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超記憶レオの魔導書蒐(あつ)め  作者: かず@神戸トア
レオは真っ黒な騎士爵

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コリピサ王国の2面作戦

(さかのぼ)ること2日ほど前の公城。

「まことなのか、イルヴィア?」

「はい。コリピサ王国がルングーザ公国にも侵攻するという情報を入手しました。早々に迎撃をする必要があります」

「フルジエロ、マルテッラをガンドリア王国への援軍に出している隙を狙われるとは」

「連戦に疲れた国内を抑えるためにも陛下と内政に向くコスターレ殿下は在城いただき、ここは我が子イレネリオとタージニアに出陣を命じ下さい。このようなときのために準備しております」

「まことか、頼もしい限りである。では第3公子イレネリオ、第4公女タージニアに大将と副将を命ずる。残る公国騎士団、公国魔術師団からと、貴族たちを率いて迎撃せよ」

「「かしこまりました」」

第2側室のイルヴィアが公爵に対して、自分の子供たちを売り込んでいた。



時は戻り、ガンドリア王国がコリピサ王国を迎え撃つ現場。

「フルジエロ公子殿下、公爵陛下からの速報にございます」

「何事だ?」

「コリピサ王国がルングーザ公国にも侵攻してくるとのことで、イレネリオ公子殿下、タージニア公女殿下が公国騎士団、公国魔術師団、貴族たちを率いて迎撃に向かわれます。ガンドリア王国への支援にめどが付けば、イレネリオ公子殿下たちへの応援に向かうように、と」

「なんだと!いつのことだ!?」

「2日前の決定でございます」

『なぜそんな早い情報入手が?怪しい』「分かった。ご苦労。下がって良い」


すぐに騎士団長スタキーノ・ジョディネ、魔術師団長エルコンド・マストリノ、同腹妹であるマルテッラとそのお付きであるレオを呼び、公都からの知らせを共有する。

「イレネリオとタージニアが上手く軍を率いるなど聞いたことが無い。騎士団長も魔術師団長もこちらに来ているので余計に危ない。俺はこのまま北上して、ルングーザ公国とコリピサ王国との国境に向かう。このガンドリア王国への援軍を任せて良いか?」

「かしこまりました。しかし陛下のご命令に背くことにはなりませんか?」

「それは大丈夫だ。こちらの支援にめどがつけばイレネリオたちに応援を、とのお言葉である。こちらは膠着状態であり、マルテッラたちの治療支援も行った」

「しかし……」

「大丈夫だ。先ほど公城には側近を急使に飛ばして、こちらについてと、もう一つ了承を取るようにした」

「もう一つとは?」

「まぁ結果しだいだ」

「かしこまりました。して、いかほどの兵を連れて行かれますか?」

「早駆けに耐えられる騎士団の半分ほどを貰いたい」

騎士団長と魔術師団長、公女は状況を理解し、そろってガンドリア王国の陣に向かってそのことを伝える。

もともと援軍を依頼した側であり、残念がってはいたが拒否権は無い。全軍撤退でないので、余計に文句も言えず、ガンドリア王国マンフラム第1王子も了承する。


公子は早速にと出発して行くが、公女たちに、自分達の戦力が減ったことを気付かせないため、上手く敵陣に攻撃をするように、と指示を残していく。

その作戦にガンドリア王国軍を使うわけに行かないので、公女たちは残った騎士団半分、魔術師団、レオたち総動員で出陣をする。自分たちに割り振られた小砦は、まわりにガンドリア王国軍が居るため空にする本当の総出である。

いまは膠着状態であるので、奇襲とするために、相手に見えないようにまずは林に向かい、その林を目隠しに移動して、一番端の少し離れた敵陣を目標とする。


コリピサ王国軍がガンドリア王国に侵攻して来ておきながら積極的に攻めて来ないのは、ルングーザ公国への侵攻が本命であると想定する。そうなると、こちらの陣営は本気でない出陣であり、どうしても気が緩んでいるはずである。ここ数日の膠着状態がますます気の緩みを誘発していると期待する。

深夜まで待機として交代で仮眠や食事など休憩を取らせる。


そして敵も寝静まったと思われる時分に、公女も含めた魔法使い達が可能な限り火魔法で狙った敵陣に遠隔攻撃を仕掛ける。騎士団でも弓を持参した者たちはそれを使用して火矢を放つ。その他の者たちは接近戦に弱い魔術師たちの前に盾を構えて並んでおく。

レオなど上級魔法使いは≪炎壁≫≪火槍≫などを、それ以外では≪火炎≫などになるが、十数人の魔法使いによる一斉攻撃である。木で急造された陣地は、柵も建物も次々と燃え上がり、馬小屋にも火がついて馬が騒ぎ逃げ惑うことにより、さらに敵陣を混乱に陥らせる。

本当はとどめをさしたいところではあるが、もし敵軍に優秀な者がいて、こちらに追撃でもされたときには少人数の自分たちは弱い。そこで、魔法使い達が魔力の限り、火矢もある限りを使い切って攻撃を終えると、乗って来た馬でさっさとガンドリア王国の砦に向かい逃げることにする。もちろん反撃を受ける前の、予定していた撤退であるので、陣形もあらかじめ決めていた殿を騎士団とする安全なものであるので、こちらにたまたま逃げまどってきた者や極少数の追撃部隊に対しては難なく対処できる。


砦に戻った公女たちは、少しだけ居た怪我人たちを回復魔法で回復すると共に、ガンドリア王国に奇襲の結果を報告する。


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