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鳳雛・【麻夢蝶】

◇◆◇ 天魔神教(てんまじんきょう) 日月宮(じつげつぐう) 第六公子(だいろくこうし) 日月慶雲(じつげつけいうん) ◇◆◇


 さて次はいよいよ真打、我が従妹である()夢蝶(むちょう)の出番である。

 むしろ、彼女について自慢したいがばかりにこの身内紹介を始めたと言っても過言では無いので、これまでの者たちは前座と言っても過言では無い。(暴言)

 それでは心して聞くが良い。


◇◆◇


 本座(ほんざ)には、それを指摘する資格はないのかもしれぬが、我が従妹・()夢蝶(むちょう)は常軌を逸した娘である。


 現在、彼女の年齢は四歳。

 本座の一つ下である。


 その容姿は、右目に紫眼(しがん)、左眼に金眼(きんがん)

 髪色は赤いメッシュの入った金髪。


 この時点で、もはや何処の国の何民族だと問い詰めたくなるような外見であるが、極めつけに右目の泣きぼくろのところに翆色の結晶体が埋まっている。


 父親である【焔刀(えんとう)魔君(まくん)()空燕(くうえん)は、【炎魂(えんこん)神功】の影響を受けた赤髪赤眼。

 母親である【白蘭(びゃくらん)公主(こうしゅ)(りん)雪梅(せつばい)は【九陰(きゅういん)絶脈(ぜつみゃく)】の影響を受けた白髪白眼。

 この三人が並んでいようとも、そこに血縁を見出だすことは不可能であろう。


 まあ当然であるが、彼女の外見をあげつらって異常と指摘しているわけでは無い。白銀髪に紅眼という特殊な外見を持つ本座に、この異常を指摘する資格は欠片もないからな。どの口が言っているのかという話だ、おまいう。


 我が従妹・麻夢蝶の異常性は、その規格外は、内面にこそ存在する。

 ……性格が悪いというわけではないので誤解しないように。

 

 彼女とは本座が二歳の時、すなわち彼女が一歳の頃から数えて三年の付き合いであり、初めて出会った頃の彼女は、赤子から幼児になりかかる狭間にあった。


 にも拘らず、訳も分からず泣くようなことは無く、拙いながらに言葉を操り、その知能の高さと早熟性の片鱗を見せつけていたと言えばその尋常でない様は伝わるだろうか。


 ただ、そのような思考の確立を見せながらも、両親を始めとした自身を可愛がる人々に対しては素直に応じ、その神秘的な外見に天使のような笑みを咲かせた。

 当然、彼女の両親は元より、本座も、日月宮の侍女たちも大いに魅了され猫可愛がりしたのは言うまでもない。

 まあ本座は当時二歳であり、子供が赤子にお兄さんぶっているのだから、周囲には相当微笑ましい光景であったことだろう。


 高い知能と早熟性の片鱗。

 転生者では持ちえぬ幼児の純粋さ。


 これを持ち合わせた彼女から、本物の天才性を感じ取るまでそう長くは掛からなかった。


 垣間見えていた高い知能の片鱗はすぐにその姿を現した。

 彼女は、三歳の頃には大の大人とそう変わらぬ思考力や発想力を保有していたのである。

 その異常性は、三歳の幼女が論理的な思考を可能としていると言えばわかりやすいだろう。


 ……まあ、転生者であり並の大人と同等以上の思考力を持つ本座が、彼女の異常性を指摘する資格は全く持って存在しないのだろうが。これもいわゆるおまいうだな。


 もちろん、論理的な思考が可能であるということは、ほかの誰かに対して感情を抱けぬというわけではないし、他社の感情に共感できなくなったというわけでもない。

 彼女が、彼女の両親を愛し、本座を兄の如く慕ってくれていることに疑う余地のないことだ。


◇◆◇


 さて、そろそろ御託を並べずとも良いから、鑑定結果を見せろという声なき声が聞こえてくるようであるな。


 見るがいい。


 これこそが俗界最高の【武骨】を手に入れようとも、他を置き去りにするような強力な【天賦】を手に入れようとも、本座がまったくもって増長すること叶わぬ理由である。


◇【()夢蝶(むちょう)

・種族:仙族(せんぞく) 人族 ***

・身分:*魂*** 鳳*** **愛児

・地位:なし

・境地:**

<天賦>**:涅槃(ねはん)**

    天賦:***魂

    天賦:***眼

    天賦:****

    天賦:****

    **:鳳**火

    **:****

    *脈:***脈

    *脈:鳳**脈

    規*:火***

    規*:*空**

<功法>心法:玄魔養生功


〇詳細情報を閲覧する YES/NO


 文字化けから推察できる情報だけでも本座とは桁が違う。……仙族ってなんだろうな?


 彼女の見せつける天才性、その数々の片鱗。


 その異常性への回答を、この文字化けだらけの鑑定結果は示したと言えるのではなかろうか。

 あるいは、新たに特大の疑問を投げつけてきたとも。


 ただ少なくとも、この鑑定結果を見た上で、この規格外を知った上で、無邪気に増長し傲慢となれるほど本座の器は大きくないのだ。


 周囲に見せる神秘的な外見も、その光り輝く内面も、全てはただの片鱗、あるいは夢蝶なれば鱗粉とでも言おうか。

 鮮やかに彩るそれは、真に常軌を逸している修仙の才能の装身具でしかないのだろう。


 鶏群(けいぐん)一鶴(いっかく)

 あるいは鳳雛(ほうすう)


 未だ雛であるだけであり、近い将来には翼を広げ、天高くまで飛び立ってしまうであろう彼女にはこの言葉こそ相応しい。


◇◆◇


 少し話は変わるが、もし本座が『この世界と武侠小説の世界観の最も大きい差異を述べよ』と問われたとしよう。

 その問いへの答えとして、まず一番の候補とするのはこの世界・俗界と仙界の間に存在する明確な繋がりが存在することに間違いないだろう。

 皆の衆が、如何程の繋がりと認識していたのかは知らぬが、おそらくその想像を超えるものであることは間違いない。


 仙界と俗界を繋げる通信用宝器。定期的に下賜される武器・丹薬。俗界に縁ある武人が来訪して行う講義。


 これらだけであっても相当なものであるが、最も特別視されている恩恵は、規格外の才覚を持つと認められた者に昇界を許し仙界の弟子となる機会を与えることである。


 ここまで言えば、本座の言いたいことはもう分かると思うが、敢えてもう一度宣言しておこう。


 彼女は、我が従妹・麻夢蝶は鳳雛であり、近い将来には天高くまで飛び立ってしまうであろう。その翼をより大きく広げ、高く飛び立つための道はあるのだから。


 さて、身内の紹介はこの辺りで良かろう。

 本座も彼女に兄として慕われる以上は、本座も高く飛び立たねば面目が立たぬ故、修練を始めねばならん。


 鶏群の兄は、鳳雛に慕われる兄は伏龍か麒麟にでも化けねばなるまい。


 ……まあ、それなりに会えぬ期間が長くなるのだ。

 忘れぬうちに置き土産でも残しておくか。


リザルト

混元値 8650(前回)


霊薬・空清石乳(くうせいせきにゅう)-5000

法宝・護心(ごしん)瑠璃環(るりかん)-3000


計 -8000


混元値 650


・仙族

 人族が修練の果てに悟りを得て蛻凡した種族。極稀に**を持って生まれた者は仙族として誕生する。


・護心瑠璃環

 伝説級の護身法宝。自然界の霊気を充満状態まで吸収し、危難時に自動的に主人を守る。


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