表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お題に挑戦!  作者: 梨藍
▼お見舞い▼(5題)
3/35

3.元気になるおまじない

翠琉、緋岐→由貴

「翠琉?何してるんだ?」


緋岐(ひき)の声に、翠琉(すいる)が振り返る。


「……兄様」


余程熱心に捜していたのか。

顔にはところどころ泥が付いている。


「何を、そんなに真剣に探してるんだ?」


苦笑混じりにそう問えば、翠琉は間を置かずに応えた。


「四つ葉という、願いが叶う葉を探しているんだ」


その応えに、納得した様に緋岐は頷く。

恐らく、由貴の為だろう。


「大丈夫、翠琉……すぐ治るって」


苦笑したまま顔に付着した泥を拭ってやれば、「でも」と不安げに言い募る。


「珍しく、苦しそうなんだ」


――ゲホッ……


まるで翠琉の言葉に呼応するかのように、二階の部屋から咳込む音が降って来た。


「大丈夫だよ。夏風邪は馬鹿がひくものだから」


――明日にはピンピンしてるよ


だが、緋岐の言葉にまだ納得がいかないのか。

眉尻は下がったままだ。そんな妹の様子に、判らないように溜息を付くと隣にしゃがむ。


「兄様?」


首を傾げて覗き込んで来る翠琉の頭を優しく撫でた。


「一人より、二人の方が早く見付かるだろ?」


緋岐の言葉に、みるみるうちに翠琉の表情は晴れて行って。


「うむっ!」


嬉しそうに頷くと、また野草と睨めっこを始めた。


――風邪が治るおまじないじゃ、ないんだけど


「まあ、いっか」


独り呟き、緋岐も四つ葉の捜索に乗り出したのだった。



●元気になるおまじない

/(c)螺旋の都

お読みいただきありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ