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超記憶レオの魔導書蒐(あつ)め  作者: かず@神戸トア
レオは真っ黒な騎士爵

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ガンドリア王国への援軍

事前準備も耳打ちされていた者ばかりであり、援軍派遣が決定された翌日には出発となった。

公城の広場にて集まったのは、第1公子と第3公女の大将、副将を筆頭に、公国騎士団の100騎とその従騎士、公国魔術師団の10騎である。

「ガンドリア王国からの援軍要請に対して諸君ら精鋭部隊を派遣する。コリピサ王国の侵攻軍を蹴散らすことを期待する」

公爵と第1公子それぞれからの言葉を受け、公都ルンガルの住民の声援を受けての出発である。


ルンガルを出た後は主街道を、馬が疲れない程度の早足で進む。そのまま西にまっすぐ進めばコリピサ王国で、前回の戦場に向かう道と、これからガンドリア王国へ向かう南西への道の分岐点も早々にすぎ、ガンドリア王国への手前あたりで初日の野営となる。

レオは公女に付いた部隊の扱いであり、公国騎士団と公国魔術師団それぞれとは別の集団に属していた。移動時の隊列として、公国騎士団の半数、第1公子と第3公女の集団、公国魔術師団、公国騎士団の残り半数の順である。そのため、それなりに知り合いの多くなった公国魔術師団とはある程度近い距離であり、野営時には魔術師団長も公女への挨拶の後にレオの顔を見に来てくれた。


前回のコリピサ王国との戦いの際には、レオたちは自由行動がとれて狩りをしたものを食事に使用できていたが、今回は援軍全体の移動速度が速いこともあり、持参した干し肉など携行食になっている。さすがに公子や公女は、馬車ではないものの執事たちが馬で運べた範囲での、携行食よりはもう少しましな食事である。レオは公女の使用人の立場の方であればそちらの食事になったのであろうが、今回は冒険者で騎士爵の立場であるため、ベラたちと一緒に簡易な夕食を取っていたところである。


団長もそのレオを見て声をかけてくる。

「コグリモ騎士爵は公女殿下と一緒の夕食では無かったのですね」

「はい。ガンドリア王国軍に合流すれば、兵站は彼らが用意してくれているというので、明日か明後日までの辛抱と思っています」

「そうですね。魔法の袋でもあれば、それに食料も入れて来られると良かったのですが。私もこの後は携行食で我慢します」

レオは、自分達が目立つ存在であるのに、さらに魔法の袋で異なる食事をすることで要らぬ不満の矛先になるのを避けるため、こっそりと魔法の袋に持参している食料は使用していないのである。同行しているベラもそれは認識しているが、フィロには伝えていない。我慢できずにトラブルを起こす可能性があるからである。


「今回従軍している魔術師団員は、ほとんどがコグリモ騎士爵の指導を素直に受けている若手が中心です。ただ一部だけ、団員が外部指導員であるコグリモ騎士爵から指導を受けていることを好ましく思っていない者がおります。私の目が届かないところで要らぬことをしでかさないことを願っておりますが、一応気を使っておいていただけると助かります。申し訳ありませんが」

「ご注意、ありがとうございます。気を付けておきます」


その夜は、念のために見張り番を交代でしたが、100人単位の規模の軍隊を襲う魔物や盗賊が居るわけでもなく、無事に朝を迎えることができた。

2日目もほぼ終日街道を進むだけであったが、午後もある程度になり、戦場側に向かうため街道を外れて進む。さすがに草原とは言いつつも、完全な平原ではなくある程度の凸凹や小高い丘なども点在する。おかげで馬に乗っているだけの高さであると、凹みに居る際には遠くを見通すことができなかったりする。

日も沈みかけた頃、遠くに砦とその周りの軍隊が見えるようになってきた。完全に日が暮れてしまう前に到着するように最後に少し駆け足での移動にはなったが、無事にガンドリア王国軍に合流できた。


近づいて分かったことであるが、小高い丘がいくつかある中で一番大きな丘の上に大きめの砦があり、その周りにいくつかの小さな丘の上の砦が点在する。それより奥の方は森というほどではない林程度の木々の塊が点在するエリアになっており、大軍で待ち構える防衛線として長年使われている拠点であると推測される。

当然一番大きな砦にガンドリア王国の本陣があり、事前の話で、小さな砦の1つがルングーザ公国のために用意されているとのことであった。

いったん部屋割りも含めてその小さな砦によって、馬の背に積んだ荷等を降ろした後、公子、公女、騎士団長、魔術師団長などが本陣に着陣の挨拶に訪問することになった。レオは公女付きの騎士爵として、レオのみが同行するので、ベラやエルベルトなど他のメンバに部屋の用意などを頼んでおく。


案内された部屋は大きな部屋であり、大きく長いテーブルが中央に設置されていた。テーブルの反対側には王国軍を代表すると思われる者たちが並んでいた。

「第1公子フルジエロ・ルングーザ様、第3公女マルテッラ・ルングーザ様、よくぞお越しくださいました。精鋭の皆さま、大変心強いです」

「第1王子マンフラム・ガンドリア様、ありがとうございます。距離もあるため人数は絞りましたが、ご期待ください」

「遠路ありがとうございました。まずはお食事をどうぞ。現在の状況もおいおいお話させて頂きます」

レオを含めたお付き、護衛メンバ以外はその大きなテーブルに、各国同士が対面で着座して食事を始める。レオたちは公子や公女の後ろに控えて起立したままであり、食事にはありつけていない。



「現在、コリピサ王国は目の前に見える所々に存在する林の向こう側に到着して、陣を構えています。総勢は1万人ほど、そのうち騎兵が3割ほどです。一方、我がガンドリア王国は総勢が7,000人ほどで、騎兵は2,000ほどです。ルングーザ公国からのご支援300超の騎兵を足しても、総数では負けておりますが、砦など地の利はこちらにありますので、十分に対応可能かと」

「まだ戦線は開かれていないのですね?」

「はい、まだです」

「ご存知かと思いますが、先日の我が国への進行の際にはハイオークたちも使役して攻めて来ておりますので、その心づもりも大丈夫でしょうか」

「もちろんです。逆に美味しい食肉を運んできてくれるのだと期待しております」

両国の首脳同士は笑いながら会食を続ける。


結局レオが食事にありつけたのは、小さな砦に戻った後であった。ベラたちはレオも食事をしてくるものだと思い込んでいたため、支給されてきた温かい食事を既にとり終えた後であり、レオは1人悲しい気持ちで残り物を温め直して食べるのであった。


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