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超記憶レオの魔導書蒐(あつ)め  作者: かず@神戸トア
レオは公女の私設使用人

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コリピサ王国の侵略

やはり城から魔術語の字典や辞書の借用は簡単にできないようであった。

仕方ないので従来通りオーク狩りをしながら魔法訓練を続けて1ヶ月ほど。レオは≪解毒≫≪軽病治癒≫を習得したので、指欠損ぐらいなら回復できる上級魔法≪上回復≫の魔導書を天使グエンに出して貰い練習を開始している。ベラとフィロも初級≪治癒≫は他人に対してもある程度できるようになり、中級の≪回復≫を練習開始している。フィロは、ベラに遅れてはいるものの≪水生成≫もようやく覚えて練習を開始している。


改めて魔術語の字典か辞書の借用を相談に登城する公女に護衛としての付き人の本務を行うレオ。

応接でしばらく待っていると、宰相が官僚を伴ってやってくる。

「ちょうど良いところに。マルテッラ様。お呼びに使いをやるところでした。急ぎこちらへ」

重要打合せと言うことでレオを含めた付き人はそのまま待機になり、公女だけ連れて行かれる。


かなり長時間待たされていたが、レオは武具や魔法についての脳内トレーニングをすることで暇をつぶしていた。他の付き人の先輩たちも何らかの時間つぶしの術を持っているのか、いつまでかかるか分からない精神的につらいはずの待ち時間をすました顔で過ごしている。

途中で昼食代わりに軽くつまめるものを出されたときには、屋敷への連絡を取るために、と1人だけ屋敷に帰って行った。


夕方になった頃に、公女は疲れた顔をして帰って来て、あまり喋らずに屋敷へ戻るのに付き添うことになった。

屋敷で落ち着いてからようやく発言を開始する。もちろん執事を含めて主要メンバを集めてある。

「要点から言うわね。コリピサ王国が侵略して来たらしいわ。まぁそれだけなら今までもたまにあったことだけど、今回は私も後方支援に出陣することになったの。公爵家の人間が治癒魔法で将兵を癒すことによるアピールに、という名目らしいわ」

「マルテッラ公女様という諸侯軍による参戦、ではなく公爵家の一員として、でしょうか」

「それが微妙で、現地に行くまでは本陣で公爵家の一員の扱いだけれども、現地では他の治癒魔法が使える神官たちと一緒に衛生部隊として働く可能性もありそうだったわ」

「それは……」

「そう、諸侯軍でもなく公爵家の一員でもない衛生部隊の一員に、近衛騎士などの護衛なんてつけられないから、また危険な目に合うかもね」

「……治癒のできる冒険者を同行できますか?」

「なるほど。レオ殿はいきなり神官にはなれなくても、既に冒険者なので。戦争では冒険者を臨時雇用することも普通ですから」

「公女の名前で回復魔法の使い手を募集した治癒団を連れて行くことの方がアピールになると、公城向かいにも言えますね」


執事たちがさっそくに、と冒険者ギルドに従軍する回復魔法の使い手の募集依頼をかけに行く。

レオは公女に、レオ・ダンとして募集参加することを再確認し、複数参加も良いことを確認すると、何となく嫌な顔をされた気がしたが了承はされた。


レオは冒険者ギルドに依頼が張り出されたのを確認してから、ベラとフィロのところに行き、戦争の後方部隊に行くのでしばらく留守にすることになることを伝える。

「危険は無いのですか?」

「まぁ、戦争に行ったことは無いから分からないけど、後方で怪我人を治癒しているところにまで敵が来ることはまず無いんじゃないかな?」

「それってお金を貰えるだけでなく御飯も付いてくる?」

「まぁ従軍だからそうなるみたいだけど」

「じゃあ私も行きたい!」

「フィロ!そんな危ないところに」

「だって食費も要らなくて、お金も貰えて、レオが近くに居るなら安全じゃない?」

「まぁ可能な限り守りはするが」

「それならば私も一緒に行きます!」


まぁ公女も良いと言っていたし、と思いながら、黒ローブと黒仮面を着けた3人が冒険者ギルドで、回復魔法が使えることを確認された上で、受付を受理される。

公女が募集した回復要員以外にも、戦闘要員の募集もあるようである。他の貴族たちが自軍の戦力増強として臨時雇用し、その成果をその貴族の物にするという契約のようである。公女の募集も基本的には他の貴族たちの募集に準じたようであり、食事が支給されることや、宿泊所も提供されるがもし自前で用意すればその分は追加手当を支給する等の臨時雇用の条件を聞く。冒険者たちは野営をすることにも慣れているであろうから、できれば自前用意して欲しいようである。

行軍中に魔物の襲撃があると思えないので、野営の良い練習になると考えたレオは、同じく経験が無いベラ、フィロと一緒にギルドで野営講習を受ける。小さく折りたためるテントや鍋などの炊飯道具など、購入するときの注意点なども教わる。そして推奨された店舗で必要物品を購入する。また、移動手段が自前で無い冒険者は馬車ではなく徒歩になると言われたので、慌てて馬も借用することにした。金銭的には購入する額もたまっては居るが、公女の屋敷に連れて帰るわけにもいかないレオと、スラム街の住居に馬を飼う場所がないベラたちは、貸し馬しか選択肢が無い。

携帯調理道具や調味料、簡単な着替えなども準備することになった。


行軍中は公女も公爵家の一員として本陣の中に居て安全であることと、現地に行ってからも寝泊りは本陣であることを確認できたので、現地の治療所でのみ公女と合流する前提で、レオは基本的にレオ・ダンとして過ごすことになった。先日のダンジョン探索のときのように、寝るときも仮面をしたままであるのは憂鬱になる。


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