表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
超記憶レオの魔導書蒐(あつ)め  作者: かず@神戸トア
レオは公女の私設使用人

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

43/176

コリピサ戦線

行軍3日目の夕方には、コリピサ王国と対峙しているという草原にたどり着く。互いに経済影響が出ると困るので、街道から離れたところで対峙しているところが、本気での対戦でないのかと思わされる。


公女たちは当然本陣で多くの天幕、さらには先発組が組み上げた木の陣地のどこかで寝起きをすることになる。神官たち衛生部隊を含めた公国の正規兵、貴族の正規兵たちもその周りに陣を構築始める。

一方、臨時雇用の冒険者たちは途中の野営時と同じく、正規兵たちとは別に少し離れたところで陣を作るようである。

馬での移動のお陰で今日も早めに場所取りをできるので、今後しばらくの拠点になることを踏まえて、念入りに場所探しをする。草原とは言いつつ、所々に大小さまざまな岩が転がっているのを利用する。本当は小川の近くにもしたかったが、≪水生成≫ができるのでそこまで高望みをして恨みを買わないようにしておく。雨の日や風の日も想定し、岩場の中でも大きな岩が突き出して下に空間ができている場所を確保し、土魔法の≪土壁≫でその周りも覆うことにする。焚火をするための枝も多めに集めてきて、雨が降っても濡れないところに保管しておく。

後続の兵たちも続々と到着する中で、いい場所を先に取っていたからか近づいて来たのに舌打ちして去って行く者が何人か居た。そのうちにエルベルトたち3人組もやってくる。

「流石、レオたち。いい場所を確保したな。妬まれているぞ」

「そうは言っても仕方ない。早い物勝ちだし、うちには女性が2人居るからな」

「ま、それはそうだ。で、この土の壁も魔法なのか?」

「もう少し広げようか?」

「いや、十分だよ。本当、俺たちはレオと知り合いで良かったよ」


設営の時間を確保していたので、狩りはできていなかったが、昨日までの肉での料理をベラたちに任せる。

「雇い主のところに連絡に行ってくる」

レオは黒ローブと黒仮面のままではあるものの、公女の雇われ冒険者であることは初日に目立っていたようで、本陣の中で公女の居場所を確認しても怪しまれずに、執事のところにたどり着く。

「あちらの方向の岩場のところに拠点を構えました」

「あの真っ黒2人と一緒なのか?」

「もちろんです。他に、ダンジョンに行ったときの3人も毎晩一緒でしたが。今回の拠点も合同にしました」

「そうか、なら安心だな」

「はい、変に絡まれずに済むように助けられています」

『……頭が悪いわけではないのだが、たまに話がかみ合わないこともあるな……男女のことに関して子供すぎるのか、他人事なのか』


明日からの職場になる治療所の位置を教えられるが、戦場から連れ帰って来やすいためか前線側にある。また、万が一の死亡者が出たときのことも踏まえてか、本陣からは遠い外れの方にある。レオとしては初めての戦場であるのでそれが普通なのか分からないが、公女の護衛としては微妙に守りにくい場所であると考えながら、近辺のことを頭に入れておく。

岩場の拠点に戻り、皆から遅れて夕食を取るレオ。すっかり3人組と仲良くなったフィロが、もし怪我をしても自分が治してあげるねと言っている。


翌朝、ベラとフィロを連れて治療所に行きしばらく待つと、公女がやってくる。近衛騎士たちはそこで止まり敷地には入らない。

「公女マルテッラ様、おはようございます。レオ・ダンでございます。どうぞよろしくお願いいたします」

「あなたがリーダーね。話の通り3人とも真っ黒ね。まぁ良いわ。よろしく頼むわね」

「かしこまりました。こちら、ベラとフィロでございます」

「「よろしくお願いいたします」」

対外的なこともあり、公女とレオは互いに完全に初対面の素振りをするが、演技力があるわけでもなく上手く行っているかは分からない。

「皆様、こちらへ」

治療所の職員が4人を中に案内し、もともと治療に当たっていた神官たちと顔合わせを行う。


「公女マルテッラ様、この度はご本人並びに応援によるご支援、誠にありがとうございます」

「皆さんこそ今までご苦労様。引き続きよろしくお願いね」

「もったい無いお言葉でございます」

「紹介するわ。応援の冒険者、レオ・ダン、ベラ、フィロの3人よ」

「「「よろしくお願いします」」」

「申し遅れました。私たちは豊穣の女神デメテル様にお仕えしておりますトンマンド、タンマルコ、マルカミッロでございます」

「さっそくではございますが、大変失礼ながら皆様の可能な回復魔法についてご教授お願い致します」

「私は≪治癒≫は確実で、≪回復≫は少しだけ」

「そのお歳で中級に取り掛かられているのはご立派です」

「私は≪治癒≫≪回復≫≪解毒≫≪軽病治癒≫は確実で、≪上回復≫が少しだけ。こちらの2人は≪治癒≫は確実で≪回復≫は少しだけです」

「な!いずれの神様をご信仰なのでしょうか」『私ですら≪回復≫までなのに冒険者風情が見栄をはって。すぐにばれるのに』

「知恵・魔法の女神ミネルバ様と、眷属の天使グエン様にございます。このような装いをする事情がある私にも、深い愛を頂いております」

「それは素晴らしいことですね」『天使のお名前までとは、見た目と違って敬虔なのであろうか』


「私はこのレオとペアを組み、残り2人がペアを組んで治療に当たりますね」

「かしこまりました」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ