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超記憶レオの魔導書蒐(あつ)め  作者: かず@神戸トア
レオは公女の私設使用人

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新年

すぐに新年が明け、城にて新年イベントが催される。公国内の貴族が集まり公爵家に新年の挨拶をするのである。もちろん第3公女であるマルテッラも列席する。

全ての場に同席はできないが、パーティーなどではレオもいつものように公女の側に居るように指示される。誕生日パーティーのときのように、もうマルテッラはある意味なめられているので、いつどのような危険があるか分からないから、あからさまな護衛騎士のような体格でもない公女と同世代のレオが適任なのである。


公爵にマルテッラが挨拶したときには、その軽んじられていることへのけん制も含めてか、

「マルテッラよ、最近は魔法の習得が進んでいるらしいな。≪治癒≫ぐらいならば他家に嫁に出すときの付加価値程度であったが、もう中級まで習得となると上級への期待もするぞ。公女として国力増強に貢献、頑張るのだぞ」

と公爵が周りに聞こえるような声で発言する。まるで娘を道具のようにも聞こえるが、もっと人数が限られたときには父親としての発言も聞いていたレオとしては、これも父としての愛情なのかと理解する。


その後には第1公子フルジエロと挨拶した折にも、公爵と同様の愛情であろう発言がある。

「知っているか、こちらが公国の魔術師団長エルコンド・マストリノである。そのうち彼にもマルテッラの指導をお願いすることになるかもな。ははは」

その公国魔術師団長も公女には

「公国に上級魔法使いが増えること、喜ばしい限りです」

と卒なく対応していたのに、隙を見てレオにこっそりと

「第1公子に聞いていますよ。公女よりもやるそうですね?成長に期待していますよ」

と自分にしか聞こえないような小声で声をかけてくる。背筋が震えながら、深く頭を下げるだけの対応は何とか行えた。第1公子は敵にまわせないだけでなく、この魔術師団長も恐ろしく思うのであった。


公爵、第1公子と比べると頭の中身が貧相そうだと思われる2人が来て発言をする。

「あらマルテッラ、魔法に励むようになったのね。破談になったから暇になったのかしら?」

「お姉さま、もしかして自活に向けてですか?嫁に行く途中で誘拐なんてされて、もう貰い手が無くなったのですか?」

第2側室イルヴィアとその娘の第4公女タージニアである。

後宮に残っている公爵の子供は末っ子の第4公女のみであり、その子を利用して第2側室が第1側室より優位な地位の確保に励み、第4公女は父から可愛がって貰うためには、他に公国に残っている娘の第3公女を邪魔に思っている。公爵がいまだに亡くなった正室を思っており、正室が生んだ第1公女は幼く死亡したので、正室の面影が強くなってきた第3公女を気にかけていることを2人とも認識しているので、なおさら第3公女のことが気に入らない。

「少しでも公国に貢献したいと思いまして」

マルテッラが公爵の言葉を引用して答えるも、

「他国から連れてきたその平民の子供と一緒に練習しているとか?はしたない……」

と言い捨てて行く。



誕生日パーティーのときとはまた違った気疲れでぐったりして屋敷に帰って来たレオであった。よく頑張ったと自分へのご褒美も兼ねて、翌日は冒険者ギルド魔術師委員会に行き新たな魔導書の閲覧を申し込む。

攻撃魔法はいったん≪火槍≫の訓練もあるため、冒険に役立つ便利そうな魔法であるが攻撃魔法より優先を下げていた物を選ぶ。初級風魔法の≪集音≫、遠くの人の話声など聞く、周囲の広範囲の音を拾うことで周囲警戒などに使える魔法、中級風魔法の≪消音≫、逆にある範囲の音を消せるので、森で自分たちの音を消して獲物に近づける魔法の2つである。

ともに音を扱う魔法であり似た魔術語であった。今までより繊細な空気操縦が必要ではあったが、魔法の効果のイメージはしやすかったので、短距離範囲については習得することができた。これも習熟を深めることで対象範囲を広げたり遠くにしたりできるようになるのであろう。楽しみである。

狩りの際の獲物を探すこと、気づかれずに近づくことが容易になり、狩りの効率がますます向上することになった。



ベラとフィロの母娘2人は、レオの狩りの荷運びの日だけでなく、レオが一緒に行けない日は薬草採取に2人で行って冒険者ギルドに納品できるようになったのもあり、スラム街の住民としてはそれなりの収入が確保できるようになったようである。

「ベラも夜の商売をやめられないの?」

「いつまでもはレオ様にお世話になれないので……」

「え?」

「というのもありますが、ああいう仕事は簡単にはやめられないので、今は量を減らすようにしているのです」

「俺は当分この公都に居るつもりだから、心配しないでも」

「ただ、仮面をするぐらい訳ありではあるのですよね?」

「それは……」

「またお話し頂けるときが来ればお話しくださいませ」


「そんなことより、魔石を見てよ。ほら、フィロも色が付いたんだよ。お母さんよりも濃く!」

昨年末に預けていた空魔石は、2人とも無色透明のままではなくなり、ベラよりフィロの方が濃い色になっていた。

まだ2人の前で天使グエンに魔力を奉納するのを見せるのは避けたかったので、まだ空の魔石を渡して交換するだけにして、奉納は屋敷の自室に戻ってからにした。


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