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超記憶レオの魔導書蒐(あつ)め  作者: かず@神戸トア
レオは公女の私設使用人

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ハイオークキング

ハイオークキングはAランク魔物であり、Bランクのハイオークファイター等よりもよほど強い。

おそらく近衛騎士でも対応できないと思い、公女を連れて逃げようと考えるが、公女はまだ目を覚まさない。この状態で移動させることによる懸念もある。

「トンマンドさんとタンマルコさんは、この弓矢で牽制してください。当たらなくても良いですから!」

フィロが拾った弓矢を、神官2人に預ける。

「それと、魔法回復薬はもうありませんか?」

「この1本だけ。助けてくれ」

「貰います。努力してみます」

完全回復には程遠いが、天使グエンを召喚できる程度には回復できた。


「ベラとフィロは、この片手剣を使って。短剣と同じく魔力を込めたら効果はあるから!」

2人にもフィロが拾った、アーチャーから回収した片手剣、かなり傷んだショートソードであるが、それを使わせることにする。2人には短剣しか教えていなかったが、自身でも経験があるように盾と短剣の組合せでは、実際には短剣の長さ的に突き出すのが難しい。また、短剣がAランク魔物の皮膚を貫くのは難しいだろう。


公女を守るように神官2人が弓矢を構え、その後ろの方で縛られた裏切り神官を転がしておく。彼らの矢は、仲間に当たらないようキングの頭の方を狙い、外れても遠くに行くように放っている。

近衛騎士が大盾を構えてキングの正面に立ち、横や後ろの方にレオ、ベラとフィロが陣取る。ベラとフィロは特に、初めてのショートソードの重さに振り回されて実際にダメージを与えているかは確かではないが、キングの集中力をそらすことには成功している。レオはグエンに攻撃魔法を使わせながら、何とか武技の≪剛撃≫や≪斬撃≫で少しずつでもダメージを与えて行く。

一方、近衛騎士は流石で、キングの攻撃を一身に受けつつ、隙をみて攻撃することでダメージを与えている。


何とかキングの顔へのグエンによる≪火槍≫攻撃が効果を見せ出してくる頃、近衛騎士も傷を負い息が絶え絶えになってくる。その頃には、戦場の端の方に逃げてきたとはいえ、巨大な魔物と自軍の近衛騎士が戦っているのが遠目に見えた味方が駆け付けてくる。まともに当てることができる弓矢の援護射撃や、ベラやフィロと交代して槍や両手剣で攻撃を与えるものが出てくる。近衛騎士が倒れたのでどこかに連れて行かれて、別の大盾を持った者が≪挑発≫でキングの攻撃を引き付けている。

そうして何とかハイオークキングを倒し終えたときには、周りにもそれなりの人数が集まっていた。

ふと気づいて慌てて公女のもとに戻ると、落ち着いた呼吸で眠ったままであり安心する。

「マルカミッロ!」

トンマンドの声で、転がしていた裏切り神官の方を見ると、首を切られて死んでいた。おそらくこの人ごみに紛れて、口封じのために殺されたのであろう。


色々とやるせない気持ちと、連戦による疲労で公女の横に座り込むレオ。ベラやフィロもすぐそばで同様に座り込んでいる。かなり無理をさせてしまい、悪かったと思う。

それこそこの人ごみで公女が再び狙われる可能性もあるので、護衛の意味も含めて公女の横で真っ黒3人が座り込んでいると、公女の執事や別の近衛騎士たちが駆け付けて、公女を馬車に乗せて帰ることになった。

レオたちはそこで別れて、岩場の拠点に戻ると、エルベルトたちの顔を見てホッとしたのか、3人ともそのまま眠り込んでしまった。


真っ暗な時間に目が覚めると、番をしていたカントリオが話しかけてくる。

「お前が最後だな。ベラやフィロはもう起きて軽く食事をしてから眠りについたぞ。お前も何か食べるか?」

ベラの作った物ほどおいしくはなかったが、疲れに優しい粥にしてくれている気持ちを感じ、感謝しながら食べるレオ。

「大変だったらしいな。また明日起きてから教えてくれ。今日はもう寝ろ。見張りは交代でしてやるから」

言葉に甘えて、再び眠りにつく。



翌朝、軽い朝食を食べながらエルベルトたちに昨日の騒動について説明をしながら、今日はまた治療所に向かえば良いのだろうか、と思っていたところ、岩場のまわりがざわつく。馬車がやって来たようである。

「レオ・ダンとその仲間の2人、一緒に来て貰おう」

公女の屋敷の馬車とは違った物であったが、武装解除されるわけでもないので、3人とも大人しく指示に従い馬車に乗り込む。向かう方向は本陣のようである。

「公女殿下、マルテッラ様のご容体はいかがでしょうか?」

「必要以上のことは話すなと指示されている」

移動中に使者に聞いても、取り付く島もない。


本陣らしきところの1つの天幕に案内され、言われるままに3人で椅子に座っていると、文官と武官それぞれらしきもの数名が入ってくる。

「公女殿下、マルテッラ様のご容体はいかがでしょうか?」

「普通にされている。特に後遺症なども聞いていないから安心するように」

「ありがとうございます」

「では、昨日起きたことについて詳しく説明をして貰おうか」

なぜか鎧を着た武官の1人から厳しい口調で指示されるが、気にせずに、順番を追って説明をはじめる。もちろん常人とは異なる記憶力であるため、指示通りかなり詳しい説明になった。


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