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超記憶レオの魔導書蒐(あつ)め  作者: かず@神戸トア
レオは2国を兼任する貴族

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子爵邸

 王都メッロでの、その他の知り合いでもあり、伝達も伝わったころかと思われる王国魔術師隊のところへ向かう。

内戦の際に縁が出来た隊長であり上級魔法使いのモデスカル、中級のゼキエッロ、ブリツィオ、アベラルド、初級のリンピーノ、ニアミッラである。唯一の女性であるニアミッラにはフィロも仲良くして貰っていた。

「レオ様、いえコグリモ子爵、ようこそお越しくださいました」

「いや、そんな丁寧な挨拶は無しにしてくださいよ」

「この度、隊長になった私も唯一叙爵されましたが、緊縮財政の折ですし準男爵です。準貴族の範疇でしかありません。本当の貴族である子爵、しかもクーデターの際には大変助けて頂いた方ですから」

「そうですよ、私たちは命を助けて貰ったのですから。前にもお話ししたように家臣にして欲しいぐらいですから」

 このメンバにはと考えて、濃紺ローブと仮面を外して、それこそ家臣である6人を紹介しておく。

「えー、家臣の追加採用をしているならば、本当に我々を……」

「前にもモデスカルさんが仰っていましたように、王国魔術師隊として困るでしょうから」


 挨拶が長くなってしまったが、そこから続けてリブレント王国への対応についての相談に入る。

「はい、私たち7人はまず北の砦に向かいます。皆さんは後からの軍勢と一緒に来られるという理解で良いのでしょうか?」

「そう伺っていましたが、仮面を外したコグリモ子爵のことを認識できる者が同行した方が不要なトラブルを回避できるでしょう。ニアミッラは魔術師隊でも女性ということで顔が知られています。彼女を同行させてください」

「ニアミッラが一緒?うれしいな」

 フィロも喜ぶのでその言葉をありがたく受け取っておく。




 その後、いよいよ先送りしていた場所に向かう。

 王城で宰相から、再びコリピサ王国内で働いて貰えるならばと再び屋敷を与えられることになったのである。

 前に仮で預かっていたつもりで最後には返却した子爵邸の隣の、これまた奪爵した子爵邸をくれたらしい。しかも、今回は貴族家族だけは居ないが、使用人などは屋敷と合わせて譲渡対象とのことである。

 人付き合いには慣れてきたつもりでも、全く知らない人と同じ家で暮らす、しかも自身がその屋敷の主である。さらには、以前の主を間接的に追い出したのが自分である。考えただけで憂鬱になり、なかなか足が向かなかったのであるが、だいたい行くべきところは行ってしまったのと日も暮れて来たのもあり、7人で向かう。


「お帰りなさいませ、コグリモ子爵」

 それなりの身だしなみの5人が出迎えてくれる。バトルホース達を馬小屋に案内するのと並行して、まずはと全員が入れるダイニングに案内される。そこでお互いの自己紹介などをする。

「私は執事をしておりましたオドリックです。こちらが従者のゴードルー、ラスティス、侍女のルダイミー、キャシビルになります。ルダイミーは私の妻になります。もともとこの屋敷の主であった子爵家族がいらしたときにはもっと多くの使用人がおりましたが、粛清された際に実家に戻った者などが多くおりまして、現在はこの5人で何とか運営をしております」

 どうも空き家にするよりは今後の再利用を踏まえて最低限の人数を国家として雇用していたらしい。この5人の給与も現段階では王国から出ており、レオは支払わなくて良いとのこと。今回も戦場に行きっぱなしになるであろうが、戻れる拠点がある安心感を王国内、しかも王都メッロにも用意するのが目的らしい。

「ただ我々は、以前の傲慢な人たちを追い出してくださったコグリモ子爵達に感謝しております。今晩だけでもこの屋敷でどうぞごゆっくりなさってください」

 レオ達7人はそれぞれ部屋に案内され、鎧などを脱いで魔法の袋にしまった後は、リラックスできる服装に促され、食堂に集まる。

「うわー!なんだよこの食事!」

「こんなの見たことない。いや、ガンドリア王国への援軍の後の凱旋パーティーのときぐらいか」

 レオは公女の屋敷で使用人をしていた関係である程度は見慣れていたが、他の6人には驚きであった。成人しているエルベルトたちは上等なお酒にも驚きはしゃいでいるので、翌日に響かないようにだけ注意喚起してある。フィロやシュテアは純粋に美味しいものを喜び、ベラは少し涙ぐんでいるようである。

 オドリック達には一緒に食事をとるように誘ってみるが、少なくとも今日は明日からの出征に向けて英気を養って貰うために、精一杯の対応をすると断られる。


 大きなお風呂や高級なベッドなども含めて豪勢な一泊に満足させて貰った7人は、そのことに感謝の気持ちを伝えて屋敷を出ていく。

「子爵様ってこんなのが毎日になるのか?」

「いや、そこまでぜいたくは出来ないと思うけど。昨夜は特別じゃないかな。それにそうでなくっても、そういうように変えないと冒険に行けなくなっちゃうよ」

「そうだよな、ははは」

「フィロはあれが毎日でも良いなぁ」

「ぶくぶくと太っちゃうぞー」

「もう!カントリオったら」


 長旅の疲労も回復させて貰い、北部の砦に向かうため王国魔術師隊ニアミッラと合流しに向かう。


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