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超記憶レオの魔導書蒐(あつ)め  作者: かず@神戸トア
レオは2国を兼任する貴族

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テソットへの駆け付け2

 テソットに先に行くように言われたレオ達は野営もしながら進む。ある夜、レオが新しく契約、召喚できるようになった悪魔ファリトンを呼び出して死霊魔法について話をしているときにふと思う。

「ケーラも同時に召喚してくれるかな」

「かしこまりました」

 言われるままケーラも召喚すると、悪魔ファリトンが2体、野営地に現れることになった。

「おいおい、何がやりたいんだ?」

「え?同時に存在できるの?」

「当たり前だろう。本体は魔界にありながら、分体を召喚者の前に出しているだけなんだから」

「じゃあ、どれだけ遠くに居ようともファリトン経由で伝言ができるんじゃない?」

「あぁ、やろうと思えばできるな。タダ働きはゴメンだから、ちゃんと魔力奉納はして貰うがな」


 天使グエン、悪魔アクティムも召喚して同様の話をすると、複数者と契約を行えば可能という。それぞれに相談して試してみた結果、ファリトン、アクティムとも契約、召喚することができるようになったのが、レオ以外ではケーラとベラ。魔法取得だけでなく敬虔さもある程度は必要という天使グエンについては、ベラだけが契約、召喚できた。フィロも上級魔法まで使えるようにはなっているが、異界とつなぐイメージができなかったようで、また別の機会に試してみることにする。

「これで、伝言もそうですが、戦いの際にたくさん召喚して貢献することができますね」

 ベラがかなり嬉しそうに言う。

「いいなぁ。俺たちも頑張らないとな」

「悪魔に対する忌避感は無いのでしょうか」

 悪魔教団に洗脳されていたシュテアは不安に思ったことをエルベルト達に聞く。

「え?力は力でしょ?どう活用するかは本人次第。盗賊が村人から略奪する際に使う剣も、冒険者が魔物を倒して村人を守る剣も同じ剣だよね」

「そういうものなのでしょうか」

「そうだよ。だからシュテアやラーニナも可能になったら遠慮なく悪魔との契約もして、戦力向上したら良いと思うよ。なぁ、レオ様」

「上手くまとめてくれてありがとうな。そうだよ。俺たちは元々冒険者。どんな力でも上手く使えば良いんだよ」



 主街道を戦馬バトルホース9頭で進むレオ達に魔物や盗賊が襲いかかることはなく、無事にテソットの街に到着する。

 まずは、と街を預かる代官の屋敷に王太子の書状を持って報告に訪れる。

「良くお越しいただきました。私が代官のマリアーノ・ダラムです。はい、亡き父は宰相ホレイモンの弟ですので、国王の従兄弟になります」

「こちら王太子殿下からの書状になります」

「なるほど。まだ殿下達は到着するのに時間がかかると。万が一にリブレント王国が先に到着してしまった時には皆様を頼りにするように、と。わかりました。では、宿屋が決まれば教えてください。何かの折にはご連絡させていただきます。こちらにもありますように日帰りであれば魔の森で狩りをなさるなど自由になさって結構ですので」

「かしこまりました」


 前回に現国王スクゥーレと来たときには宿屋を探さずに済んだため、冒険者ギルドに馬も泊められる宿屋を紹介して貰いに行く。ついでにギルドではレオが目新しい魔導書を探すが成果は無かった。

 宿屋にはしばらくの滞在費用を前払いしておく。これから多くの将兵がやってくることを踏まえてあまり空きがないとのことで、男性陣4人と女性陣5人が一部屋ずつしか確保することができなかった。少しでも広い女性陣の部屋に集まったところで、

「なぁ、レオ様ってこの王家にとって恩人じゃなかったのか?言葉だけは最低限の取り繕いで、あんな見下したような態度をされて」

「そうだよ。しかも、曲がりなりにも子爵ならどこかの屋敷とまで言わなくても泊まるところの手配ぐらいしてくれたら良いのに」

と、代官への面会に同行していたエルベルトとカントリオの愚痴が出る。

「滅多なことを。聞こえたら大変ですよ」

「ベラの言うとおりだよ。所詮、俺は平民上がり。しかもコリピサ王国が見下していたルングーザ公国から派遣された冒険者だったという経緯があるからね。気に食わないところもあるんじゃないかな」

「国王の従兄弟だからといって男爵にしかなっていない不満もあるのかも」

「まぁ皆、野営よりは屋根や壁のあるところが確保できただけましだよ。後から来る人たちは街の外で野営のままも多いのだろうから」

「そうだよ、それより新しい街に来たのだし屋台をまわろうよ」

 フィロの元気さで暗い雰囲気を晴らして、食べ歩きという夕食を取りに行くレオ達であった。



「そうか、あの宿に泊まることになったか。聞いての通りだ。後は好きにするが良い」

「自分の手は汚さないというのか。まぁ良い。小紺魔めは我々の手で……」

「ふん」

 代官館での怪しい会話を当然レオ達は知る由もない。


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