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超記憶レオの魔導書蒐(あつ)め  作者: かず@神戸トア
レオは潜入する準男爵

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テソットへの移動

テソットへの馬車の旅への護衛として紹介された3人。

「俺はリーダーのコンラッド。こいつらはクラレミーとタルコリン。よろしくな」

「私はレオナルド、こちらはベラとフィロと申します。私たち3人は、お名前は言えませんが、ある高貴なお方の移動への付き添いになります。道中、よろしくお願いします」

「おう、任せておけ。姉ちゃん、俺たちの食事もよろしくな」

「かしこまりました……」

レオは使用人として丁寧な対応をするが、冒険者の方はそのつもりが無いようで、ベラに対しても好色そうな眼付きで失礼な感じである。


さすがにこのような冒険者3人に対して、いくら気さくとはいえ伯爵であるスクゥーレを表に出すわけにもいかず、道中では極力顔を合わさせないようにした。食事の際にも馬車内に居るスクゥーレに対して、ベラが差し入れる、就寝の際には女性のベラとフィロがスクゥーレと馬車の中で、レオは馬車の入口付近で、冒険者3人は焚火のまわりで交代の番、である。


ルンガルから主街道を西に進み、以前のコリピサ王国とルングーザ公国との交戦の場で、ハイオークキングとも戦う羽目になった辺りも通り過ぎる。そのまま西に進めばコリピサ王国の王都に着くのだが、今回の目的地であるテソットへは途中から北上することになる。テソットだけでなく、そのまま北上するとリブレント王国にもつながる街道であるが、東西の主街道に比べると道路幅も狭く、通行人も急に少なくなる。

ここまでは魔物や盗賊の襲撃もほぼ無い主街道であり、安心して進めていたが、これからは注意が必要になる。

「ここからは俺たちの出番だな」

とコンラッドたちが発言するが、どうも心もとない。もちろん顔に出すわけはなく、レオはおだてておく。

「はい、どうぞよろしくお願いいたします」


そして、翌日にはテソットに到着する予定の野営のとき。

「最後の晩だし、酒も貰えないか?姉ちゃんのお酌でよ」

「申し訳ありませんが、お酒はご用意しておりません。無事にテソットに到着すれば心付けを弾ませて頂きますので、明晩までお待ちください」

「ふん、つまらねぇな」

「申し訳ありません」

下手に出るレオが責められるのをみて、フィロは特に我慢ができないようであるが、ベラが何とか抑えている。


その深夜、いつものように馬車の中にスクゥーレ、ベラ、フィロ、その手前にレオが寝ていたのだが、気配がおかしい。レオが焚火の付近をのぞくが、コンラッドたちが誰も居ない。声をかけても返事がない。慌てて、馬車の中の3人にも声をかけて起こす。

レオたちは魔法の腰袋からショートソードとスモールシールドだけ取り出して構えておく。急ぎのためレザーアーマー等は諦める。スクゥーレも貴族当主として最低限の剣は学んでいるというので、最悪の場合にはあてにさせて貰うつもりである。

相手を油断させるため、馬車の中は構えておきながら、レオは馬車の前に戻り、黒ローブの中に剣と盾を隠しておく。


「呑気に寝てやがる。子供のくせしてかたっ苦しいことを言ううっとうしい奴だったな。まずはこいつから。女たちは楽しませて貰うか」

「おい、女たちって、1人は子供だろう?」

「まぁそう言うなよ」

薄目で見ると、コンラッドたち3人以外に何人か連れて来ている。そしてコンラッドたち3人が弓を構えて、他の援軍が剣を抜いて近づいてくる。

やれ!という掛け声にあわせてレオに矢が3本飛んでくるが、タイミングを見ていたレオは、立ち上がり回避をする。

「なに!?起きていたのか」

「盗賊の仲間だったのですね。見た目通りだったということですか……」

安い挑発に乗ったコンラッドたちは、弓を投げ捨てて片手剣と盾を構えて迫ってくる。そのときには、ベラとフィロも馬車から飛び出しレオと並んで構える。

「遠慮しなくていいぞ」

というレオの言葉に従い、それぞれ≪火槍≫を盗賊に順次あてていく。レオも≪雷撃≫をそれ以外の盗賊に飛ばしていく。所詮はベテランである銅級冒険者にもなれず鉄級のままで、うだつが上がらないため盗賊に身をやつしたような奴らである。武器を扱えない一般人に対して数の暴力で押し込むつもりなことしかできないので、上級魔法で反撃された場合に対処できるわけが無い。


結局、コンラッドたち3人が連れて来たのは3人、それも同等レベルの戦闘力しか無かったようで、スクゥーレの手を借りることもなく6人とも撃退することができた。

撃退そのものよりも、後始末に悩んでしまう。このまま全てを埋めてしまい、コンラッドたち3人が途中で逃亡したと冒険者ギルドに報告することもできるが、不要な疑いを持たれてしまう。そこで、盗賊3人に対して護衛3人が相打ちとなったと、6人の武器類と冒険者証だけギルドに提出することにする。死体や防具には焼け焦げた跡があるため、魔法の発動者を問われるのも面倒になるので、武器など以外は全て土魔法で掘った穴に埋めて行く。

その後は特にトラブルもなく目的の街テソットに到着したので、さっそく冒険者ギルドに冒険者証などを持参して護衛依頼の結末を報告する。護衛の報酬も合わせて、もし遺族が居るならばとギルドに渡しておく。

護衛を受けるはずの者が護衛者を襲ってその装備等を奪う話も無いわけでないだろうが、その武器等や護衛報酬もギルドに渡しておけば、不要な疑義は持たれないと考えての対応である。


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