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お題に挑戦!  作者: 梨藍
▼お見舞い▼(5題)
4/48

4.良薬は口に苦し!

鋭、香雅夜→由樹

鋭は、“ひだまりの家”に蔓延する異臭に顔をしかめた。


「何だよこの臭いは」


元凶を手繰るようにして辿り着いたのは台所。

そこにあったのは、煮えたぎる鍋を掻き混ぜる香雅夜の後ろ姿だ。

異臭のみならず、不穏な湯煙が上がっている。


――湯気なんて生易しいものではない


湯煙だ。

堪らず、(さとき)香雅夜(かがや)に尋ねた。


「おい。何を作ってやがる」

「あ、鋭……よし君が、お風邪を引いてしまったので……」


―― 滋養強壮のお薬を……


「よし君、一人暮らしだからお薬もないって言っていたので」


屈託のない笑みでそう言われれば、反論は出来なくて。余りの刺激臭に、鋭は思わず鼻を摘む。

香雅夜の嗅覚は最早麻痺状態で、本来の役割を果たしていないらしく平然としている。


「一体、何入れたんだ……」


―― 鋭は後に語る


『世の中、知らない方が幸せな事もある』

…………と。


「だって、良薬口に苦しって言うじゃありませんか」

「……良薬ならな。それは一歩間違えば劇薬だ」


鋭にしては珍しく、そっと心の中でエールを送る。


数時間後、この劇薬……もとい、良薬を飲まされるであろう友人に。


―― 強く生きろ


「料理……下手じゃねえ癖に、何で奇想天外なモン作るんだよ」


薬作りに夢中の香雅夜の耳に、鋭の声は届かなかった。



●良薬は口に苦し!

/(c)螺旋の都

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