表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
超記憶レオの魔導書蒐(あつ)め  作者: かず@神戸トア
レオは故郷に錦を飾る

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

170/176

公子の到着

 何度かベルガミ子爵が突撃を行い、その都度にレオが周りを魔法攻撃して救出して、帰還後にはマルテッラと共に治療することを繰り返す。

 途中からはベルガミも部下に言われたからか、事実を認識したようだが、騎士団の面子のためか出撃を止めることは無かった。


「来られました!フルジエロ公子殿下の到着です!」

 見張りからの吉報に歓声が湧き上がる代官館。

 レオも自身が担当していた西門からその事実を確認できたので、城門を守るムッチーノの兵達と共に喜びを分かち合う。

 見えないはずの北門や東門などの仲間達には悪魔経由で伝言したり、自分が≪飛翔≫で伝えに行ったりする。


「ふぅ、これで俺たちも一息かな」

「カントリオ、気を抜くなよ。まだ敵兵の方が多いからな」

「で、どうやって公子殿下の陣と連携をとるんだ?」


 仲間達の懸念の通り、夜に代官館に戻ったレオに相談が来る。

「レオ、お兄様の陣にこの手紙を届けて欲しいのだけど」

「え。フルジエロ殿下のところに?」

「そうよ。レオがお兄様を怖がっているのは分かっているけれど。それとも、私も一緒に連れて行ってくれる?」

 連れて行く方が自分の会話量が減ってありがたいはずだが、きっと公女を抱き抱えてずっと≪飛翔≫することへの非難などの方が大変なことになるのは理解する。

「行って参ります……」

「ありがとう。これが代官のニーニエロからの手紙。こっちが私からの。ベルガミも何か動こうとしていたけれど、魔法使いに頼むのは、と結局はやめたみたいよ」

「……承知しました」


 翌日の予定に影響するから夜のうちに、というマルテッラの指示に従い、レオは1人で夜の≪飛翔≫を行っている。

 フルジエロの陣はムッチーノの街から南西の方角に構えたようである。フィウーノ王国の軍は、街から西の方に一番集まっているため、その南方ということになる。

「夜分にすみません。準男爵のレオ・ダン・コグリモです。公子殿下へ、ムッチーノの街からの書状を持参しました」

 まだまだ顔を知られていないレオは、それを覚悟の上で、陣の入口で衛兵に丁寧に話しかける。

「怪しい奴。こんな子供が?」

「いや、今も空を飛んで来ただろう?噂では聞いているぞ。敵の罠にしてもこんな子供を連れて来たりはしないだろう」

「一旦、その書状を見せて貰えますかな?」


 丸まった羊皮紙に、封蝋している紋章でマルテッラのものだと確認された後は、それでも疑わしいのか3人の兵士に周りを囲まれて、中心にあるフルジエロのテントに案内される。

 第1公子であり次期国家元首らしく、一般のテントとは違う、中で執務スペースが十分に取れる大きさのテントである。

 流石にここまで来ると、レオの顔を知る者達もいたようでその公子の側近らしき人物が、ここまで付いてきた兵士達に任務に戻るように指示している。

「マルテッラ公女殿下と、ムッチーノのニーニエロ代官のお二人の書状を持参しました。公子殿下にお渡しください」

「何を言っている。自分で渡しに入ってくれば良い」

 レオが側近らしき人物に話した言葉が中に聞こえたようで、フルジエロの声が聞こえてくる。側近も笑顔のまま、中に入るように促して来る。


「は、レオ・ダン・コグリモ、入らせて頂きます!」

「何をかたっ苦しいことを言っている。早く渡しに来い」

 逆に叱られてしまい、持ち運び用になっている簡易な机で執務をしていた気配の公子の前に進み出て、その机の上に2つの書状を差し出す。

「まずこちらが代官の方か。ふむ。大きな被害が出る前にマルテッラ達が到着して、魔法による敵陣への攻撃、怪我人への治療をしたとの報告か。フィウーノ王国軍の規模はこちらの騎士団より多そうだが全容は認識できていないと正直に書いてあるな。随分と生真面目な代官のようだな」

「はい、誠実な方かと」

「代官ならばその方が良いな。で、こっちがマルテッラか。何々。ムッチーノの街にはこの騎士団の規模は入り切れないから、この平原での陣地は維持して欲しいと。街の中からと挟撃するのに連絡手段が必要だろうから、レオを使えば良いと。と言うことらしいが、聞いていたか?」

「い、いえ。ただご指示に従います」

 レオは完全に寝耳に水の状態ではあったが、国家トップの公子と公女の2人に逆らえるわけはない。


「具体的にはどうやって街の方と連絡を取るのだ?」

「私が空を飛んで物を運ぶこともできますし、中にいる仲間と言葉をやり取りする術があります」

「やはり魔法は便利だな。と言うより、コグリモ準男爵が、なのか」


「分かった。では今夜はこの陣に泊まって行け。まずは、夜が開けて明るくなれば空を飛んで敵兵の規模を確認する任務を与える。街の中にはその旨を連絡するように」

 側近の人たちに、またしても笑顔のままで割り当てられた個人用テントに案内されるので、そのテント内から悪魔経由で仲間に連絡をするレオであった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ