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超記憶レオの魔導書蒐(あつ)め  作者: かず@神戸トア
レオは公女の私設使用人

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スラム街のお礼

「そう、コリピサ王国の……。まぁそれ以上は公城の方で対処するでしょう」

公女と執事たちにハイオーク騒動の報告をしたことへの返事である。

「被害を抑えたことも、良くやりました。訓練の成果が着実に身についているのかしらね」

と、引き続きの冒険者活動による戦闘力向上は認められるようである。


昼からは余裕が出た手持ちのお金を使って、冒険者ギルドの魔術師委員会に魔導書の閲覧に行く。

前とは違った先輩会員が居たので挨拶をした上で、書棚の簡単な説明書きを元に、矢などの軽い物体から身を守る盾を作り出すという中級の風魔法≪風盾≫、目くらましになる中級の光魔法≪光爆≫、1パーティーほどを暗い霧で隠す中級の闇魔法≪夜霧≫の3冊を選び、15銀貨を支払う。丁寧に読んだ後に返却をしながら先輩に尋ねる。

「上級魔法の魔導書は無いのでしょうか?」

「ここには無いね。ダンジョンなどで見つかったとしても、その魔法使いの切り札になるし、かなり高額だから。公城の奴らや豪商の商品になっているのかもな。ちなみに俺も中級までしか習得していないから教えてあげられないぞ」

「そうですか」

冒険譚などにあるようなダンジョンの宝箱や古代遺跡からの発掘は、本業が公女の使用人で、ソロ冒険者の自分にはありえないとガッカリする。


続いて武具屋に装備の更新の相談に行く。

「これはなかなか良い物だから、まだ使えば良いんじゃないか」

と言われたのは、ガスの親方が自ら鍛えた片手剣ショートソード。良い物を格安で譲ってくれたんだと改めて感謝する。

「革鎧もあまり傷んでいないしそのままで良いかな。上手く逃げているようだな。もし攻撃をもっと受けるようになったらその部分を金属補強とかすれば良いだろう。こっちの盾は傷みもあるし、ほら腕を貸して見な。ふむ。これだけ筋力があるなら鉄で補強したこっちはどうだ?」

今までの木のみで軽かった盾に比べて重量は増すが、頑丈さが違う真っ黒な盾、スモールシールドを見せられる。腕を通して振り回してみるが、確かにある程度扱える気がする。それに今までは木の茶色が強く、通常時は背中にかける盾が、黒ローブと黒仮面に対して目立っていたので、同じく真っ黒になるのはありがたい。言われただけの銀貨を支払い新しい盾を背中にかけるが、古い盾も思い入れがあるのでいったん持ち帰ることにする。


装備を置いた後は、早速写本づくりに取り掛かかる。屋敷の中で新しい魔法を試すと問題になるので、今夜は魔導書に記載の魔法の発動イメージを脳内トレーニングするだけに我慢して、翌日の実戦に備えるのであった。

その翌朝からの草原での魔法練習。≪風盾≫は発動した気配を感じるが、角兎ホーンラビット相手では実感が湧かない。≪光爆≫は魔物にも目くらましとして効果があること、≪夜霧≫も魔物がいる範囲を真っ暗にすることが可能であることを確認する。後者の場合、自身が≪夜目≫をしていないとこちらも攻撃できないことも経験する。

ある程度ホーンラビットで効果が確認できた後には、森の中に入りゴブリンでも試す。兎でも同じであったが、複数相手の際には≪光爆≫で相手の隙を作ることの有効性が増すことも分かったし、敵わないと思うほどの敵の数のときには≪夜霧≫が使えそうである。

ゴブリンを狙っていたはずであるが、魔猪ワイルドボアとも遭遇したので、≪光爆≫で目くらましを活用しつつ、更新したスモールシールドの使い勝手も試す。

充分な量の獲物になったのと、新しい魔法の確認も済んだことから、かなり早めに切り上げて街に戻る。冒険者ギルドに納品、馬を返却した後は、取り分けておいた角兎の肉を持って昨日のスラム街に向かう。


昨日、母子が逃げ遅れて倒れていた辺りに居た老婆にイザベッラとフィローラの親子の居場所を聞くと怪訝な顔をされるが、レオ・ダンの名前を告げると

「昨日はあの子たちを助けてやってくれたって?ありがとうね。こっちだよ」

と、築年数を聞いてみたくなるような集合住宅のとある部屋に案内される。

「イザベッラ!昨日のレオ・ダンさんだよ」

「え?あら本当に。昨日はありがとうございました。こんなところまで良くお越しくださいました」

「じゃあよろしくやりなよ」

と老婆は去って行くので、案内のお礼で頭を下げる。

部屋に入れて貰うと、まず手土産の兎肉を差し出す。

「角兎の肉、少しだけど」

「あら、ありがとうございます。母子家庭には十分すぎですわ」

「余るなら先ほどの方にも分けてあげて」

「きっと喜びますわ。それで、フィロはもうすぐ戻ると思いますが、先に?」

と寝室へ案内されるが、訳が分からず戸惑っているとふと気づき、リビングに飛び戻る。

「違います!」

「あら、このスラムにおいて女手一つで子供を育てるには夜の商売しかありませんよ。そのために来たのでは?」

あまりに拒絶するレオの態度に、

「本当に違うんですね。大変失礼を申し上げました。ただ、その気になったのならいつでもどうぞ」

と妖しい笑顔を向けられる。


ではお茶を、とテーブルに座らされてホッとするレオ。その後すぐにフィロも帰って来て話を始める。


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