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超記憶レオの魔導書蒐(あつ)め  作者: かず@神戸トア
レオは潜入する準男爵

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留守屋敷の扱い

レオたちはコリピサ王国に行くにあたり、ガンドリア王国への援軍のときよりも長期になると想定されたので、屋敷の扱いに悩む。

「もともと借家ですし、レオ様は公女様の屋敷、私たちは最悪スラム街に戻れば良いので、賃貸契約を解除していきますか?」

「いや、スラム街に戻る案は無いから」

「でも、お金がもったいないですよね」

「お金は何とかなるけど、住んでいない家は傷むというからなぁ」

「使用人を雇われますか?陞爵(しょうしゃく)されたので雇用も増やす必要があるかと」

「信用できる相手か見極めるのも難しいよなぁ」

「では命令に逆らえない犯罪奴隷を購入されますか?」

「それも考えないとダメかなぁ」


自分たちの屋敷でベラと相談しているところに、エルベルトたちが狩りの肉を土産にやってきたが、レオを見て警戒される。

「お前誰だ!?」

ベラとフィロには素顔を説明していたので、仮面もローブも外して油断しているところへの来訪であった。

この機会にと、エルベルト、カントリオ、メルキーノの3人にもレオ・ダン・コグリモ準男爵は、レオナルドという少年であることを説明し、ベラたちと3人でしばらくコリピサ王国に行くことになったことを話す。中身が少年であることは十分に分かっていたエルベルトたちは、特に非難することもなく、仮面のことなどは軽く流してくれる。

「じゃあ、この屋敷どうするんだ?」

「まさにそれを悩んでいて」

「俺たちが使っても良いか?今後はこの前みたいに馬の機会が増えるだろうし購入するつもりだが、馬屋がある宿屋は高くてなぁ。もちろん使ったところの掃除ぐらいはちゃんとするから」


お互いに渡りに船となったので、エルベルトたちに留守の間の屋敷の使用や、知識・魔法の女神ミネルバと天使グエンの祠の清掃などを頼む。ただ、レオは魔導書の束が気になるので、それは公女の屋敷の自室に移しておく。写本などが増えていたので魔法の腰袋が活躍する上に、改めて公女からも今回の依頼用に魔法の袋を貸与して貰えていたので活用する。

魔法回復薬やスクロールの製作は、中途半端に残すと邪魔になるので全て作り切って、自分たち用に確保する以外は全て納品し軍資金に変えておく。



コリピサ王国伯爵のスクゥーレ・マストヴァが、支援者からのなけなしのお金による身代金で解放された後、身の回りの世話のための使用人を雇おうとしたが、残額も少ないため安い者を選ぶしか無かったという筋書きである。

レオは公女の付き人として執事の訓練を受けていたのでそれなりの技能はあるが、孤児出身の子供だから安くてお買い得という設定を追加すればよい。しかし、ベラとフィロ、特にフィロは侍女としては訓練不足であるので、雑用係とその娘とする。低額で他国まで付いてくる雇用なので贅沢を言えなかったと。

特にコリピサ王国に入ってからは、どこで誰が見ているか分からないので、黒ローブと仮面、冒険者の身分証や武器の類は魔法の腰袋に収納しておき、ただの使用人や雑用係の身分証を官僚たちに用意して貰っておく。


そして、違和感が出ないように、スクゥーレとレオたち3人がまずは小さな屋敷で顔合わせをし、2泊ほど共同生活をしてから馬車でコリピサ王国に向かうことになった。

もちろん、本当は支援者からのお金は届いていなく公国がコッソリと支援するのだが、新しい国王に推すわけであり余りに粗末な生活をさせるわけにいかないので、中流家庭程度の生活費を与えられる。それにより、食材を購入して来てベラが調理することになる。スクゥーレは、コリピサ国王のまた従兄弟という血筋ではあるが、他の貴族のように商人と結託して戦争で私腹を肥やしたわけでもなく、つつましい生活をしていたといい、特に不平不満を漏らさない。それどころか、ベラの料理をおいしい、贅沢だと言ってくれる。

公女の誕生日パーティーに来たコリピサ王国の使者や戦争のことを踏まえると、コリピサ王国もこの人物が国王になれば変わることを期待したい。年齢もまだ30代ということであり、長期政権も期待できる。



レオたちは無事にスクゥーレとの顔合わせも終わり、コリピサ王国への1週間ほどの旅の準備を行う。目的地はコリピサ王国の王都ではなく、ルングーザ公国にもまたがって存在する魔の森の近くの街テソットである。ここは、コリピサ王家の発祥の地とも言われ、魔の森への前線基地、砦として発展した街であり、コリピサ王家もその中で頭角を現して王国を樹立したという話である。

スクゥーレ・マストヴァ伯爵はその地で王祖に国の再興を誓って旗揚げをする予定であったらしい。ルングーザ公国への侵攻とその際に捕虜になったことにより色々と予定が伸びてしまったが、仲間はそこで準備をしているらしい。本当は仲間たちにより身代金ぐらいはすぐに用意ができたのだが、伯爵家はそれほどのお金が無いはずなので違和感を持たれることを忌避していたら、公国が先に対応したとのこと。


さすがに貴族が護衛も無に使用人とだけで馬車移動するのは外聞が悪いだけでなく、逆に使用人の武力があると喧伝しているようなものになるので、その費用も公国が負担するので冒険者ギルドに依頼を出すことになった。

貴族らしいだけの額を用意できるのもおかしいと考え、形ばかりの額にすると、貴族対応もまともにできるはずの金級冒険者をとても雇えるわけがなく、風体もまるで盗賊であるかのような鉄級の30代男性3人を紹介された。


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