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超記憶レオの魔導書蒐(あつ)め  作者: かず@神戸トア
レオは故郷に錦を飾る

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フィウーノ撃退戦2

 一晩中仕事をして朝にフルジエロ公子のテントに書状を届けた後は、悪魔達に魔法攻撃をさせておきながらうつらうつら寝ているレオ。


 一方、代官館の庭で溢れている兵糧を見て驚くバルバリス侯爵。

「何だ、これは?昨日は無かったはずだが」

「はい、昨夜、コグリモ準男爵が敵陣から奪って来られたものになります」

 近くにいた代官館の職員が答える。


「何だと!そんな器用な魔法使いなど我が国に居たのか」

「まったく。そんなことをしなくても我々騎士団の力でフィウーノ軍など蹴散らせますのに」

「ベルガミ、それは違うぞ。これだけの兵糧があれば、住民に配って気分を回復させることができる。また、これだけの量を失ったフィウーノ軍は戦闘継続が不安になるはずだ。戦わずして勝つことが一番である」

「は!」

 魔法使いも少しは、と微妙に見直しているバルバリスのことを、西門で寝ているレオが知る術は無い。



「我々も負けておられないぞ!」

 バルバリスはベルガミも含めて330騎を集合させる。

「行くぞ!」

 今までのベルガミのみの指揮ではなく全体をバルバリスが指示しているので、レオ達がフォローをする必要がないまま、敵陣への突撃を繰り返す。


「ねぇ、レオが助けに行かなくていいの?」

 敵兵の少ない東門、南門の敵陣に突撃しているので、フィロからレオに悪魔経由で確認が入るが、先日にみたバルバリスの指揮ならば大丈夫だろうと返事をする。

 ただ、流石に無傷ということは無いと思われるため、夕方になると代官館に向かう。


「バルバリス侯爵、そして騎士団の皆様は流石ですね。治療を行いますので、遠慮なくこちらへ」

 元々敵を上手く蹴散らして来たところへ、マルテッラがねぎらいの言葉と治療の案内をするので、騎士団達の士気は高い。

「馬達の治療はこちらで」

 そこにレオが馬の治療の旨を申し出るのである。騎士団達は至れり尽くせりの状態となり、さらに夜には宴ではないが、奪った兵糧も使用しての豪勢な食事が振舞われている。

「明日もフィウーノ軍を蹴散らしてやるぞ!」

 ベルガミ子爵の発言に、当然、もちろん、という声も上がり、明日以降の突撃へのやる気で盛り上がっている。


 そこで再び労いの言葉を発言する役目を終えたマルテッラがレオに話しかけてくる。

「今晩も兵糧を取って来てね。そしてそれをお兄様のところへ持っていってくれる?あちらの陣は何もできていないから不満だろうし」

「え?流石に今晩は敵の警戒も厳しいかと」

「でも、何とかできるでしょう?」


 マルテッラの無茶振りにも断る術がないレオ。仕方ないので食べるものだけは食べた後、仲間達にその旨を伝える。

「レオ様だけそのような……」

「角が立たない程度に魔法使いの有用性をアピールしたいのだと思うよ」

「それは理解するのですが」



「うーん、やっぱり篝火も多いなぁ」

 昨夜と同じように西、北、東、南の順に敵陣から兵糧をもらうつもりのレオ。

「ま、仕方ない。アクティムとファリトンもお願いね」

 再び悪魔達には、自分と少し離れたところで火魔法を発動させて混乱させるようにする。


「あ、でも誘導に乗らないのもいるか。流石に昨日で学習したのか」

 仕方ないので、兵糧の近くで警戒している兵士たちにも≪夜霧≫を発動させて混乱している間に、兵糧そのものに≪夜霧≫をかけた上で魔法の収納袋に奪っていく。

「これを何回繰り返さないといけないのかな。今夜で終わってくれるわけもないだろうし」

 ぶつぶつと言いながら、フィウーノの各陣営で焼き討ちをしながら兵糧を奪ってまわるレオ。



「あ、準男爵のレオ・ダン・コグリモです」

 フルジエロ公子の陣営の入口で名乗るレオ。やはり明け方まで待ってみたのだが、それでも早朝過ぎて怪しまれる。

 再び3名の兵士に連れられて本陣近くに来ると、レオの顔を知る近衛が声をかけてくれる。

「その方はコグリモ準男爵であっている。もう戻って良い」


 兵士が戻ったのをみてレオは近衛に相談する。

「あのー。兵糧を置きたいのですが、良い場所はありませんか?」

「は?」

 当然に何を言っているのかわからないという声を出させてしまう。

「あ、言葉足らずで申し訳ありません。この魔法の収納袋に、敵陣から奪ってきた兵糧が入っております。これをこちらの陣営にお持ちするようにマルテッラ公女殿下からの指示をいただいておりまして」

「なるほど」


「おい、その前に中に入ってこい。ここまで来たのだから」

 やはり中に聞こえていたようでフルジエロに声をかけられるレオ。


「兵糧は助かる。騎馬で急いで来たのだから、それほど持参はできていない。敵も同様だろう。その敵もせっかく持ってきた兵糧が減ってしまったら困るだろう」

 フルジエロがありがたいと言いつつ難しい顔をしている。

「で、挟撃と言っているのに、お前達の街の方ばかりが交戦しているではないか。どういうことだ?」

「は、マルテッラ様にお伝えします!」

「どうせバルバリスとベルガミ達の騎士団がやっているのだろう?」


「ははは。お前の顔を見ると答えがわかるな。よし、兵糧を見せてみろ」

 フルジエロがついてくると言って、陣営の中でも兵糧をおいている辺りに連れて行かれる。

 そこでレオが次々とフィウーノ陣営から奪った兵糧を並べていく。

「流石だな。これだけの兵糧を奪ってくるとは」

「はい、昨夜にはこの倍の量を代官館に届けました」

「何!まぁ街の中の住民に配るならば仕方ない。その代わりこれからもこの陣営にも運んでこいよ」

「はい……」


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