんということでしょう。美しい曲線美はまるでホンモノの虎のよう。しなやかな肢体は躍動感に溢れ、今にも走り出しそうなフォルムはまさに奇跡。更には、水圧の問題も全て計算し尽くされており、流した水と素麺は最終的に口から咆哮の様に飛び出る様になっているではありませんか。


「いやいやいや!!!おかしいだろ!?」


槃の渾身のツッコミである。


制作を手伝った。手伝えば減刑してくれる、なんていう甘言に誘われて、途中から楽しくなって割と本気でノリノリでやった。


だが正気に戻ってみると、これは無い。


「ひとつ聞いてもいい?何で虎?」


何となく、予想は出来ている。否、もうそれとしか考えられないのだが。


将は、敢えてこの場に居合わせた全員の胸の内を代弁する。


すると、(たくみ)の風格を漂わせた緋岐が至極真面目に応えた。


「翠琉が好きな動物だと答えたからだ」


案の定な答えである。


「は???虎が好きとか、先輩の妹変じゃ……グハッ」


雉も鳴かずば撃たれまい。率直な意見を述べた敦は、飛んできた何かを額に受けて、転倒した。


「……なんか、ゲロみた……グハッ」


雉も鳴かずば撃たれまい。思っても言っちゃいけない事を口にした由貴もまた、飛んできた何かを額に受けて、転倒した。


「アホやな」


倒れた馬鹿1号、2号に冷ややかな視線を向けるのは蕎だ。


「でも、また何でも虎なんだろうね?翠琉ちゃんなら、犬が好きだって答えそうなのに……」


素朴な疑問を口にしたのは由樹だ。


そう、常に翠琉の傍にいた。片時も離れることなく寄り添っていたのは、確かに白い犬だった。


そういえば、まだ鋭と由樹には、白い犬……白銀(しろがね)の事を話していなかったと思い至った正宗が、静かに口を開いた。


「戦いの最中、命を落としてしまったらしくてのう……それも、翠琉の眼前で……」


そんな短い状況説明だけで、全てを把握した由樹は鎮痛な面持ちで「無神経なことを言って、ごめんね?」と謝った。


更なる疑問を鋭が口にする。


「だからって、何で虎なんだよ。猫だろうが」


目下、鋭は部類の猫好きだ。……という事を知っているのは、由樹と今はここにいない幼なじみの女性だけなのだが。その理由に思い当たる節がある面々の視線が璃庵に集まる。


「……何でしょうか?」


本当に、腹の中を見せない……食えない微笑みだ。


そこに、異議を申し立てたのは、誰でもない緋岐だった。


「いいか!?翠琉が好きだって言ったのは!璃庵じゃなくて、虎だ!!」


……よく、見てほしい!!!


「璃庵の腹は比較的縞模様が薄く、毛もフッサフサのアムール虎だが!!このオブジェはベンガル虎だ!!縞模様がくっきりハッキリしているだろう!!?しかも、縞の数も比較的少ない!よって璃庵ではない!!!」


力説されたが、なるほど意味がわからない。

将は残念なモノを見る目を向けて、残念そうに緋岐の真意を口にした。


「璃庵さんに、妬いたんだね?緋岐……」


―― ああ……


と、居合わせた面々は納得して生温い視線を緋岐に向ける。


「断じて!!!ちがーーーーう!!!」


緋岐の叫び声に、カラスがカァカァと答えて山の向こうに帰って行ったのだった。



●よく見てほしい


/(c)永遠少年症候群


☆ 「翠琉は、動物は何が好きなんだ?」

  「白い犬と、白い虎です」

  「そうかまだ嫁にはやらんからなッ!!」


   落ち着け、あに様!!!


NEXT⇒「りっぱな犯罪です」


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