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超記憶レオの魔導書蒐(あつ)め  作者: かず@神戸トア
レオは故郷に錦を飾る

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ムッチーノ防衛

 夜が明けるまで小休憩をとった一行。

 朝になり代官が集めた将兵を相手に、マルテッラと共に挨拶するレオ達。

「主には治療について公女マルテッラ様が。城門の防衛についてはコグリモ準男爵の主従の皆さんが支援くださる」

 代官がいくら言ってもその少人数が大した援軍になるとは思えていない将兵達。


「ま、実際の戦力を見て貰った方が理解されるでしょうから」

 代官自身も半信半疑だが、この囲いを越えて来た実力から期待はしているようである。


 一番敵の多いのは街道に向いた西門とのことであり、そこをレオが担当することにして、フィロとベラが東、エルベルトとカントリオとメルキーノが南、シュテアとラーニナとケーラが北を担当することにした。

 まず初日は様子見であり、敵の偏りによってこちらの戦力の分散も見直す前提である。



「来ました!」

 西門に対して、城門を壊すための大きな槌を台車に乗せてぶつけて来ようとしているのが見える。

「最初は何とか火矢などで対応しておりましたが、昨日から一部が門前まで到達するようになってしまい……」

「大丈夫ですよ」

 レオは門の前に≪炎壁≫を発動して敵兵を戸惑わせた上で、それより先の敵軍の中に≪爆炎≫を発動して行く。悪魔達にも敵軍を攻撃させることで戦意を喪失させて行く。


 西門に関してはレオがいるので、一番敵が多くても問題はない。

「敵も少し様子見になったようですね」

「はい、急にこちらの戦力が上がったからですよね」

「ちょっと他の門の様子を見て来ますね。私がいなくてもときどきは魔法が発動できるようにしておきますので」

 何を言っているのか普通は分からないはずであるが、悪魔達に魔法を使わせることで牽制できるならばやっておきたい。



 魔法が弱いエルベルト達3人を割り振った南門が心配であり、まずはそちらに向かう。

「お、レオ。西門は大丈夫なのか?」

「まぁ何とかね。こっちはどう?」

「見ての通りだ。俺達も捨てたものではないだろう?」

 敵の数も西門より少ないとはいえ、接近して来ている敵兵に対して、≪火炎≫などの魔法を発動する仲間達。今まで守勢にそれだけの魔法使いが居なかったはずなので、攻め手であるフィウーノ王国の兵士達が戸惑っている。

 そこに、メルキーノは得意な弓矢による攻撃も行っている。


「確かにこっちも大丈夫そうだね。ま、せっかくだからついでにちょっとだけ手伝って行くね」

「ついで程度でやられる敵も可哀想だな」

 レオはその軽口は気にしないことにして、南門に攻めて来ている奥の方の固まっている敵陣営に対して≪爆炎≫を何度も発動していく。

 同様に東門、北門の仲間達の様子も見に行くが、それぞれ危なげなく城門守備に貢献しているようであり配置の見直しは不要とわかる。その東門、北門でも≪爆炎≫を複数発動してから西門に戻る。


「コグリモ準男爵、お帰りなさいませ。本当に居なかったのですか?ときどき敵陣に向かって火魔法が発動されていましたが」

「それで敵の攻撃が抑えられていたのならば良かったです」

 適当に誤魔化して、それ以上の詮索はされないように≪飛翔≫でフィウーノ軍に攻撃をしに行くレオ。



「レオ、おかえり。ま、特に心配するようなことは無かったようね」

「はい、マルテッラ様の方は?」

「軽傷の人達の治療だけだったわ。追加の怪我人は来なかったのは、あなた達のおかげよね」

「そうですね、少しでも役立てたなら良かったです」

 日も暮れて敵兵が引いて行った後、代官館で公女に報告に来ているレオ。


「夕食は食べて行かないのかしら?」

「すみません。宿で皆と食べようかと」

「そうね、代官達の食事会よりもそちらの方が楽しそうね」

「公女様のお勤め、お疲れ様です」

「レオ、あなたも公国での爵位が上がったらそう言っていられないわよ」

「私にはもういっぱいいっぱいですよ。コリピサ王国での爵位だけでも過分なのに」

 公女の息抜きの会話になっていると思われるからか、お付きの人達からは指摘は無かったが、適当なところで切り上げて宿に戻るレオ。



 翌日も東西南北それぞれの門に手分けして支援しているレオ達。


 一方、南西からやって来た騎馬隊が焦っている。

「おい、マルテッラ公女殿下のお姿はどこだ?」

「は、今まで追い抜いた気配はどこにもありませんでしたし、時間的にも既にムッチーノの街には到着しているはずなのですが」

「街の危険を知らせる狼煙だったが、それは陥落していない今の状況を見て一安心だ。まだ攻防が続いているようだからな。しかし、我々より先に着いたはずの公女様や同行していた者達はどこなのだ」

「我々より少数のあの人数で、この敵陣を突っ切って街に入れたとは……」

「幸い街が落ちていないのであれば、敵陣で捕虜になった者がいないのか偵察を行うのだ!」

「ベルガミ子爵、そうは言っても我々は騎兵としての訓練ぐらいしか……」

「無理に潜入して来いというわけではない。遠巻きに敵陣を見てくれば良い」

「承知しました!」


「バルバリス侯爵からは、フルジエロ公子殿下のお気に入りが同行していると聞いているのだ。滅多なことは無いはずだが……」

 部下達が指示した内容を伝達に走り、1人になってつぶやいているロレンツォ・ベルガミ子爵。


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