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超記憶レオの魔導書蒐(あつ)め  作者: かず@神戸トア
レオは人付き合いが苦手

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過信

 ロドもその日の夕食の際に主にルネからの報告で、ガスとの狩りの成果や、ガスは口数が少ないながらにも丁寧でまじめな少年ということもわかり、安心してルネとレオを任せることに決めた。

 レオは新たな人付き合いが増えることに不安があったが、ガスの無口ながらに良い人であったことや、狩りが上手く行って楽しかったこともあり、ガスとならば上手くやれるかもしれないと思えた。また、もしルネと2人きりになってしまうことを考えたらとも思い、ロドが抜けるのであれば誰かの加入は必須とも思えた。


 夕食前に角兎の心臓と肝臓や少ないながらの薬草をロドに渡していたので、食後は日課になった短剣投擲と素振りを練習する。今日はかなり実戦を経験した上での練習であるため、昨日までの練習よりも効果的になっている実感がある。また、寝る前には筆写した魔導書を読み直すが、魔力操作はできないままであった。


 ルネとレオとガスは互いの職場の情報も交換しており、次の休みを合わせて3人で狩りに行くことにしていた。それまでは3人とも職業訓練を継続しながら、空き時間で自分の武器の訓練をして準備していた。

 ようやくその休みになると、またアンの弁当を3人分持って街の門での待合わせに向かうレオ。

 その日も往路で簡単な薬草採取をしながら、前回と同じ小川付近でホーンラビットの狩りを開始する。前回での立ち回りを継続することでの慣れと、少しずつ訓練の効果も発揮されていき、ますます狩りの速度があがって行く。25羽と前回を大幅に超える数になったところで昼食にした。どちらかというと解体をしている時間の方が長いと感じるようになり、主にレオが行っていた基本的な解体はガスも手伝い、毛皮と肉の切り離しは皮革職人としての訓練もあるのでルネがするという分担になった。


 昼食後、ルネからの提案があった。

「1羽ずつではなく2羽ずつに挑戦してみようよ」

 危険度は上がるが効率も上がるであろうし、いつまでも1羽ずつというわけには行かないので残る2人とも同意することになった。

「じゃあ行くわよ」

とルネが2羽で居るホーンラビットを狙い撃ちし、朝からもときどき成功していた早撃ちで接近するまでの間にもう1射も行う。レオの短剣は2本しかないので投擲は1本のままであるが、突進してくる2体に対してはガスと手分けして1体ずつ引き受けることにした。矢の当たっていた1体にルネの短槍攻撃も集中して先に仕留めることで、もう1体と分散する危険を減らすことに成功した。


「上手く行ったわね。次行くわよ」

とルネが再び2羽で居るホーンラビットを狙い撃ちするが外してしまう。焦った早撃ちも外してしまい、それを見たレオも焦って短剣投擲を外してしまう。無傷の2羽がガスとレオに突進してくる。幸いガスは冷静に対処することができたが、既に焦りに入っているレオは上手くさばくことができない。もともと盾の扱いはガスに比べて練習が不足しているのもある。

「うわー!」

と、サイドステップでフェイントもかけられたレオが、盾のない右方向から右腕に角の攻撃を受けてしまう。考えると狩り3日目にして初めての怪我になる。余計にパニックになったレオは左手の盾で兎の攻撃を回避するのに精一杯になっている。

「任せろ」

とガスが自分に向かう1羽をすぐにしとめて、レオに向かっている1羽を後ろから切りつける。動きが悪くなったところをルネの短槍もあって、何とか2羽ともしとめることができた。

「レオ、大丈夫?」

とルネも急ぎ駆け付けて、小川で傷口を洗わせたうえに綺麗な小切れを当てて縛ることで何とか止血はできた。念のために持ってきていたロド作成の回復薬も使用するが、魔法回復薬と違ってすぐに効果が出るものではないので期待できない。


「治療のために帰ろう」

という冷静なガスに従い、レオの背負う荷物は減らして3人は急いで街に向かう。右腕が思うように動かないのと熱が出てきてなおさら焦る3人。街に着くと、まず冒険者ギルドに駆け込むが、今日は回復魔法が使える人が誰も居ないという。

「うちに。今朝、魔法使いが泊っていると言っていたからもしかしたら……」

とぼんやりしたレオの発言を聞いて、レオをギルドに寝かしたままルネとガスがレオの実家の宿屋に向かう。ギルドには別の回復魔法の使い手が帰ってくる期待もありえるからである。

 結果、宿屋に来ていた船乗りの魔法使いが回復魔法も使えるということで、心配したアンと一緒にギルドに駆け付けて中級回復魔法の≪回復≫を唱えてくれ、レオは何事も無かったように治癒した。

「指の欠損とかでなくて良かった。俺は上級の≪上回復≫は使えないからな」

「本当にありがとうございました。お礼はいかほど」

「なぁに、アンさんの子供だろう?これから宿に戻ったら、美味しいお酒とアテをくれたらそれで良いよ」

「「「ありがとうございます」」」

と皆でお礼を言い、精一杯美味しいものをご用意します、とアンはその魔法使いを宿に連れ帰って行く。


 残ったルネとガスがレオに本当に大丈夫?と聞いてくるが、上の空で返事をするレオ。確かに傷口も塞がっていることを確認したルネたちが、今日の分配ね、と前回と同じようにギルドに討伐報告や納品をして、肉や毛皮を取り分ける。

「今日も一緒に帰ってあげる」

と優しくルネが言って実家に付き添ってくれるが、レオの返事が曖昧だったので、本当に治ったのか不安になりなおさら優しくしてくれる。

 宿に戻ったレオとルネは既に飲んでいる魔法使いに再度お礼を言い、アンが角兎の肉も使って料理を振舞うのであった。


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