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超記憶レオの魔導書蒐(あつ)め  作者: かず@神戸トア
レオは真っ黒な騎士爵

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コリピサ王国侵攻の真相

いくら上等な戦馬とはいえ、駆け続けていて疲労もある愛馬をいたわりながら、何とか公都ルンガルに到着する第1公子フルジエロ。

既にコリピサ王国軍の捕虜たちは誰とも接触させることなくルンガルに到着していたようであり、彼らと側近を連れて登城し、父である公爵と宰相に面会の申し入れを行う。

先に急使が概要を伝えていたため、何事にも優先するということで、会議室で密談を行う。順次、捕虜たちを中に呼び入れて確認を行う。

ちょうどその頃、軍勢を引き連れて凱旋してきた第3公子と第4公女が登城するとの連絡が入って来たので、貴族たちはいったん待機させることにして、第1側室、第2側室、第1公子、第2公子、第3公子、第4公女と宰相たち限られたメンバのみで会議室に集まる旨をそれぞれに通達する。


予定の人数がそろったところで第2側室が口を開く。

「外に嫁いだ第2公女、まだ援軍に手間取っている第3公女以外は勢ぞろいですわね。せっかくの第3公子イレネリオと第4公女タージニアの晴れの舞台ですのに」

「許可なく口を開くな」

いつもならあり得ないほどのきつい口調で叱る公爵と、驚いて目と口を開いたままかたまるイルヴィア。

「まずこの度のコリピサ王国への対応、ご苦労であった、フルジエロ。第1の功績とする。またこの場には居ないが、ガンドリア王国への支援で活躍したマルテッラを第2の功績とする」

「フルジエロ兄上は分かりますが、マルテッラ姉上ですか?イレネリオ兄上と私タージニアはいかがなのでしょうか」

「許可なく口を開くなと申したであろう!」

再びきつい口調の公爵に戸惑うタージニア。

「タージニア、そなたにはこれだ」

指示を受けた壁際に居た衛兵がタージニアを抑えつける。

「どういうことですか!?父上!」

「待ちなさい、タージニアを放しなさい!」

イルヴィアが叫ぶが、公爵の指示でイルヴィアも衛兵に抑えつけられる。

「わしが何も知らないと思っているのか。目をかけて可愛がっていたというのに……」


宰相が話し出す。

「第2側室イルヴィア、第4公女タージニアの2名は、コリピサ王国への内通を含めた反逆罪で逮捕します」

「そんなことするわけないでしょう!証拠は!?」

「連れてまいれ」

コリピサ王国の司令官、指揮官たちが連れて来られ、話すように促される。

「第3公子に実績をつけるため、コリピサ王国も協力することにした。まずガンドリア王国に攻め込むと、前回と同様に第1公子と第3公女が援軍に行くであろうから、ルングーザ公国にも侵攻すれば残った第3公子と第4公女が出陣するであろう。公爵や第2公子の可能性もあるが、そこは第2側室が上手く公爵を誘導すれば確実である。もちろん第3公子が迎撃してきたら戦わずに撤退して、実被害はほぼ無しで功績をやるつもりだった。コリピサ王国にしてみれば、武勇にも優れた第1公子が後継者になるよりも、実力も意欲も無い第3公子が首脳になった方が楽であるのと、その母や妹が隣国に内通している後ろめたさを使えば、名実ともにルングーザ公国を支配できると思っていた。前回にも第3公女を罠にはめてハイオークキングで殺すように打診して来た後ろめたさもあるだろうし」

という旨を告白する。

「なんですって!」

怒り心頭の第2側室であるが、知恵が足りていなかったことを暴露するだけであり、皆から憐れみの目で見られるだけである。


「2人を連れて行け。そして、イレネリオ」

「はい」

明らかに知らなかった風な第3公子は公爵に声をかけられても戸惑うだけである。

「きっとお前は何も知らなかったのであろう。ただ、2人があれである。お前も謹慎を申し付ける」

「かしこまりました……」

「では、貴族たちも含めて凱旋の祝いの場に移るとしよう」


部屋に残ったのが第1公子と第2公子のみになったとき、第1公子は第2公子にささやく。

「お前が黙認していたことは報告していない。これからは欲をかかずに俺を支えてくれよな」

上手く潰しあってくれればと思っていた心当たりがあるコスターレは、何も態度や言葉では反応しなかったが、改めて兄の恐ろしさを認識して、分相応を心掛けることを決心するのであった。



その後は、謁見室において、公爵が人数の減った公爵家や宰相を身近に並べて、貴族たちを見下ろし、今回のコリピサ王国の侵攻への皆の対応についてねぎらいの言葉をかけるのであった。

公女マルテッラや騎士団長、魔術師団長が援軍に行ったガンドリア王国から戻ってきたら祝勝会を催すという宣言と共に解散となった。


当初の迎撃軍の大将と副将である第3公子と第4公女、そしてその母親である第2側室がその場に居ないことについて、疑問に思いつつも口に出せない各々であった。後に城内、公都内に噂だけが流れることになった。わがままが酷かった第2側室と第4公女が不在になり安堵する声と、上手く乗っかれればと考えていた非主流派が自分達も危ないのではないかと相談する声がコッソリとあちこちに発生していた。そして実際に第2側室と共謀してコリピサ王国への内通に加担していた貴族や官僚たちは粛清され、爵位を下げる降爵(こうしゃく)で許されることなく、爵位を無くす奪爵(だっしゃく)を実施されていった。

そのようなざわついた雰囲気の公都に、公女マルテッラや団長たちガンドリア王国への援軍が凱旋し、再度元気な雰囲気を街中が少しだけ取り戻すのであった。


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