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超記憶レオの魔導書蒐(あつ)め  作者: かず@神戸トア
レオは公女の私設使用人

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天使グエン

天使グエンは流石に知識・魔法の女神ミネルバ様の眷属なだけあり、レオの魔法訓練の非効率なところや不足しているところも指摘してくれるため、レオの魔法習得は加速度的に向上する。

例えば、魔力をグエンに納めて無色透明になった元魔石は、再度魔力を注入することができることも教わる。これによりその日の魔法訓練で使い切らずに残った魔力を空魔石に注入する訓練をしてから就寝することで、睡眠中に特に回復する魔力を無駄にすることなく、グエンにも奉納することができる上に、魔力操作の訓練にもなる。

公女の屋敷は、灯り等の魔石を使用する魔道具がたくさんあり、空魔石はそれなりに手に入る。しかしレオが補充してしまうと、今まで魔石を納品していた、もしくは魔力を補充に来ていた者に怪しまれてしまうので、あくまでもレオが狩りで得た魔石を奉納し、魔力注入するようにしている。冒険者ギルドでは、今まで魔石も全て含めて納品していたのに、一部の魔石を引き取るようになったのは、どこかにある程度のみだけ高値で買い取る個別ルートを見つけたのだろう、程度にしか思われずに済んでいる。良くあることらしい。


レオは天使グエンのことを誰にも言えていない。神殿に幽閉されることを恐れているためである。

ただ、空魔石を用いた魔力操作訓練については公女マルテッラにも伝えて、特に狩りに行くわけでもない公女には良い訓練になる。レオと違い、公女が魔法を使えることはある程度知られている公知のことであるため、屋敷の魔道具の魔石への補充にあてている。公女の魔力はレオの魔力に比べてかなり少ないので、影響も少なく問題にならないと思われたのもある。この魔力の差は使用する頻度に起因するかもしれないため、公女には余らすぐらいならば魔石に注入、ということを徹底させてみている。



また、グエンが同時に魔法を発動するのに他から姿が見えないので、レオが多重発動しているように見えることについてグエンに相談すると、実際に多重発動できるようになれば良い、と言われて練習をすることになった。まずはどこででも練習できる≪灯り≫から開始する。同じ魔法を複数というのはまだマシであったが、次のグエンの指導は異なる魔法の同時発動であった。なかなか上手く行かないので、右腕と左腕それぞれで三角と四角を描かせてみるということから始まり、左右の手で異なる文字を書く等は少しずつできるようになったが、まだ異なる魔法の同時発動には至っていない。まだまだ訓練の余地があるようである。


他にグエンから宿題であった、神霊魔法の回復魔法の習得についてである。魔術の≪治癒≫は自身の魔力を用いるが、神霊魔法の≪治癒≫は天使グエンに魔力を捧げることでグエンの力を借りて魔法を発動する。今までが魔術ばかりであったので、なかなか慣れなかったが、一度コツをつかんでしまえば、魔術としては習得済みの≪回復≫も直ぐに神霊魔法としての≪回復≫も発動できるようになった。

約束通り魔導書に追加してくれたのは中級回復魔法の≪解毒≫と≪軽病治癒≫であり、ある意味≪治癒≫の延長であった≪回復≫とはまた少し系統が違う物であった。魔術語や魔法陣の学習として興味はあるものの、まずはオークなどの狩りにすぐに使える同時発動に注力することにして、これらの習得は優先順位を下げている。




マルテッラの魔法習得の方も少しずつ成果は出ている。≪回復≫はまだ≪治癒≫レベルであるが発動でき、≪火炎≫は≪火球≫の延長なのか向いていたのか習得。≪氷刃≫もまず氷を生成するところはできていて、≪土壁≫も土を生成するところまで来ている。それぞれ家庭教師が居ないときでも、レオが実演することで魔法のイメージを具体化した見本をみせることが上達の一端となっているのであろう。

家庭教師も、なかなか覚えの良い生徒であると褒めてくれるが、マルテッラはレオの習得スピードに追い付けないため、おべっかにしか受け取っていない。

しかし公女が≪火炎≫を習得したことで、待望の上級≪火槍≫の指導が始まる。まだそれだけの魔力を集めて発動することをマルテッラはできないのは分かっていて、魔導書による指導を始めたようである。この家庭教師も実はまともに発動することができないのだが、可能な範囲で指導するつもりのようである。公女への指導という名目で、城の貴重な魔導書を借りてくることができるため、家庭教師も一緒に読みたいのであろう。


レオも早速その魔導書を読み写本を作成する。解説のところにある槍の形状について、ルネが短槍ショートスピアを使っていたのを思い出しながらイメージする。≪火球≫のように投げつけるものではあるものの、火力は≪火炎≫より強いのである。冒険譚などにも登場する有名な魔法でもあり、自身の嫌な悪夢でも使用していたので、何となくイメージはできる。後は新しい魔術語や魔法陣の解説も熟読する。

次の狩りのときに、いきなり森で使用するのは危険なので草原で練習すると、それっぽい物を発動することができた。後は練習あるのみであるが、オーク狩りでは森の中のため類焼が気になり、使いどころに悩ましい。


その魔法練習を見ていたフィロが、素朴に聞いてくる。

「ねぇ、魔法ってどうやって覚えるの?私にも使えないかな?」

「え?魔力操作が出来るようになれば、後は色々と覚えたり練習したりかな?」

寺小屋の教科書の写本でフィロが文字や計算を短期間で人並に少し劣るぐらいに急成長したこと、それを教えていたベラが人並には足りていなかったのがもう普通になったことを踏まえて、この親子も物覚えは悪くないかもと思う。

「じゃあ、ベラもフィロも試してみようか?ちょっと手をだして。チクっとするけど我慢してね」

短剣で小さな傷を作ったところを≪治癒≫することを2人に実施する。

「どう?体の中で何かが動いたのが分かる?」

「はい、分かりました!」

「うーん、何となくしか……」

ベラの方が感じたようであるが、フィロも認識はしたようである。「もっと勢いよくやってよ」というので、今度は大きめの傷にして≪回復≫で治療するとしっかり認識できたらしい。空魔石に魔力を込めるのを実演した上で、それぞれにCランク魔物のオークの空魔石を預けて、魔力操作の訓練をさせる。もちろん直ぐにはできるようにはならないが、いつでも暇なときに簡単にできる練習なので「これができたら武技も使えるようになるよ」と意欲を高めさせておく。


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