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超記憶レオの魔導書蒐(あつ)め  作者: かず@神戸トア
レオは公女の私設使用人

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魔法指導

空の魔石を預けた後、レオは魔導書の執筆にとりかかった。これから2人に魔法の指導をする中で、属性の種類など基本的なことから教える必要があるからである。シラクイラの冒険者ギルドで、写本の納品と交換条件で見せて貰った魔導書群のうち、魔術語と魔法陣の記載のなかった入門書と呼べば良いような物を参考に、自身が師匠ロドに教えて貰ったことも含めて、1冊にまとめることにしたのである。そして、その基礎の続きに、師匠ロドが所有していた一番解説が丁寧であった≪水生成≫の魔導書のように、1つ1つの魔法の解説、魔術語と魔法陣の解説などを追加して綴じて行くように考えたのである。魔法については、≪水生成≫≪種火≫≪そよ風≫≪砂生成≫≪灯り≫≪夜目≫≪治癒≫という基本6属性魔術の取っ掛かりと、無属性でもある回復魔術の取っ掛かりから始めることにした。

出来上がったところから順次ベラたちに渡しておく。


そして半月ほどオーク狩りや魔法訓練などを続けて行くなかで、ベラとフィロの魔石への魔力注入は日に日に上達し、特にフィロには毎日新しい空魔石を渡す必要があるぐらいになった。

魔力操作もかなり覚えたようなので、いよいよ魔法の発動訓練を開始することにする。


まずレオが水魔術の≪水生成≫を見本として実演する。魔力を魔石に注入するときのように体から外に出した上で、水属性に変換し、水を生成する流れを言葉で説明しながらである。2人とも言葉では理解したとのことで、渡していた魔導書で≪水生成≫の魔術語と魔法陣の説明をする。魔導書を渡した最初は、まともに魔術語をみるのは初めてであった2人には何を書いているのか分からなかったが、その魔導書での解説で、レオが先ほど説明した工程が書いていることは認識していた。それを実演と合わせて再度確認することで理解は進んだようである。

もし魔法を効率的に習得・習熟していくならばこの魔術語と魔法陣の理解が必要と言うと、2人とも再度熱心に魔導書を読む。


まず読み終わったベラに、レオの魔法発動体である指輪を貸す。

ベラは何度も練習していると、だんだん手の先に薄い霧のような物を作ることができるようになり、10回ほどで小指の指先程度の水の塊を生成することができた。

「お母さん、すごい!」

「あぁ、やったな。後は繰り返し練習して習熟できると、発動までの時間も短縮され、生成する水の量も増えてくるから」

「次はフィロね。はい、指輪」

ところがフィロは何度試してみても薄い霧のような物すらできない。

「水属性は向いていないのかな。じゃあ、次は≪治癒≫も試してみよう」

≪治癒≫は彼女たちにも既に体感させているが、小さな傷をつけてレオが治すことを再度行うことでイメージを再認識させる。

「前より自分の体内の魔力の動きが分かりやすくなりました」

「うん、分かるね」

指輪をフィロが持っているので、そのままフィロに小さな傷を再度つけて、≪治癒≫を自分に発動する練習をさせる。

「あれ?できた?もう一回。やっぱり出来ている!」

フィロは≪治癒≫に関しては直ぐに習得できた。

「これで私も魔法使い?」

「そうだな。もっと練習して、他の魔法も覚えて行こうな」

その後、ベラも何度かの練習の後に≪治癒≫を発動はできたが、フィロよりも治る量が少ない感じであった。

今度は互いに小さな傷を治させるように練習させると、そのうちベラはフィロを≪治癒≫できるようになったが、フィロはいつまでもベラを≪治癒≫できなかった。


細かいことはベラの方が得意で、量はフィロの方が得意なのであろうか。だから、属性変換も不要で自分の回復力を向上させるだけの自分に対する≪治癒≫だけはフィロがベラよりも効果が高いのかと思われる。

「フィロは、他人の魔力も上手くコントロールして他人も≪治癒≫できるようになることと、属性変換して≪水生成≫ができるようになること。そしてベラは、練習して習熟度合いを上げつつ、魔力量を増やすこと。それと自分の理解をフィロに教えてあげること」

「「はい」」


次に2人ともダガーを取り出させて、魔石に魔力注入していたようにダガーに魔力注入して、練習用の肉に突き刺させてみる。

「え!?すごく刺さります」

「台にまで刺さるよ!」

それが武技アーツの基本であり、いま行ったのが短剣の≪刺突≫であることを教える。

「何かのときには、自己防衛で使えるように、こちらも練習しておくようにね」


繰り返しの練習の指示をして2人とは別れる。魔導書も渡したままである。今後も気づいたことがあれば内容の追加や修正をしていくつもりであるが、内容は当然覚えているので差し替え、差し込みをする場所の羊皮紙だけ作ればいつでも綴じ直せるからである。

魔石での魔力操作の訓練をしていたからか、魔法発動体として一般的で使いやすいはずの杖でなく指輪でも2人は魔法を発動可能なことが確認できた。そのため、帰りに公都で見つけていた魔道具屋により、魔法発動体の指輪を2つ購入し、翌日それぞれにプレゼントする。



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