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超記憶レオの魔導書蒐(あつ)め  作者: かず@神戸トア
レオは公女の私設使用人

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ハイオーク退治

翌朝も早くから冒険者ギルドに寄って貸し馬を借りてゴブリン狩りに行こうと、貴族街から一般街に向かうレオ。

街も何かと騒々しい感じもあったが、ギルド内も騒然としている。何かあったのかを受付に聞きに行く。

「レオ・ダン様、ご無事でしたか?」

「?」

「明け方から、一般街や貧民街、スラム街のあちこちにハイオークの出現情報が。気づかれませんでしたか?」

貴族街だからとは言えず、また昨夜のパーティーでのハイオークとの関連も気になりながら先を促す。

「緊急依頼を出しています。ハイオークはCランクですから、木級・鉄級の方たちには住民の避難誘導中心で、とにかく総出で対応中です。レオ・ダン様もお願いします」

今更ながらに貧民街やスラム街を含めた地図を見せて貰い、街中の構造を記憶した上で出現情報と当てはめていく。


避難民も居る中に馬は邪魔になると、貸し馬の手続きは諦めて走って、衛兵の配備も少ないであろうスラム街に向かう。叫び声をあげて逃げる人々を見かけると、逃げてきた方向に向かう。所々で煙も上がっているのは、この騒ぎで火事になっているのであろうか。

道の奥に、倒れて逃げ遅れた母子と思われる2人に襲い掛かろうとしているハイオークを発見する。

いそぎ盾の武技≪挑発≫を試すと、人型でも効果があったのか単に邪魔をしたことへの怒りか、とにかく理解できない叫び声と共に剣を振り上げてこちらに走ってくる。昨夜のハイオークとは異なり首に従魔の証は無いが、それでどうやって街に入ったのかと一瞬疑問に思うが、その余裕は無い。


家屋への類焼の懸念よりも、腰布への着火も期待して近づく前に≪火炎≫を2回発動する。ふと、勢いで攻撃も始めてしまったが、よく考えたらCランク魔物との1対1は初めてであり、避難誘導のために駆け付けただけなのに、と思いながら、左手で盾を構える。≪火炎≫で着火した腰布についてもあまり気にせずに突進してきて片手剣を振りかぶったハイオークに対し、盾武技≪受流≫を準備しつつ、続けて片手剣武技≪剛撃≫を放つ心づもりをする。だが、さすがにCランクのハイオーク、Eランクのゴブリンのように単純ではなく、盾のないレオの右側に回り込んで攻撃しようとしてくる。レオは体術≪回避≫で後ろに飛び、間合いを再度確保する。近くに見るとますますハイオークの体格が自分とは全く違い、大人と子供以上の差があることを実感する。間合いのある隙に体術≪肉体強化≫を行い、彼我の筋力差を少しでも減らす。

再度、片手剣を振りかぶり接近してくるハイオークに対し、盾を突き出して≪盾叩≫で意表をついた上で、≪剛撃≫をたたき込む。≪盾叩≫でバランスを崩したことで≪剛撃≫はまともに当たるが、まだまだハイオークには余裕があるように思えてしまう。再度間合いを取ったところで、先ほどの母子に

「今のうちに逃げろ」

と声をかけるが、怪我をしているのかその場を動かない。母子が上手く逃げた後には自分も逃げてしまうという案は無くなる。全力で倒しに行く必要がある。

そうなると、今の筋力差では≪剛撃≫でのダメージ感を踏まえると、≪斬撃≫と≪連撃≫では効率が悪そうであり、≪剛撃≫もしくは≪火炎≫などの魔法攻撃が良いと割り切る。さらにはつかまらないように≪回避≫を使いながら距離を取り、遠隔攻撃が可能な≪火炎≫を追加で3発当てたときには、ハイオークも膝をつく。後は様子を見ながら盾で身を守りつつ片手剣で止めを刺す。


このハイオークをモノともしなかった第1公子の強さを思い出しながら大きく息を吐くと、すぐに母子の下に駆けよる。母親が足にけがをして動けなかったようで≪回復≫で治癒して、先ほどすれ違った他の避難民に合流するよう一緒に連れて行く。大通りにまで戻ると武装した複数の冒険者や衛兵など戦闘力がある者が避難民を保護しているのが分かり、母子を預ける。お礼を言われるのと合わせて、まだ先ほどの奥の方に逃げ遅れが居るかもと言う母子の話を聞き、先ほどの道に戻る。先ほど倒したハイオークの死体のさらにその奥、剣戟がする方へ向かっていく。

角を曲がると冒険者らしく服装の統一感のない3人がハイオーク1体を相手に戦っていた。

「助けは必要か?」

「いや大丈夫。何とかする。それよりもこの先に動きが怪しい奴が居たから、そちらを頼む」

と言われ、さらに先に進む。


昨夜のパーティーで見たのと同じに見える檻が道路に複数転がっている。既に中は空であり、すぐ近くには誰も居ないと見渡していると、レオを目掛けて矢が飛んでくる。気がついたときには遅く左足をかする。

「おやおや来たのはただのチビの冒険者風情か。この国の騎士団や衛兵は情けないねぇ」

近くの家屋の屋根にいる、そちらも冒険者の風体の男が言う。その横には大人しくしたハイオークが1体。

『明らかに今回の騒動のことを知っていそうだが、頭が弱くペラペラしゃべる口も軽そうだな』

「単なる冒険者かはどうかな?お前こそ底辺の冒険者に見えるがな」

挑発しながら、こっそり≪回復≫を左足にかけておく。

「なに!?俺のこの格好は潜入のためだけだ。バカにするな!」

「では冒険者風情ではないお前自身の力を、ハイオークなんて借り物ではなく見せてみろよ」

「ほざけ!見せてやる!」

何度も矢を放ってくるが、既に来ることや方向が分かっているので盾も使いながら回避し続ける。

「そんなものか?」

と挑発し続けると矢も底をつき、けしかけられたハイオークが地上に降りてくるが、時間稼ぎの効果で、先ほどの3人の冒険者が見えてくる。

「こいつは俺たちに任せろ」

その言葉に従い、適当な足場を駆け上がり屋根でおしゃべりそうな男に向き合う。


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