表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
超記憶レオの魔導書蒐(あつ)め  作者: かず@神戸トア
レオは真っ黒な騎士爵

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

63/176

従軍前の仕上げ

魔法回復薬をたくさん作り過ぎて持ち運びを悩んでいたレオは、公女の馬車で運べるかを相談する。すると、公女から魔法の袋を見せられる。

「それほど大量ではないし、時間停止や使用者制限などの機能はないのだけど。この腰袋の中は1辺が3mの立方体ぐらいの大きさだから、それぐらいは入るわね。従軍の間は貸してあげるわ」

ずっと欲しいと思っていた魔法の袋であり、貸与であってもとてもありがたい。食料等も収納しておけば、非常に身軽に行動がとれる。


続いて、従軍前なので少しでも戦闘力の向上をするためには、ベラとフィロに新しい魔法を覚えさせるよりも手っ取り早いはずのスクロールを使いこなせるように、と考えた。今作れるスクロールは初級魔法のみであり、2人が未習得な攻撃魔法では風魔法と土魔法であるので、≪風刃≫≪投石≫のスクロールを作る。

手軽な毛皮入手も兼ねた練習で、角兎ホーンラビット相手にスクロールを使わせてみる。すると意外に不便なことに気付く。スクロールは通常丸めて筒状にしてあり、戦闘中に使用しようと思うと両手が必要になる。通常の攻撃時には短槍と盾を装備しているのに、取り出した後も両手で封を外して広げて魔力を込めるのである。

すぐに片手で開けられるように、簡単な封にするなどの工夫と薄い羊皮紙が必要と認識する。高ランク魔物で硬い皮だと薄くもできるし、丸めた状態で保管していてもつぶれてしまい簡単に開けなくなることも減るであろう。

Cランク魔物のロック鳥は、空を飛ぶために骨も含めて軽くて丈夫であり、羽根をむしって作成した羊皮紙は期待通りの丈夫さも便利さも備えていることもわかり、自分達が使用するスクロールだけでもこれで用意することにした。


ついでに、その中級狩り場において、ベラもフィロもCランク魔物を1対1で倒させることで、銅級冒険者への昇格も果たしておく。以前にスラム街を出るときに対人戦闘は経験しているため、裏条件も達成済みと認められていた。

それらの素材の持ち帰りとして、いつもの荷馬車だけでなく魔法の腰袋も使用して、その効果を実感している。



また豊富になって来た資金で、各属性の触媒も仕入れてきて、ベラとフィロが未習得な風・土・光・闇の4属性の初級魔法を練習させてみる。

するとなぜか、いつもベラより習得に手間取るフィロでも風と土の属性に関しては少し覚えが良かった。どうもスクロールで疑似体験をしたことが習得のしやすさに貢献しているようである。

さっそくレオがスクロールにできる初級魔法の≪そよ風≫≪集音≫≪風刃≫、≪砂生成≫≪投石≫≪粉砕≫、≪灯り≫、≪夜目≫のスクロールを、入手の簡単なホーンラビットの羊皮紙で大量に作成し疑似体験させた上で、触媒も使用しての発動練習をさせてみると、魔法に慣れてきたのもあったのかもしれないが、今までとは比べ物にならない習得速度となった。ついでに未習得であった水魔法の初級≪洗浄≫もスクロールを使用して習得させておく。


あまりに上手く行ったので、公女マルテッラにも試してみると、今まで未習得であった≪洗浄≫もスクロールで疑似体験の後にはすぐに習得できた。

「レオよ、これは他国に漏れると問題になるほどのノウハウであるぞ。軽々に広めてはならぬぞ」

「かしこまりました。公国魔術師団への指導においてはどうしましょう?」

「どこで漏れるかわからないし、裏切者がどこに居るかも不明だから、やめておこうかの」


レオは魔法使いがそもそも少ないのと、戦闘にも使える魔法使いが少ないのは、このような知識、ノウハウが一部の者に秘匿されているからではないかと考えるようになった。かといって公女の言うように、簡単に広めて良いことでも無いと理解するので、今のところは身近な公女、ベラ、フィロの3人だけにとどめておくつもりである。


その後ろめたさがありつつも、いつものように公国魔術師団の指導に行った際には、戦争でも役立ちそうな上級魔法≪氷壁≫と≪炎壁≫の魔導書を閲覧させて貰い、写本の作成と習得を行った上で、団員たちにも実演をしてみせる。敵の足止めなど使い道は多そうな魔法である。




そうこうしている間に、いよいよであるとの情報が入って来た。

やはりコリピサ王国はガンドリア王国に侵攻するようであり、ガンドリア王国からルングーザ公国へ救援依頼が来たので、ルングーザ公国としても援軍を出すという。

公国騎士団と公国魔術師団の選抜メンバを中心とした軍勢で、第1公子が大将、第3公女つまりマルテッラは副将扱いである。

レオは前回の戦争での貢献を踏まえて、その公女付きの騎士爵としての出陣、と予定通りになった。


ルングーザ公国にとり西側にあるコリピサ王国が、南西側にあるガンドリア王国に侵攻するのだが、3国の国境付近は、主に草原の平野がほとんどである。ただ、前回のコリピサ王国がルングーザ公国に侵攻した際は主街道に近い場所であったが、今回は主街道とは離れた場所となる。

ガンドリア王国に入るまでは街道を使って荷馬車も使用できるが、想定される戦場までは進むことができないこと、少数精鋭の選抜メンバを派遣することから、基本は馬のみでの移動と指示された。


ベラ、フィロだけでなくエルベルトたち3人にもその旨を伝えて、できるだけ身軽で馬に乗せられる範囲での荷物と心掛けるようにする。ただしレオは、公女に借りた魔法の腰袋があるので、他の従軍者たちに比べて魔法回復薬などを大量に持参予定である。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ