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コインの約束  作者: 摘美花-ツグミカ-
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コインの約束

春になり、三年生に進級したころには和真は何の支えもなく歩けるまでになった。


ずっと休んでいた部活にも行くようになり、走ることはできないもののチームに指示を出し、キャプテンとして最後の大会へ向けてチームをまとめている。


そんな和真を私は体育館の2階からそっと見守る。


練習が終わると一緒に帰る。


今までの日常が戻っていた。


「春の大会が終わったら、部活は引退なんだ。引退後は本格的に受験勉強を始めないと間に合わないんだよな。芽衣とゆっくりできる時間があまり取れなくなる」


「うん、それは分かってたよ。医学部なんて相当頑張らなきゃ合格できないでしょ。少し寂しいけど、私も勉強頑張らなきゃね」


「芽衣、提案があるんだ。部活を引退したらさ、もう一度京都へ行かないか?修学旅行の最終日に行けなかったところへ、行こう」


「本当に?行きたい!和真と一緒に行きたい!」


私は嬉しすぎて和真に飛びついた。


「ちょっ、芽衣。危ないよ。飛びつくなって」


「だって、和真からのお誘いなんて滅多にないから。嬉しいの」


「おい!滅多にないって、失礼だな」


「ふふっ、絶対だよ、約束だからね」


5月に入り、バスケットボールの大会が始まった。


和真はフル出場はできないけど、それでも交代でコートに入った時は活躍をした。


私はすべての試合を観に行き和真を応援した。


去年の夏休み、和真のバスケを初めて見た時に目を奪われた和真の動き。


とても綺麗だったのを覚えている。


もう和真のバスケをしている姿が観られなくなるのかと思うと、なんだか切ない。



もっともっと、高校生でいたいって思った。



そして大会は順調に勝ち進み、今日は湊も一緒に応援に来ていた。


私と湊は和真が出場すると、声の限り声援を送る。



「結城の怪我、大丈夫そうだな。あんなに動けているんだから、もう心配はないんだろ?」


「うん。もう以前の和真に戻ったよ。湊、色々とありがとう」


「おう!俺は芽衣と大親友。結城とは同盟を組んでいるからな」


「なによ、同盟って」


「その名も”芽衣同盟”だ」


「もう、ばっかじゃないの。同盟を組まれても困るんですけど」


「ははっ、いいんだよ。それで」



和真たちは準決勝で敗退し、部活を引退することになった。


私と和真が出会った夏はすぐそこまで来ていた。



部活を引退した数週間後、和真との約束通り京都へ旅行に来た。


場所は清水寺。


ここから旅行は再スタート。


あの坂道を上り、坂道の途中にあるお土産物屋さんに立ち寄る。


『記念コイン』の看板を掲げているあのお店。


私たちは去年秋に記念コインの忘れ物が無かったか、ダメもとでお店の人に聞いた。


「あら、あるわよ、2枚。ちょっと待っててね」


私と和真は顔を見合わせて、本当に私たちのかな?って半信半疑で。


「あったあった、これね。名前がメイさんと和真さん。これで合ってるかしら?」


「わぁ、取っておいてくれたんですね。どうもありがとうございます」




私たちは自分の刻印したコインを受け取り、約一年越しに交換っこした。






『 To 和真  あいしてる  From  メイ 』


『 To 芽衣  一生涯愛す  From  和真 』





「芽衣の刻印、まさかの全部ひらがな?これをあんな長い時間考えてたのかよ」


「いいでしょ。この言葉を一番、和真に伝えたかったんだもん」


「俺のは、出会いがあれば必ず別れがある。それは死ぬ時でいい。そんな意味を込めたんだ」



「和真、あの時、私を見つけてくれてありがとう」




        ---end---

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