【日月神女】と【焔刀魔君】と【白蘭公主】
◇◆◇ 天魔神教 日月宮 第六公子 日月慶雲 ◇◆◇
転機と申したものの、あと数日の猶予があることは間違いない。
加えて、本座が幼魔館に入館すれば、エスカレーター式で潜魔館への入館となる予定であり、幼魔館にて三年、潜魔館にて五年、都合八年間は外部との接触を断たれることとなる。
なればこそ、今のうちに身内の紹介をしておかねばなるまい。
といっても鑑定済みの身内は、護衛と侍女と数人の親族たちだけ、そう長くはかからぬ故、心して聞くがよい。
まずは、本座の護衛にして指南役にして我が母の双子の兄。
伯父上から紹介しよう。
◇【麻空燕】
・種族:人族
・身分:専任護衛 朱雀隊元副隊主 真炎隊元隊主
・地位:魔君
・境地:化境入気境
・別号:焔刀魔君 真陽刀龍
<天賦>武骨:極陽之体
<功法>心法:炎魂神功
心法:魔泉心法
刀法:真炎熱覇刀法
歩法:豪炎爆進歩
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紹介すると言ってもこの通り、鑑定結果では詳しい人柄までわかるわけでは無いのでな、この情報は基礎設定くらいに思えばよい。
さて、先ほどもチラと話した通り、伯父上は本座の護衛にして指南役である。
そして、元々は我が母と現天魔の長子である夭折した同母兄の護衛であった人物である。
簡単に伯父上の年表を説明しよう。
まず、潜魔館にて当時三公子と呼ばれていた現教祖に仕え、潜魔館卒業後は、現教祖の隊に所属していた側近の一人であるらしい。
その隊での活躍により獲得した別号が【真陽刀龍】。
天魔神教が誇る若き俊英である【十龍十鳳】の一人として認められた称号である。
その後は、天魔の子を授かった双子の妹【日月神女】のため、日月宮を守る護法隊である朱雀隊の副隊主に配置され、特別に後宮内部の護衛が任されることとなったという次第である。
まあここからさらに、我が長兄の原因不明の死についての責任を感じ、朱雀隊を脱退。
新たに護教隊である真炎隊を結成し、仙跡での武者修行の果てに悟りを得て【化境】の境地に到達。
その後、新たに天魔の子を授かった妹のため、真炎隊を解散し、専任護衛の地位に就いたというわけだ。
この時、【化境】であることが確認されたため、伯父上の位階は魔君となり、新たに【焔刀魔君】という別号も賜ったそうだ。
ちなみに、【焔刀魔君】の別号を賜ったと同時に縁談も進められており、現在は教祖の同母妹を娶り、娘が一人いる。
本座にとっては父方母方双方から見て伯父/義叔父であり、最も親しい親族だ。
……というより兄弟姉妹が後継者争いの敵となる可能性を鑑みるに、この一家は家族と呼んでも間違いではあるまい。
ちなみに伯父上の伴侶・叔母上の鑑定結果はこれだ。
◇【林雪梅】
・種族:人族
・身分:元公主
・地位:なし
・境地:なし
・別号:白蘭公主
<天賦>武骨:天陰之体
血脈:天魔血脈
体質:九陰絶脈
<功法>心法:魔泉心法
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以前の名前は端木雪梅。前端木神女である現太上神女(天魔の母)の娘である。
現在の苗字が林であるのは、教祖が決定したとき、同世代の天家の者たちは天家の系譜から外れ、母親の苗字を名乗るようになるからである。つまり、太上神女の苗字が林であるということだな。
境地が無しとなっているのは、九陰絶脈により修練ができる体ではなかったからだ。
九陰絶脈とは、無限の陰気を手に入れる代わりに、修練ができず、さらに日に増して強くなる陰気により命を脅かされるという副作用を持つ体質である。
その治療のために天家の系譜から外れることを先延ばしされていたが、極陽の功法を会得していた伯父上が化境の境地に至ったため、その副作用を完治させるべく嫁がされたのだとか。
まあ、ある種の政略結婚に近いものであるが、年齢差は十近いながら仲の良い夫婦である。
次はようやく我が母である【日月神女】だ。
すでに故人である故、直接鑑定したわけでは無いが、侍女や親族に聞いた話を基に鑑定のフォーマットに合わせてまとめてある。
◇【麻香凛】
・種族:人族
・身分:日月神女 月鳳隊元隊主
・地位:神女 巨魔
・境地:超絶頂の極
・別号:日月神女 寒月剣鳳
<天賦>武骨:極陰之体
<功法>心法:氷魄神功
心法:魔泉心法
剣法:寒霧月女剣法
身法:寒麗身
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正直なところ、我が母について本座が語れることはそう多くはない。
数少ない記憶においても、まだ聴覚がまともに機能していない頃の話である故、覚えているのはその容姿と花開くような笑みのみである。
その髪は銀をそのまま溶かしたような白銀色、その肌は透けるように白く、その瞳は冬の空を映したような水色。
語れることがそう多くなくとも、楊貴妃であろうが貂蝉であろうが、母の前では霞むこと間違いないような、絶世の美女であったことには触れておかねばなるまい。
当然、自慢である。
……ちなみに、今の今まで本座の容姿について語ったことがなかったのだが、髪色は母親からなぜか遺伝し白銀色、肌も同様に透けるように白い。ただ、瞳の色だけは血を思わせる紅玉のような色をしている。
未だ齢五つである故、はっきりとは言わぬが、面も母の遺伝子をしっかり受け継いでいると言っておこう。
これも当然、自慢である。
母の髪色の特異さは、【武骨・極陰之体】と【心法・氷魄神功】を由来とするものである故、本座に遺伝することは無いはずなのだが、何故か綺麗に遺伝している。
まあ、白銀髪を持ち、全身が白いというのに眼だけは紅いというこの神秘的な容姿は気に入っているので特に問題はない。……白蛇とか言わないように。
話が逸れたが、母の話だ。
先ほども申したように、本座が母について語れることはそう多くなく、人柄についてはほとんどないと言っても過言ではない。
まあ、日月宮を管理する侍女たちや、我が護衛兼指南役である伯父上がいる以上、話を聞く相手には事欠かなかった。
……正直なところ、どこに地雷があるかもわからぬような話題ではあるのでな、それなりに気を使ったとは言っておこう。
ただ、本座がチュートリアル3の【試練・武器入手】で手に入れた武器は、母の形見であり、母が残した愛剣・鋭寒である故、新たに得た【術法・在魂大法】をうまく使えば、他者に話を聞くだけよりももっと詳しく記憶を遡ることができよう。本座の母の話はそれが終わってから語るとしよう。
次は、侍女たちだ。
本座にとっては身内であり、家族のようなものであるが重要な人物というわけではない。皆に長々と語っても仕方がないし、特記事項として、重要な情報だけ表示する形としよう。
◇【白華憐】
・種族:人族
・身分:日月宮侍女頭 月鳳隊元副隊主
・地位:巨魔
・境地:超絶頂入気境
・別号:飛刀月影
<天賦>血脈:暗霊血脈
<功法>心法:暗霊幽魔功
心法:魔泉心法
飛刀法:影暗飛刀術
身法:暗霊身
・特記事項:第三長老・幻夜魔尊の子、幻閃魔君(白家当主)の三女。息子一人。苗字は白だが、髪は黒、肌も黒め。小言担当。よく母を叱ったそうな。
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◇【黄麗姫】
・種族:人族
・身分:日月宮侍女 月鳳隊元隊員
・地位:魔将
・境地:絶頂の極
<天賦>武骨:九筋晢脈
<功法>心法:深山万重心結
心法:魔泉心法
刀法:崩山割龍刀法
・特記事項:乳母。珍しい武骨を持ち、その影響で豊満な体つきと生まれつきの怪力の持ち主。娘三人。天然。
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◇【洛詩吟】
・種族:人族
・身分:日月宮侍女 月鳳隊元隊員
・地位:魔将
・境地:絶頂熟練
<功法>心法:魔泉心法
槍法:波浪連槍
・特記事項:洛謡歌の姉、ボケ担当。
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◇【洛謡歌】
・種族:人族
・身分:日月宮侍女 月鳳隊元隊員
・地位:魔将
・境地:絶頂熟練
<功法>心法:魔泉心法
槍法:狂風嵐槍
・特記事項:洛詩吟の妹、ツッコミ担当。
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実は侍女たちは、皆が皆、我が母が【寒月剣鳳】と呼ばれていた時代に結成した護教隊・月鳳隊の隊員であり、隊主である母が日月神女となった際、日月宮の侍女となり我が母を支える道を選んだ、我が母にとって部下であり親友たちでもある。
皆らにあまり関わりがないとは申したものの、侍女頭であり実は名家のお嬢様であった白華憐は今少し関わることがある故、覚えておくがよい。
・極陽之体
特殊な武骨の一つ。生まれながらにして極陽を宿す武骨。生まれつき暑熱不侵。陽功系武功・極陽武功に絶対的な適性を持つ。保有者は男性のみ。
・極陰之体
特殊な武骨の一つ。生まれながらにして極陰を宿す武骨。生まれつき寒冷不侵。陰功系武功・極陰武功に絶対的な適性を持つ。保有者は女性のみ。
・天陰之体
特殊な武骨の一つ。生まれながらにして陰気を宿す武骨。陰功系武功・極陰武功に優位的な適性を持つ。
・暗霊血脈
始天魔に付き従った七魔の一人、暗魔とも呼称される暗霊魔尊の血脈。飛刀法・軽功・毒功・陰潜術・亀息大法・呪法の習得に大補正。
・九筋晢脈
特殊な武骨の一つ。生まれながらにして外功の達人となる武骨。九重の弾力性のある筋肉と脂肪に全身が包まれている。外功武功に絶対的な適性を持つ。重軽功・身法に優位的な適性を持つ。