2.俺じゃ駄目か?
璃庵さんと翠琉の!!
このコンビが尊過ぎてッ……
創作相方 神明命と盛り上がっておりますので、
皆さまにもその滾りを共有していただきたくッ!!
たっとぶ!!!
「主様……私では、いけないでしょうか」
そんな璃庵からの申し出に驚いたのは緋岐だった。
夏休みとはいえ、補習が待っている。そのあとは部活だ。
どうしても、翠琉を残していくことに後ろ髪を引かれてしまい、学校へ行くことを拒んでしまう緋岐を見かねたのか、璃庵がそう申し出た。
「私が翠琉の傍にさえあれば、何かあっても主様と共有できます」
式神契約を結んでいる主従にある、精神感応の事を言っているのだろう。五感すべてを共有出来るのだ。
だがしかし、緋岐にしてみれば不安要素ばかりで。
「“傍にいる”っていうのは、色んなことから“守る”って意味なんだぞ?」
念を押す様に言ってくる主に、璃庵は苦笑を浮かべてゆっくりと、しかしはっきりと一つ頷くことで応える。
「もちろんです」
だが、微笑むその表情からは、本心が全く読めない。
そんな2人の様子を静観していたうちの一人が顔を顰めて口を開いた。
「気が向いたから、駆けつける……気が向かないから駆けつけないっていう状態はダメってことよ?いつでも、駆け付ける覚悟があるかどうか」
「気まぐれタイガーだからな、お前は」
紗貴の言葉を肯定するようにすかさず続けたのは蘭子その人だ。そのネーミングセンスにフッと横を向いて堪えきれない笑いを零した緋岐と将は悪くない。
それでも、璃庵の態度は変わらない。
「お勤めを果たす覚悟は出来ております」
ある意味、淡々と応える璃庵に対して、一抹の不安を覚えた緋岐は深いため息を一つ吐いた。
「判った。最終的な判断は翠琉に任せるよ」
そう言いながら背中を示すと、そこには縁側に座って空を見上げている翠琉の姿があって。
「承知いたしました」
そう言うなり、そっと翠琉に近付くと、隣に腰を下ろした。
「どうした、璃庵……私に何か用か?」
緋岐たちの会話を一つも聞いていなかったらしい翠琉は、不思議そうに首を傾げながら璃庵に問う。そんな翠琉のすぐ隣に膝をついて、そっと、翠琉にだけ聴こえるように言葉を紡いだ。
「主が外出しているときの守りとして、私が翠琉の傍にいても良いですか?……私では、駄目でしょうか?」
思わぬ申し出に、翠琉はただただ、目を見開いたのだった。
●俺じゃ駄目か?
/(c)エソラゴト。




