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コインの約束  作者: 摘美花-ツグミカ-
20/24

約束のクリスマス

冬休みになり、街はクリスマス一色。


駅前の大きなクリスマスツリーは恋人たちを優しく見守ってくれている。



クリスマスイブ



私はまだ電飾の点灯していない、この大きなクリスマスツリーの前で和真と待ち合わせ。


少し大きめのカバンには、和真へのクリスマスプレゼントとお泊り用の服。


お昼12時に待ち合わせだと言うのに、相変わらず私は15分前に到着していて。


和真が来るのを待っているこの時間のドキドキも楽しんでいるの。


二週間前に和真からの鬼の提案があり、それをクリアできたから、今日を無事に迎えることができた。


「冬の定期考査で赤点が1つも無かったら、クリスマスは一泊で那須に行くよ。ただし、赤点があったらクリスマスデートも無しだから。芽衣は頑張って」


和真はニヤッと笑いながら、そんな事を言う。


そんなの、一生懸命勉強するに決まってる。頑張ったよ、私。


赤点どころか、全教科で学年平均点を上回ったんだから!


順位だって240人中88番。私にしては上出来でしょ。


湊なんて200番台だったし。へへん!って思いながら成績表を和真に自慢気に見せたの。


「おー!芽衣、頑張ったな。偉い、偉い。じゃ、那須に行くぞ。クリスマスイブから一泊だから。準備しとけよ」


そう言いながら和真が成績表を見せてくれて。


240人中 1番


撃沈だよね、私。こんなんで和真と同じ大学に行けるのかな。


その後、和真が計画してくれたプランを教えてくれて。


那須には和真のおうちの別荘があって、自由に使えるんだって。


管理人もいるから、お掃除をしてくれていて寝具も用意してくれているんだとか。


うーん、やっぱり総合病院のご子息は一般市民の私と違って、なんでも持ってるんだな。


なんて頭の中で思っていたら、


「芽衣、俺は芽衣となんら変わらないんだよ。金持ちのボンボンだからって言って俺に近寄ってくる奴も過去にはいた。でも芽衣は違うよね?俺の家が病院を経営してるって知らないときに俺の事を好きになってくれたんだから」


「当たり前でしょ。和真だから好きになったの。たとえ和真が一文無しでも私は和真を好きになったもん」


「いや、貧乏だけは勘弁して」


「もう!そう言う話じゃないでしょ!」


あの時の和真との会話を思い出しながら、時計を見る。


あれ?待ち合わせの12時はとっくに過ぎてる。


こんな特別な日に和真ってば寝坊したなー!


今は移動中かもしれないし、12時30分になったら携帯に掛けてみよう。


そしてまだ和真が来ない。メールしても既読にならないから、私は携帯に電話してみた。


電源が切ってあるようで、お掛け直しくださいのアナウンス。


もう少しで来るかな。


約束の時間から1時間が過ぎた頃、私は言い知れぬ不安に襲われていた。


こんなこと、今まで一度もなかった。


携帯が繋がらないなんてことも、なかった。


和真、どうしたの?何かあったの?


私はこの場所から移動できずに、和真が来るであろう方向だけをじっと見つめていた。


2時になってしまった。これは寝坊とか、そんなのじゃない。


和真に何か起こっている。


でも、どこへ行けばいいのか分からない。だんだんと不安が大きくなる。


仲良く腕を組んで歩く恋人たちを眺めながら、涙をこらえていた。


すると、携帯に着信が入った。


和己先生の携帯。


一気に不安が襲ってくる。


「もしもし?」


『もしもし、芽衣ちゃん?和己です。芽衣ちゃん、今どこ?』


「和己先生?どうしました?和真に何か・・・」


『すぐにうちの病院へ来れる?和真が』


「和真がどうしたんですか?和己先生!!」


『とにかく、気を付けてすぐに来て。話は着いてからするから』


和己先生は後ろから誰かに呼ばれたみたいで、私にそれだけ言うと携帯を切った。


和真に何が?


私はタクシーを捕まえて、急いで病院へ向かった。


病院に到着して、受付の人に和己先生を呼び出してもらう。


普通なら医者なんて呼び出してもらいえないけど、緊急の用件で和己先生からすぐ来るように呼ばれていると話したら和己先生に電話を繋いでくれた。


「芽衣ちゃん!こっち!」


和己先生がすぐに来てくれて、私をどこかへ連れて行く。


イヤな予感。着いた先は『手術中』と赤く光っているドアの前。


「和真?この中に和真がいるんですか?ねぇ、和己先生!」


「芽衣ちゃん、落ち着いて聞いて。和真がね、事故にあって。救急搬送されてきたんだ」


「どういうことですか?和真は私と待ち合わせしてて。時間に来なくて。どうして?なんで和真が事故?」


私は震えていた。怖かった。


和己先生がこの次に何を言うのか、聞くのが怖かった。


「免許を取りたての16歳の子が運転していた原付バイクが子供を跳ねそうになって。近くにいた和真がその子を咄嗟に庇ったそうなんだ。そのバイクが和真に直撃して」


「それで?それで和真は?大丈夫なんでしょ?」


「命に別状はないよ。今、手術中だから詳しくは分からないけど」


「和真、生きてるんだね。良かった、良かったよぉ」


私は緊張が解けて一気に涙が出てきた。


「芽衣ちゃん、もし和真にもしものことがあったら・・・」


「もしもって、何ですか?和真は生きているんでしょ?それにまだ分からないんですよね?私、和真の力になります。側にいさせてください」


「うん。そうだね。芽衣ちゃんの言う通りだ。今は手術が無事に終わるのを祈ろう」


私は祈った。どうか、神様。和真を助けて下さい。


今日はクリスマスイブ。


どうか奇跡を。奇跡を和真に・・・。


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