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超記憶レオの魔導書蒐(あつ)め  作者: かず@神戸トア
レオは公女の私設使用人

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コリピサ戦への従軍

冒険者ギルドで依頼を受けた冒険者たちはある程度かたまって行軍するのかと思っていたら、雇用主ごとに分かれるようであった。

公女による回復魔法の使い手の募集に応募したのは、レオ、ベラ、フィロ以外にいなかった。命の危険が高い、直接戦闘を期待されている他の貴族の雇用の方が、報酬額が高いのもあるのであろう。ただ、もともと魔法使いが少ない中で、さらに神官にもなっていない回復魔法の使い手が3人も揃ったこと自体がすごいらしく、公女様の人望である等と言われていた。

公女は基本的には行軍の本陣の中心にいるため、最初に公女の執事からの挨拶において、レオのことを知っているのもあるのだが、

「現地に着くまでは、ルングーザ公国軍の塊から大きく外れなければ自由にしておいて良い。現地に着けば、その地点での寝起き場所を確保してから、3人のリーダーのレオが1人で本陣に到着した旨と今後の連絡先である寝起き場所の報告に来るように」

と指示される。

レオにしてみると気を使う同行者が居ないのはありがたいが、いくら内実ではわかっている者と言っても臨時雇用者相手にずいぶんと、と思ってしまう。


公都から戦場である国境まで、大量の人員の移動で徒歩もいるため3日。戦馬で頑張れば1日かからず到着する距離である。今までも、互いに殲滅し合うことが目的の戦ではなく、それぞれの軍の陣営がいかに多いかを見せつけ合う戦であったので、そういうものなのであろう。実際に経験者でそれほど緊張感を持ったものは少ない。

先輩冒険者も良い稼ぎ時がやって来て幸運だという言い方であった。


レオたちは3人だけで自由に移動ができ、しかも徒歩が居る行軍に対して馬に乗っているため、野営地に早くに到着すると、その日の残りは街道近くで狩りもすることにした。ベラとフィロが形ばかりに覚えた短剣の初級武技≪刺突≫を練習しつつ、中級≪連突≫も理解させるためである。草原の街道近くであるので、角兎ホーンラビット程度しか居なく、しかもレオが近くで見守っているので危険はない。少々怪我をしてもそれぞれ回復魔法の使い手である。

「干し肉以外の物が食べたくないか?」

「やる!」

簡単な誘導であった。呆れながら付き合うベラも合わせて魔力操作を覚えた2人は、それほど苦労することなく武技自体は習得できているのだが、やはり魔物相手の戦闘は腰が引けていた。しかし、怪我しても治して貰えるという気持ちがあると、いろいろと挑戦もでき、結果として早い習得が可能となった。

ついでに盾の≪挑発≫と≪受流≫も教えておく。細かいことが苦手なフィロは≪受流≫が難しそうであったが、最低限は理解できたようである。

Eランクのホーンラビット程度では1対1でも問題なく戦えるようになっていた。


狩りから野営地に戻ると、レオたちがテントで確保していた周りにも多くのテントが立ち並んでいた。

「おうおう、黒ローブと黒仮面で格好をつけているようだが、所詮チビだよな。その姉と妹、仮面を外して俺たちの酒に付き合うように言え」

後ろから声をかけられたレオがため息をついて黙っていると、ベラが気を使って話しかけてくる。

「お酒に付き合うぐらいならば私がしますが」

首を振って答えるレオに対して、ベラが不安になってくる。

「おい、せめて振り返りぐらいしたらどうだ?」

「振り向かなくても声でわかるよ、カントリオ」

「えー!?声色を使ったのに?」

「だからやめておけと言ったのに」

「で、誰がチビだって?」

「あ、うそ、冗談。助けて」

訳が分かっていないベラとフィロに説明をして、紹介するレオ。先日のダンジョンでも同行した3人組である。


「本当に狙っている奴が居るみたいなんだよ。真っ黒で目立つ3人が馬に乗って。しかも女が2人」

「そうか、教えてくれてありがとう。これ食べるか?」

「お、ホーンラビット?干し肉ばかりは嫌だったから助かる」

「では、料理しますのでご一緒に召しあがりますか?」

「レオ、この女性は何なんだよ。羨ましい!」

「余計なことは言わなくていい」

レオたち3人とエルベルト、カントリオ、メルキーノの3人が1つの焚火を囲んで一緒に食事をしていると、絡んでくる者たちも居ない。


「俺たちは助かったけど、お前たちは雇い主のところに居なくていいのか?」

「食事や寝床を自前用意しているほとんどの冒険者は、好きなところに展開して良いってよ。と言うより、つられて正規兵の規律が乱れるから、冒険者たちは離れておいて貰った方が良いらしい。大酒のみとか騒ぐのとか居るからな」

「なるほどな」


念のため、少なくとも男4人の誰かが起きているように火の番をして居ると、ベラたちに面倒なちょっかいをかけてくる者も居なく夜を過ごすことができた。

朝御飯も食べるとエルベルトたちは元の部隊に戻って行き、レオたちは馬に乗ってののんびりとした移動を再開する。そして夕方になると早めに場所を構えて狩りに行き、ベラとフィロの訓練をしてから、またエルベルトたちと合流するということを翌日も行った。

狩りでは魔猪も1頭混ざっていたので、ますますカントリオが喜び、レオたちは夜番をしなくていいとまで言い出す次第であった。


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