5.「これって所謂、放課後デートですか?身の危険を感じるぜ!」
敦&翠琉
「お?翠琉じゃん」
「む、敦か……」
「今帰り?」
敦の言葉に翠琉は頷く。
そして並んで歩き出した。
しばらくして敦が翠琉に尋ねる。
「そういや知ってるか?」
翠琉は敦の言葉に首を傾げた。
「今“スーパーよってけ”で“世界の佃煮展”やってるんだぜ」
「む、それは本当か?」
敦の言葉に、翠琉の顔は輝く。
目下、翠琉の好物は佃煮だ。
一番のお気に入りは兄特製、小イワシの佃煮である。
「寄ってみるか?」
「うむ!」
目を輝かせる翠琉に思わず苦笑を漏らす。
しばらく並んで歩いてから、ある事に気付いた。
―― これって所謂、放課後デートですか!?
誰にともなしに、問い掛ける。
そして、サァッと血の気が引いて行った。
ウフフなピンク色模様どころの問題ではない。
それ以前に、下手すれば生命の危機だ。
―― もし、こんな事がバレたら
言わずもがな、翠琉の兄である。
最強の防御を誇る、所謂シスコンなのだ。
「身の危険を感じるぜ!」
「どうした?敵襲か?」
「いや違うから!その物騒なものしまって!」
敦の言葉に何を勘違いしたのか、日本刀を構える。
冷や汗が背筋を伝う。
「案ずるな。私が切り捨てる」
物騒な事を自信たっぷりに宣言して、安心させるように微笑む。
その微笑みに、更に血の気が失せるのが自分でも判った。
反射的に、全力で断る。
「いやいやいや!ごめん!俺の思い違い!」
それを、どうした事か遠慮と勘違いしたらしい翠琉は更に感覚を研ぎ澄ませて日本刀を両手に構えた。
「いやだから!」
「静かに!」
言い募る敦の言葉を翠琉は厳しく言い咎める。
既に戦闘モードだ。
「俺の話、聞いてくれ!」
この押し問答は、翠琉の兄が通り掛かるまで続いたのだった。
敦の安否は当人のみぞ知る……である。
/(c)空をとぶ5つの方法
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