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超記憶レオの魔導書蒐(あつ)め  作者: かず@神戸トア
レオは潜入する準男爵

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テスケーノ防衛2

テスケーノ防衛の初日は、南の正門では守勢クーデター軍の完勝、西門では一進一退の結果、逆茂木が撤去された形のため守勢が少し負けた状態で、日が落ちてきての自然停戦となった。


レオたち3人は、テソットから来ていた冒険者の初級魔法使いの≪治癒≫、そしてテスケーノの街の神官、冒険者等の回復魔法が使用できる者たちと一緒に、西門側での怪我人の治療にあたることになった。初級≪治癒≫、中級≪回復≫ではない上級≪上回復≫の経験者、目撃者はまず居ないため、レオたち3人の回復魔法によって命が助かったと感謝する者も含め、まわりからはますます驚愕の目で見られることになった。


そのころスクゥーレ達は侃々諤々と軍議を行っていた。

「本格的な被害が出てしまいましたな……」

「あの程度、大した被害ではない!」

「とは言うものの、志願兵たちは今までの圧勝と雰囲気が違うと感じて、戦闘の怖さを実感しているようです」

「その程度におびえる者たちは元々戦力ではない!」

「いえ、数は力ですよ!王都を目指すときに膨らんだ人数が必要ですから」

「まぁまぁ。それよりも、明日からの陣営をどうしましょうか?今日はこちらの魔法使いを正門に集めたおかげで正門は無事でしたが、それを踏まえて明日からは南東の陣営や西門、もしかすると北門や東門や途中の壁に分散してくる可能性も」

「そうですな。せめて西門や南東の陣営にも分散できると良いのですが」

「いや、戦力になっているレオ殿たち上級魔法使いは4人しかおりませんから、分割損になるかもしれませんぞ」


議論の結果、初日のことを踏まえて国王軍は正門ではなく西門に兵力を集中してくると推定し、逆を突いて南の正門側から打って出て、南東の陣営とも合流して、国王軍の東端に打撃を与えることにする。魔法使いも、ハイオーク来襲の際にも裏切らなかったマントーネからの中級2人は西門に配置することで抑えとしつつ、このテスケーノからの上級1人中級1人初級2人の4人は今回もレオたちと共に南の正門側に配置して、必要に応じて通常軍と共に国王軍に攻め入ることになった。ニアミッラは馬に乗れないためアベラルドに同乗させて貰うようになっている。

その他の魔法使い、テソットでの蜂起時からの従騎士や冒険者、テスケーノの街までに合流して来た貴族達や冒険者の魔法使い達に上級魔法使いは居なかったため、元の所属のまま行動させることになった。

北門や東門までは国王軍も分散する余力もない、また東西南北の城門以外の壁には堀もあるため簡単に攻め入ることは無いと推測している。


レオたち3人は治療を終え代官館に戻った際に翌日の方針を聞く。近くの宿に分かれて泊まっていた他の魔法使い達には、翌朝に迎えに行くのに合わせて役割分担を話す。

「レオ様たちと別れるのは不安です」

「我々でお役に立てるのでしょうか」

「まぁ、国王軍にも上級魔法使いはほとんどいないようですし、西門ならば安全な城門の上から魔法を打つだけで良いのではないでしょうか。それに少々の怪我なら治しますので、とにかく死なない様にだけ気を付けてくださいね」

と西門に行くゼキエッロ、ブリツィオに話をして別れる。どちらかというと、南の正門側の方が危険だと思われるので、特に初級魔法使いのリンピーノとニアミッラの方が心配である。

「南側の我々はできるだけ集まって行動をするようにしましょうね」

と注意しておく。


完全に日が昇った後、正門側にも国王軍が昨日と同じように攻め寄せてくる。昨日のことを反省していないかのような、逆茂木の撤去への取り掛かりである。

「西門へ注力すると思ったが読み違えたのかもしれない。だが、これすらも偽計かもしれないので、このまま予定通り南東の陣営と合流して国王軍を叩く!」

正門側の将官は決断をし、南東の陣から味方が攻めかかるのに合わせて開門し、騎兵、歩兵含めて攻めかかる。もちろん逆茂木があるので、自分たちも大規模移動は容易ではないが、まず南東から大軍が攻めかかっているためそれに気を取られている国王軍に別方向からの攻撃であるので、少しずつながらでも効果がある。

レオたちは昨日と同じように逆茂木に来ていた敵兵に魔法を放つために城門の上に居たので、どうしても正門からの軍勢の後からついて行く形にはなったが、その方が近接戦闘に弱いメンバも居るので都合が良いと思うのであった。


国王軍は数が多いとは言いつつも、街の南西を中心に街に合わせて細長くなっていたため、東の端に相当するところだけではそれほど軍勢が居るわけではなかった。また、クーデター軍に読まれていたように、その東西に延びた軍勢でも西門を目指すために西側に寄せていたため、東端への一斉攻撃には面喰ってしまう。数で劣っているクーデター軍は、昨日の西門での失敗も含めて、自ら攻めては来ず防衛に専念すると高をくくっていたのもある。

さらに、クーデター軍の南東の陣ほど設営に日数を取れていない国王軍の陣は、簡易の柵だけであるので、昨日の西門のときに比べて非常に多い攻め手に持ちこたえることができない。そこに、万に近い何千もの軍勢が押し寄せたのである。いくら総数で2万規模の軍勢であっても、まともに対峙できている数は数千であり不意を突かれたため、全体としてはクーデター軍の作戦勝ちであった。


とは言っても、総数では半分ほどであり練度もない志願兵が多いクーデター軍としては、敵陣に長居して総力戦になると大逆転されることも認識していたため、まずは騎兵で混乱させた後の歩兵による数による制圧、それが終われば再度騎兵でかき乱している間に歩兵は撤収し、最後に騎兵も撤収することも指示されていた。

志願兵など初めての戦闘で舞い上がっている者たちが居たが、まばらに散らしていた従騎士・従士が動きを誘導していたため、いつまでも居残る失態にまでは繋がらずに済んだ。

レオたちは攻勢時には味方が到達していないその先に魔法を打ちこみ混乱をさらに誘発し、撤退時には体勢をぶり返して来た国王軍に魔法を打ちこんで勢いを止めるなど、騎乗しているからではの機動力で本日も貢献をしっかりして、街に帰陣することになった。


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